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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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246/517

湯けむりの外で決まったこと ――城崎温泉・ほんとうの戦略会議――

城崎温泉の夜は、本来とても静かだ。

外湯めぐりの下駄の音が遠ざかり、川沿いの柳が風に揺れるころ、老舗旅館は深い落ち着きに包まれる。


――が、その静寂を完全に裏切る部屋が一つあった。


波田顧問の部屋である。


「戦隊ヒロインプロジェクト最高戦略会議」と書かれた紙が、適当に貼られている。

中に集まったのは、波田顧問、すみれコーチ、隼人補佐官、まさにゃん、遥室長、佳乃、玲奈、琴音。


「今日は城崎公演の総括だ」

波田顧問が腕を組む。


「各自、報告事項のみ。五分で終わらす」


全員が一瞬、時計を見る。


結果から言えば――

三分四十秒で終わった。


「問題点なし」

「寄付金は佳乃が管理」

「警察的にも極めて良好」


淡々と報告が終わる。


「よし、以上!」

波田顧問が立ち上がった瞬間、まさにゃんが牌を取り出す。


「ほな、徹マンやな」


すみれコーチと隼人補佐官も無言で着席。


その様子を見て、遥室長は軽く息を吐いた。


「……では、私は失礼しますね」


佳乃と玲奈、琴音も立ち上がる。


「議事録、一枚で済みました」

琴音が静かに言った。


四人は部屋を後にした。


一方、遥室長の部屋。


畳の上に集まったのは、

遥室長、佳乃、玲奈、琴音、

そして美月、彩香、

「紀伊ハンター」の美咲・あかり・麻衣。


「やっと静かになりましたね」

遥室長は穏やかに笑った。


最初は雑談だった。


「城崎のお客さん、ノリ良かったな」

「美月の悪い例、やり過ぎや」

「玲奈さん、おひねり全部持ってったのエグい」


「必要な処理です」

玲奈は真顔だ。


「鬼や……」

美月が呟くと、全員が笑う。


やがて話題は自然と変わっていった。


「これから、どんな活動していくんやろな」

「温泉街ばっかりもアレやし」


美月がふと真剣な顔になる。


「なぁ……ウチら、

 日本だけやのうて、世界でもやれへんやろか」


一瞬、空気が変わる。


「言葉の壁がなぁ」

彩香が現実的に言う。


美月は肩をすくめる。


「河内弁が世界共通やったらええのに」


「それは無理です」

全員即答。


麻衣が首を傾げる。


「英語できる人、誰でしたっけ?」


「綾乃と理世やな」

彩香が言うと、美月が即ツッコミ。


「あの二人、腹黒いからなぁ」


「確かに!」

笑いが起きる。


「でもな」

美月が言う。


「言葉だけやなくて、

 姿勢とか、やってきたことを見せるのも大事やと思うんや」


玲奈が静かに頷く。


「交通安全も同じです。

 行動は国境を越えます」


佳乃も珍しく口を開く。


「継続性と信頼ですね」


琴音がメモを取りながら小さく呟く。


「……こっちの方が、よほど会議してます」


遥室長は湯呑みを置き、穏やかに言った。


「さっきの部屋より、

 こっちの方がずっと建設的ですね」


一同、納得の頷き。


「ここで話したこと、

 ちゃんと形にしていきましょう」


遥室長はいつもの落ち着いた駿河弁で、静かに締めた。


「戦隊ヒロインプロジェクト、

 まだまだ先がありますから」


城崎温泉の夜は更けていく。


誰にも見えないところで、

本当に大事な未来の話が、

ゆっくりと、しかし確かに進んでいた。

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