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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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243/474

聖地に咲いた交通安全の薔薇――ツインテ男装、違反で喝采を浴びる

宝塚市・駅前広場。

そこは少女歌劇の聖地。

改札を抜けた瞬間から、空気が違う。


背筋が伸びる。

無駄にスポットライトが見える気がする。

通行人の歩き方すら、どこかレビュー調だ。


そんな場所に――

戦隊ヒロイン交通安全イベント一行が降り立った。


主役はもちろん、

神戸の鬼代官・岡本玲奈。


だが、この日の空気は、いつもと違った。


控室代わりの簡易テント。

美月は異様に静かだった。


「……なぁ彩香」


「なんや」


「ここ、宝塚やで」


「知っとるわ」


「うち、ちっさい頃からな、

 ここ来るたびに思っとってん」


嫌な予感が走る。


「男装の麗人になりたいって」


彩香、即座に距離を取る。


「やめとき。

 それ今やる話ちゃう」


しかし、もう遅い。


イベント開始直前。

司会が呼び込む。


「それでは、交通安全寸劇――!」


音楽が鳴った瞬間。


出てきたのは――

男装の麗人スタイルの美月だった。


金髪風ウィッグ。

軍服調のジャケット。

長靴。

そして――


ツインテール童顔。


違和感が殴ってくる。


登場した瞬間、

会場が一瞬静まり返り、

次の瞬間――


「なんやあれ!」

「かわいいのかカッコいいのか分からん!」

「とりあえず笑っとこ!」


大爆笑。


美月、胸に手を当て、

低音ボイスで朗々と語り出す。


「――諸君。

 道とは、民の命を預かる舞台である」


口調、完璧。

中身、完全に男装の麗人。


だが見た目は、

ツインテの小動物。


このギャップが、致命的に面白い。


美月、続ける。


「信号?

 そんなもの、

 青でも赤でも、心で渡るものだ」


と言いながら、

堂々と横断歩道を斜め横断。


スマホを見て、

イヤホンをつけ、

優雅に違反。


「命は、

 革命と共に散るもの――」


子どもたち、腹を抱えて笑う。


保護者、拍手。


玲奈、遠くで腕組み。


「……違反の教科書やな」


そこへ現れるのが、

白を基調とした衣装の彩香。


「お慕いしておりますが、

 それはアカンです!」


完全に娘役ポジション。


丁寧に止まって、

左右確認、

手を挙げて横断。


彩香、やたら所作が美しい。


「正しい道は、

 いつも静かで、

 そして安全や!」


美月が振り返る。


「……君、

 地味やが立派だ」


「誰が地味や!」


ここで、

紀伊ハンターの3人がロケットガールのように登場。


フォーメーション完璧。

囲み完璧。

華やかさ満点。


宝塚的世界観 × 交通安全。


意味は分からないが、

とにかく華やか。


イベントは大喝采で終了。


「交通安全って、

 こんなに楽しいんや!」


「またやってほしい!」


宝塚の駅前で、

まさかの評価。


兵庫県警スタッフ、

静かにメモ。


「……シリーズ化、

 宝塚編いけるな」


控室。


美月、満足げ。


「どうや?

 今日のうち、

 だいぶ様になっとったやろ」


彩香、即答。


「違和感の化身や」


紀伊ハンター、口々に。


「でも分かりやすかったです!」

「子どもめっちゃ笑ってました!」

「宝塚感ありました!」


玲奈、静かに口を開く。


「……演出は派手やった。

 せやけどな」


一同、背筋が伸びる。


「ちゃんと全員、ルール覚えて帰っとる」


全員、静かにうなずく。


「それでええ。

 聖地でやるなら、

 このくらい突き抜けて正解や」


美月、思わずガッツポーズ。


「よっしゃ!」


玲奈、最後に一言。


「……ただし次は、

 ツインテはやめとき」


「なんでや!」


宝塚の夜。

レビューの余韻の中で、

交通安全は、

今日も少しだけ前に進んだ。


そして美月は、

また一つ――

黒歴史を増やした。

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