その運転、任務失格です――神戸から来た鬼代官
戦隊ヒロインプロジェクトに新風が吹いた――
いや、サイレンが鳴ったと言ったほうが正確かもしれない。
岡本玲奈。
神戸市出身、兵庫県警交通課からの出向。
剣道有段者、過積載の天敵、白ブーツも履くが情状酌量は一切しない女。
彼女がヒロ室に正式合流して、まず最初にやったことは――
全員の運転状況の洗い出しだった。
「戦隊ヒロイン以前に、市民として交通安全を守ってください」
その一言で、会議室の空気は三ノ宮の交差点より凍りついた。
■ 免許チェック開始
「まず、免許を持っていない方は除外します」
美月、綾乃、まどか、そして紀伊ハンターの三人は即座に外れる。
美月が河内弁で言う。
「そもそもチャリやし問題ないやろ?」
玲奈は一瞬だけ頷いた。
「自転車も軽車両です」
全員、黙る。
■ 判定地獄
彩香
「ウインカー、ミラー確認、車間距離、問題なし」
彩香は胸を張る。
「そらそうや。播州魂や」
玲奈「方言と安全運転は無関係です」
みのり&ひかり(グレースフォース)
「丁寧。理知的。模範的」
二人は静かに会釈。
「こういう運転が世の中を救います」
真央
「名古屋走り……が、ギリギリ許容範囲」
真央「おおきに……いや、ありがとだがね」
玲奈「黄色は止まる色です」
紗絢
「岡山走りが少し気になりますが、医学的判断は冷静。合格」
紗絢「よかった……」
■ 問題児ゾーン
麗奈
玲奈は無言で資料を差し出す。
「埼玉県鴻巣免許センターで再教習を」
麗奈「えっ、そんなに?」
「はい。ハンドルが自己主張しすぎです」
松本美紀
全員が覚悟した。
「……松本走り」
玲奈、深く息を吸う。
「一発免停相当です」
美紀「えへへ……」
「笑うところではありません」
室内、爆笑と悲鳴が同時に起こる。
■ まさかの優等生
美音
「素晴らしい。減点ゼロ」
美音「ありがとうございます」
「冷静さが音楽的です」
真白
「……教材にできます」
真白「え?」
「教習所のビデオに出せます」
トラックドライバーの真白、満場一致のMVP。
■ スタッフも逃げられない
「次、スタッフ」
すみれコーチ。
「スピード狂は減点です」
「え、私?」
「はい」
隼人補佐官。
「交差点での判断が甘い」
「えっ、僕も?」
「例外はありません」
■ 結論
最後に玲奈は言った。
「戦隊ヒロインは、ヒーローである前に市民です」
「命を守れない者に、ステージは守れません」
誰も反論できなかった。
――神戸の鬼代官、今日も市民を守っている。




