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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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228/497

気合だんべ!秒で直すんべ!――上州鬼代官と南国るみねぇのダンス戦争

北関東スリーアローズの練習場は、朝から騒がしかった。

スピーカー前に立つのは、いわき市のトロピカルダンサー――るみねぇ。


「はいはい! ここ南国! 細けぇこたぁ気にすんな! 笑顔でドーンだべ!」


るみねぇの指示は大雑把。

だが明るい。とにかく楽しい。


それを聞いた瞬間、常陸太田の野性児・唯奈が跳ねた。

理屈より先に体が動くタイプ。

腕を振り、足を踏み鳴らし、全身で踊る。


「そうそう! それでいいんだっぺ、唯奈!」

「っす! 気合入ってきたっす!」


フォームは荒い。

だが動きがデカい。

子どもが一目で分かる派手さがある。


――そこへ。


「……ちっと待ちい」


低く、よく通る声。

振り返ると、腕を組んだすみれコーチが立っていた。


「唯奈、動きが前に流れすぎだんべ。

 腰、三センチ引け。腕は一拍遅らせろ」


空気が一瞬で締まる。


「結花、あんたは逆だ。

 遠慮しすぎだんべ。目線、もっと上。はい、今!」


那須塩原のお嬢様・結花は背筋を伸ばした。

すみれコーチの細かい指示が、ぴたりとハマる。


「そうだいね。今のは“品”が出た」


るみねぇが口を挟む。

「細けぇなぁ、すみれコーチ。踊りゃいいんだべ?」


すみれコーチ、眉ひとつ動かさず。


「踊るだけなら誰でもできんべ。

 “見せる”ってのは、秒で直す積み重ねだんべ」


空気がピリつく。

遥室長が止めに入ろうとした、その前に――


唯奈が元気よく言った。

「私はるみねぇの方が合うっす! 考えると止まるっす!」


結花もおずおずと。

「……私は、すみれコーチの指導が安心します」


沈黙。


すみれコーチは、ふっと息を吐いた。

「……ほれ見ろい。人は違うんだいね」


るみねぇが笑う。

「そうだべ? 南国は多様性だ」


結果はイベントですぐに出た。


唯奈は子どもに大ウケ。

「元気!」「すごい!」の嵐。


結花は中年・高齢層に直撃。

「昔のスターみてぇだ」と深い拍手。


控室で麗奈が腕を組む。

「なにこれ、完全に棲み分け成功じゃん」


すみれコーチは淡々と言った。

「だから言ったんべ。

 締める人間と、解き放つ人間。両方いねぇとチームは育たねぇ」


るみねぇは親指を立てる。

「さすが鬼代官」


「鬼代官言うな。……るみねぇ」


その呼び名に、るみねぇが吹き出す。

「結局呼ぶんじゃん!」


遥室長が議事録に書き足す。


――

北関東スリーアローズ、

上州式“秒で直す指導”と南国式“気合で踊る指導”の併用により、

個性最大化を確認。


※指導者二名、呼称は今後も「るみねぇ」で統一。


その日、練習場には二つの声が響いていた。


「気合だべー!」

「そこ一拍遅らせんべ!」


北関東は今日も騒がしく、

少しだけ南国で、しっかり上州だった。

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