浜通りから会津まで! 常夏るみねぇ率いる福島三地区珍道中・笑って泣いて2泊3日
北関東スリーアローズが、まさかの“白河の関を越境”する日が来た。
臨時リーダーに就任したのは、いわき市が生んだトロピカルダンサー、木戸瑠海――通称るみねぇ。
「北関東じゃねぇけどよ、今日は“心の北関東”ってことで勘弁してけろ!」
その一言で、すでにバスの空気は南国寄りだった。
■一日目:浜通り・南相馬編
最初の目的地は南相馬市。
震災で大きな傷を負った街だが、会場には家族連れがぎっしり集まっている。
開演前、るみねぇは突然、控室で深呼吸した。
「……実はよ、あの時、うちの実家も津波でな」
一瞬、唯奈と結花が黙る。
しかし次の瞬間、
「だから今日はよ!湿っぽいのは無しだ!
笑って、踊って、汗かいて、“生きてっぞコラ!”ってやる日だ!」
切り替えが早すぎる。
ステージに立ったるみねぇは、福島弁全開で叫ぶ。
「南相馬のみんなぁ!
今日もちゃんと息してっかぁ!?
息してっなら、手ぇ叩げぇぇ!」
その勢いに、司会台本は即死。
だが観客は大爆笑。北関東スリーアローズも必死に追随する。
途中、唯奈が振りを間違え、結花が逆方向にターンする事故が起きるが、
「大丈夫だ!今のは“浜通りスペシャル”だ!」
るみねぇの一言で全部正解になる。
この人、強い。
■二日目:中通り・郡山編
翌日は郡山市。
ここでは、るみねぇが“進行役”を完全掌握する。
「次はよ、自己紹介だ!
名前言って、好きなもん言って、最後にドヤ顔な!」
この雑な指示に、唯奈と結花は戸惑うが、
なぜか観客ウケは最高。
「郡山はラーメンもうまいし、人もあったけぇなぁ!」
「あと駅前、風つえぇ!」
いらない情報まで盛り込むるみねぇ。
だが会場は笑いに包まれる。
イベント後、控室で唯奈と結花がヘトヘトになっていると、るみねぇがポカリを配りながら言った。
「今日の反省点な。
……みんな、もっと肩の力抜け」
名言なのか雑談なのか分からないが、なぜか効く。
■三日目:会津・会津若松編
最終日は会津若松市。
空気が一気に“歴史の街”になる。
るみねぇは少しだけ声のトーンを落とした。
「会津はよ、重ぇ。
でも、だからこそ、笑いも必要だべ?」
ステージでは、なぜか突然“即席会津トロピカル盆踊り”が始まる。
「右!左!南国!はい会津!」
意味不明だが、子どもたちは大喜び。
北関東スリーアローズも腹をくくって踊る。
ラスト、るみねぇはマイクを握って一言。
「福島はな、地区も方言も全部違ぇ。
でもよ、笑った時の顔は、だいたい同じだ」
珍しく静かな拍手が起きた直後、
「……で、ホテルの温泉どこだ!?」
全部ぶち壊し。
会場は大爆笑。
帰りのバスで、唯奈と結花は口を揃えた。
「リーダーって、こういう人でもいいんですね……」
るみねぇは窓の外を見ながら言う。
「完璧じゃなくていいんだ。
一緒に汗かいて、笑って、迷走してりゃ、それでチームだ」
その背中は、常夏で、やたら頼もしかった。
――こうして、
浜通り・中通り・会津を駆け抜けた2泊3日の珍道中は、
北関東スリーアローズに“型破りな成長”という土産を残したのだった。
次の巡業?
いまのところ未定。
だが、るみねぇが呼ばれれば――常夏は、どこにでも現れる。




