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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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222/478

鉄板の上でひっくり返る正義――歌姫・詩織を励ます会

西日本在住ヒロインの“たまり場”として知られる店――

てっぱん坂井。

この日、いつもより鉄板の熱が高かった。理由は単純だ。


「今日はな、詩織を励ます会や」


腕を組んで宣言したのは赤嶺美月。

その目は、明らかに“任侠モード”に入っていた。


集まったのは、美月、彩香、綾乃、まどか、美音、真央。

東日本からは小春、そしてグレースフォースの百合コンビ――みのりとひかり。

そして、主役の藤原詩織。


詩織は少し緊張した様子で、ぺこりと頭を下げる。


「今日は……ありがとうございます……」


その瞬間だった。


「泣かすな言うとるやろが!!」


美月がドン、と鉄板を叩く。

すでに半分キレている。


「羊みたいにおとなしい詩織をやで?

三人がかりでネチネチいびる?

そんな卑怯な真似、戦隊ヒロインにあってええわけないやろ!!」


熱量が高すぎる。


すかさず綾乃が、はんなりと口を挟む。


「美月はん……

“弱きを助け強きを挫く”言うてはりますけど、

それ、逆どす」


「細かいこと気にすな!!」


美月は聞かない。


さらにヒートアップする。


「あの三人な、そもそも必要か?

澪はボーっとしとるだけ、

沙羅は自己評価高いだけで中身スカスカ、

理世は理屈ばっかりで人の心見てへん!!」


空気がピリつく――かと思いきや。


「……美月の言う通りや」


まさかの同調。

播州の直球、西川彩香だった。


「しおりんをいじめるような奴は要らん。

腐ったミカンは箱から出さなあかん」


「彩香はん、それは言い過ぎどす」


即座に綾乃が止める。


「ほな、腐りかけのミカン?」


「表現の問題やおへん!」


鉄板の上より言葉が熱い。


その空気を変えたのは、小春だった。


「……追放するのは簡単ですけどね」

静かに、でも真っ直ぐ。


「ここまで一緒に頑張ってきた仲間でもあるんです。

もう一回くらい、頑張ってもいいんじゃないかなって」


一瞬、店内が静まる。


それに続いて、まどかが頷く。


「やり直すチャンスを与えないのは、

それはそれで残酷やと思います」


「……私も、そう思う」


美音がぽつり。


みのりとひかりも、目を合わせて頷いた。


「間違えたなら、直せばいいです」

「それができるかどうか、見届けたいですね」


真央は腕を組んで考え込み、尾張弁で言う。


「まぁ……一回くらいなら、

やり直し制度あってもええがね」


全員の視線が、美月と彩香に集まる。


「……みんながそう言うならや」

美月はふう、と息を吐いた。

「もう一回だけやで」


「次はないからな」

彩香も渋々うなずく。


その瞬間、空気がふっと緩んだ。


「……あの……」


詩織が恐る恐る口を開く。


「お好み焼き……ひっくり返してもいいですか……?」


「お、ええで!」


その直後。


――バシャァァン!!


鉄板の上で、

お好み焼きが宇宙開発に失敗した物体のように崩壊した。


一瞬の静寂。


次の瞬間。


「アカーーーン!!!」

「なんでそうなるん!?」

「芸術点は高いどす」

「逆にすごい!」


全員大爆笑。


顔を真っ赤にする詩織。


「ご、ごめんなさい……!」


「待っときゃええで」


真央が袖をまくる。

尾張弁をベラベラしゃべりながら、

コテを操り、崩壊したお好み焼きを奇跡的に再構築する。


「……何この人」

「神業やん……」


完成したお好み焼きに、拍手。


「ほら、食べられるがね」


詩織は涙目で笑った。


「……ありがとうございます……」


鉄板の熱、笑い声、ソースの匂い。

それは確かに、仲間の時間だった。


ふと、美月が思い出したように言う。


「そういや……あの三人、今なにしとるんやろ?」


小春が答える。


「すみれコーチと再研修してるそうですよ」


その言葉に、全員が無言で頷いた。


――物語は、まだ続く。


鉄板の上の正義は、

まだひっくり返る余地があるのだから。

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