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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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213/474

人気調整の副作用――ベイサイドトリニティ、心が渋滞中

最近、ベイサイドトリニティの三人は、

イベント表を見るだけで胃が重くなっていた。


「白石陽菜 ※体調次第で変更あり」


この一行があるだけで、

澪・沙羅・理世の出番は伸びたり縮んだり、振り回される。


「……また増えてる」

「……いや、今度は減ってる」

「……もう、どっちかにして」


ただでさえ人気は低空飛行。

そこへ来て、年下の超人気者の体調に人生を左右される構図。


沙羅のプライドは、今日も富士山級に軋んでいた。


「なんで、私たちが調整役なの?」

「人気者の都合で動くって、おかしくない?」


理世も腕を組む。

「そもそも、あの子は“守られすぎ”なんですよ」


一方で澪は、控室の椅子に沈みながらぼんやり。


「……まぁ、人生そういう日もあるよねぇ」

(そして、時々だけ刺す)

「人気って、疲れるらしいよ?」


──絶妙に嫌味。


当然、矛先は白石陽菜に向かう。


「今日も短かったね」

「また私たちが埋める感じ?」

「……申し訳ないって、思わない?」


だが。


「え? 思うよ?」

「でも、みんなが一緒に出てくれるの、嬉しいなぁ」


──通じない。


宰相の血と、工作員の血を受け継ぐ鋼のメンタル。

嫌味も皮肉も、全部「善意」に変換される。


「……ほんと、面白くない」

「手応えゼロなんだけど」


澪だけが小さく呟く。

「……サンドバッグにもならないって、逆にすごいよね」


そして、

不満の捌け口は移動する。


次に狙われたのは――

年上・ドジ・でも人気者。

歌姫・藤原詩織。


「詩織さん」

「音大生なのに、今の段取り分からなかったんですか?」


沙羅の声は、妙に丁寧。

理世も追撃する。


「それ、基礎中の基礎ですよ?」

「感覚だけでやるの、そろそろ卒業したらどうです?」


詩織は一瞬きょとんとして、

それから柔らかく笑った。


「えへへ……ごめんなさい」

「でも、次はちゃんとメモ取りますね」


……怒らない。

反撃しない。

むしろ下手に出る。


それがまた、癇に障る。


澪がぼそっと。

「……才能ある人ほど、天然だよね」


これも、刺さる。


その空気を、周囲は見始めていた。


「……ちょっと、詩織さんにきつくない?」

「最近、当たり強いよね」

「陽菜ちゃんじゃなくて、矛先変わってない?」


美月が眉をひそめ、

彩香も珍しく言葉を選ぶ。


「嫉妬って、バレた瞬間に一番ダサなるで」


グレースフォースの二人は、静かだった。


「人気への感情が、歪んでる」

「自分の立ち位置が不安なんでしょう」


だが当の本人たちは、自覚がない。


「私たち、正論言ってるだけ」

「注意してあげてるの」


──それが、一番危ない兆候だと気づかないまま。


詩織は今日もにこにこしている。

陽菜は今日も揺れない。


そして、

フラストレーションだけが、

ベイサイドトリニティの中で、

静かに、確実に、膨らみ続けていた。


次に壊れるのは、

誰の感情なのか。


それはまだ、誰にも分からない。

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