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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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212/501

白いリボンは揺れない――制限付きヒロインと、揺れすぎる周囲

あの一件のあと。

白石陽菜のメディカルチェックは、目に見えて厳しくなった。


出演前は必ず二段階チェック。

数値が微妙なら即「短縮」、少しでも危険なら「休演」。


本人の希望?

一切、考慮されない。


「今日は五分だけです」

「今日は登場なしです」


それが当たり前になった。


当然、そのしわ寄せは他のヒロインたちに降りかかる。


まず、理解が早かったのは――

赤嶺美月、小春、そしてグレースフォースの館山みのり&杉山ひかり。


「まぁ、しゃあないやろ」

「陽菜ちゃんの命には代えられないよ」

「全体構成、私たちで調整しましょう」


このあたりはもう大人である。


問題は、その“外側”。


「え? なんで今日も陽菜ちゃん短いの?」

「また調整? 正直キツいんだけど」


麗奈が腕を組み、

彩香が播州弁でブツブツ言い、

山田真央は「なんでウチらが増えるん?」と首をかしげ、

河合美音は「人気商売って公平じゃないよね」と遠回しに刺す。


事情を知らない彼女たちにとっては、

特別扱いにしか見えないのだ。


その中で唯一、完全に別次元にいたのが――

藤原詩織。


「え? 短いの? じゃあその分、子どもたちに手を振ればいいんじゃないかなぁ」


誰も頼んでない謎の納得。


「……この人、ほんと何も考えてないな」

と、全員が同じ感想を抱いた。


だが、最も割を食っていたのは――

ベイサイドトリニティ。


澪、沙羅、理世。


もともと人気は低空飛行。

そこに出番調整で負担増。


不満は、限界を超えていた。


「また陽菜の分、私たち?」

「ほんと、人気者はいいよねぇ」

「体調体調って、正直どこまで本当なの?」


その矛先は、当然――

年下で、人気者で、何を言われても動じない陽菜へ向かう。


「今日も短かったねぇ」

「私たち、倍やってるんだけど」

「申し訳ないって気持ち、ある?」


三人に囲まれても、

陽菜はきょとんと首を傾げるだけ。


「え? あるよ?」

「でも、みんなが助けてくれてるから、嬉しいなって」


――完全に効いていない。


嫌味も、圧も、

全部ふわっと受け流す精神的図太さ。


それがまた、三人を苛立たせる。


「……ほんとムカつく」

「何この子」

「天然って、罪だよね」


陽菜は、気づかない。

本当に、何も。


そして、矛先は変わる。


次に狙われたのは――

藤原詩織。


年上。

ドジ。

でも子どもに大人気。


三人にとって、ちょうどいい履け口だった。


「ねぇ詩織さん」

「今日、台詞忘れてましたよね?」

「子ども向けだから許されてるだけじゃない?」


詩織は、にこにこしている。


「え? そうだったかなぁ?」

「でも、みんな笑ってくれたから、よかったよね?」


……効かない。


「……この人もダメだ」

「何なのこの空間」

「私たち、悪者みたいじゃん」


詩織は首をかしげ、

陽菜は微笑み、

二人の間には理解不能な平和が広がっていた。


その様子を、少し離れた場所から見ていた美月が一言。


「なぁ……あの二人、

嫌味が通じんの、最強すぎへん?」


彩香がため息をつく。

「敵に回したら一番厄介なタイプやな……」


グレースフォースの二人は、静かに頷いた。


「心が強いんじゃない」

「折れない形をしているだけ」


こうして、

出演が制限されても、

出番が減っても、

白いリボンの妖精は揺れなかった。


揺れていたのは、

周囲の感情とプライドだけ。


そして今日もまた――

誰かがため息をつき、

誰かが愚痴をこぼし、

当の本人は、何も気にせず笑っている。


それが、

白石陽菜というヒロインだった。

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