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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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209/503

天然は最強スキル――白いリボンの妖精、今日も先輩を篭絡中

戦隊ヒロイン界には、不文律がある。

「白石陽菜には逆らうな」――ではない。

**「白石陽菜に甘くなるな。無理だから」**である。


大人気戦隊ヒロイン、白いリボンの妖精・白石陽菜。

舞台に立てば子どもが泣き止み、大人が財布を開き、

ヒロイン仲間ですら「かわいい……」と語彙を失う。


しかも彼女、気立てがいい。

誰にでも懐く。距離感ゼロ。

初対面の先輩にも、

「〇〇先輩! 今日も素敵です!」

と屈託のない笑顔で突撃する。


――先輩ヒロイン、即落ち。


「陽菜ちゃんはね、守らなきゃいけないのよ」

「いや、私の方が守られてる気がするんだけど……?」

そんな会話が日常だ。


ただし、致命的な弱点がある。

世間知らず。しかも重症。


コンビニで「レジ袋って、持って帰っていいんですか?」

自動改札で「このピッてするの、毎回買うんですか?」

タクシーで「お馬さんいないんですね……」


美月と彩香が黙っているわけがない。


「陽菜、世の中ナメすぎや」

「ほんまやで、箱入りにも程があるわ」


すると陽菜、

むくっと頬を膨らませ、

白いリボンを揺らしながら一歩後ずさる。


「……ちゃんと、知ってますもん」

その“知ってる”の定義が怪しい。


この小動物が威嚇してるみたいなムクれ方が、

また可愛い。


美月がぼやく。

「腹立つのに可愛いって、どういうバグやねん」

彩香が頷く。

「計算ちゃうんが、余計タチ悪いわ」


――結果、二人とも甘やかす。


そんな陽菜を、冷静にフォローする存在がいる。

信州の白衣の天使、松本美紀。


「陽菜ちゃん、それはですね――」

と、常に優しく、常に的確。

一般常識、医療知識、社会知識、すべて網羅。


「美紀ちゃんがいると安心する」

これはヒロイン全員の総意だ。


ただし、全員が条件を付け加える。


「ハンドルを握らなければ」


知的で穏やかで看護師の鑑。

だが運転席に座った瞬間、

信州の山道が育てた“松本走り”が解放される。


「大丈夫です、見通し良いので」

その言葉と同時に、

車内の魂が一段上の次元へ飛ぶ。


陽菜は後部座席でにこにこ。

「美紀ちゃん、かっこいいね!」


今日も戦隊ヒロインは平和だ。

天然が場を和ませ、

天使が知性で支え、

誰かが運転で絶叫する。


白いリボンの妖精は、

知らぬ間に今日も仲間を虜にしている。


――無自覚、最強。

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