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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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204/511

白いリボンの妖精は短時間出演!?――武蔵野ヒロイン大混線

東京都武蔵野市。

駅前広場は、朝から妙にざわついていた。


「今日、陽菜ちゃん来るんでしょ?」

「白いリボンの妖精だよね?」

「実物、写真より可愛いって聞いた!」


老若男女、年齢も属性も関係なし。

ベビーカーを押す母親の横で、孫に手を引かれた祖父がポスターを見上げている。


――それほどまでに、白石陽菜は“国民的癒やし枠”になっていた。


だが、その裏側。


イベント開始30分前、

陽菜はいつもの控室で、藤崎紗絢と松本美紀に囲まれていた。


「脈、やや速いわね」

「昨日ちょっと寝不足って言ってましたよね?」

「だ、大丈夫だよ! 今日、みんな楽しみにしてるし!」


陽菜は元気いっぱいに言うが、

紗絢は首を横に振った。


「ダメ。今日は登場時間、短め」

「えぇ〜!?」


その一言が、静かに、しかし確実に波紋を広げる。


被害を被ったのは――

麗奈と、ベイサイドトリニティ。


控室に戻ってきたスタッフが言う。


「えー、出演時間調整で、後半トーク多めでお願いします」

「またぁ!?」


麗奈が即座に声を上げる。


「いや、いいよ? いいんだけどさ?

私、便利屋じゃないんだけど!?」


そう言いながらも、

鏡の前では完璧な笑顔を作っているあたりが麗奈である。


(文句は多いが、仕事は一流)


問題は、ベイサイドトリニティだった。


沙羅が腕を組んで天を仰ぐ。


「……また、陽菜?」

「どうせ“白いリボンの妖精さま”優先でしょ」


理世も眉をひそめる。


「こっちは出番削られて、あっちは拍手喝采。

平等って言葉、知ってる?」


一方、澪はパンフレットを見ながらのんびり。


「へぇ〜、屋台たこ焼きあるんだ。あとで行こ」


温度差がひどい。


そして、運命の登場シーン。


司会の声が響く。


「お待たせしました!

戦隊ヒロインの――白石陽菜ちゃんです!!」


歓声、ドン!!


陽菜がステージに出た瞬間、

空気が一段階、明るくなる。


小柄な身体、白いリボン、

手を振るだけで拍手が起こる。


「陽菜ちゃーん!」

「かわいいー!!」


登場は短い。

だが、その密度が異常に高い。


陽菜は全力で手を振り、

小動物のようにぴょこぴょこ動き、

最後は深々とお辞儀。


「今日はありがとう! またね!」


そして、あっという間に退場。


その直後。


麗奈がマイクを持つ。


「はーい!

妖精は森に帰りましたけど、

まだまだヒロインはいますよー!」


会場、笑い。


麗奈は軽快に回し、

場を一気に温め直す。


(やっぱこの人、現場強い)


スタッフも内心うなずいた。


一方、ベイサイドトリニティ。


沙羅は笑顔を貼り付けながら、小声で。


「……なんなの、この差」

理世もボソッ。


「プライド、削られるわ」


澪はというと、

子どもに手を振りながら普通に楽しそう。


「ねぇ、さっきの子、陽菜ちゃんの真似してたよ」


二人は黙った。


イベント終了後。


控室で、陽菜が申し訳なさそうに言う。


「……みんな、ごめんね」

麗奈が即答する。


「いいのいいの。

あんたは“短時間で会場ひっくり返す係”なんだから」


その言葉に、

ベイサイドトリニティの三人は何も言えなかった。


妬みはある。

不満もある。


でも――。


ステージの外で、

陽菜がふらっと座り込む姿を見てしまったからだ。


美紀がすぐに駆け寄り、

紗絢が静かに頷く。


(……短時間なのには、理由がある)


その事実だけが、

少しずつ、三人の中に残った。


武蔵野の空に、夕焼けが広がる。


今日もまた、

白いリボンの妖精は短い時間で会場を包み、

残されたヒロインたちはドタバタしながら場を支えた。


不満も、笑いも、嫉妬も全部ひっくるめて。


――それが、戦隊ヒロインの現場である。

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