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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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203/482

知らないから、眩しい――白いリボンは特別扱いじゃない

イベント会場の裏動線で、いつもと同じ光景が繰り返される。


白石陽菜は、他のヒロインたちとは別の控室へ入っていく。

隣には医師の藤崎紗絢、看護学生の松本美紀、そして遥室長。


それを見送る側の空気は、決して一様ではない。


「……また別室?」


ベイサイドトリニティの沙羅が、わざと聞こえるように呟いた。

澪は肩をすくめ、理世は鼻で笑う。


「人気者は違うよね〜。

控室もVIP待遇ってわけ?」


それは悪意というより、拗ねた声だった。

三人とも、イベントで結果を出せず、ファンも伸び悩んでいる。

そんな中で、陽菜は出るだけで拍手が起こる。


理由を知らなければ、不満が生まれるのは自然だった。


一方、同じ通路でその様子を見ていた赤嶺美月は、何も言わずに壁にもたれた。


(……知らんから、そう思うんや)


美月は知っている。

陽菜の胸にある、静かな爆弾を。

だからこそ、あの別室が「特別扱い」ではないことも。


(守るための距離や)


小春もまた、無言だった。

リーダーとして、知る者の責任を背負っている。


「言えないことがある」

それは時に、組織を歪ませる。

だが、それ以上に――言えば壊れる命もある。


(陽菜は、守られることを誇示したい子じゃない)


むしろ逆だ。

彼女は「普通」であろうと、必死だった。


グレースフォースの二人、みのりとひかりは視線を交わす。


「……誤解される宿命ね」

「でも、陽菜ちゃんは気にしてない」


みのりの言葉に、ひかりは小さく笑った。


「強いよね。

“同情されるくらいなら、笑われるほうがいい”って顔してる」


二人は知っている。

陽菜がどれほど、自分を“弱い存在”として扱われることを嫌うか。


その頃、別室の控室では。


陽菜が白いリボンを結び直しながら、美紀に言った。


「ね、美紀ちゃん。

また誰か、私のこと嫌ってないかな?」


美紀は一瞬だけ手を止めて、すぐに笑う。


「嫌う人がいるってことは、人気者ってことだよ」

「……そっか」


陽菜はそれ以上、何も言わなかった。


(本当は、知ってる)


自分が特別に見えることも。

距離が、壁になっていることも。


それでも彼女は、選んだ。


――説明しない強さを。


ステージが始まる。


陽菜が走り出た瞬間、

客席の空気が一段、明るくなる。


沙羅はその背中を見ながら、思わず舌打ちした。


「……ほんと、ずるいくらい眩しい」


だがその声には、少しだけ迷いが混じっていた。


澪がぽつりと呟く。


「……でもさ。

あの子、全然“守られてる顔”してないよね」


理世は答えなかった。

ただ、陽菜の笑顔から目を離せずにいた。


誰も知らない。

知らないから、羨む。

知らないから、疑う。


それでも――。


白いリボンの妖精は、今日も同じ場所に立つ。


特別扱いなど求めず、

同情も拒み、

ただ“ヒロインとしての責任”だけを背負って。


それが、白石陽菜という存在だった。

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