表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

192/584

白いリボンが舞い降りた日――戦隊ヒロイン史上最高の美少女・白石陽菜

ヒロ室に、ほんの一瞬だけ風が通った。

誰かがドアを開けた、そのだけのはずなのに、空気の密度が変わった。


「白石陽菜です。よろしくお願いしますっ!」


はじけるような声。

艶やかな黒髪を高めのポニーテールにまとめ、そこに結ばれた白いリボンが、まるで意思を持っているかのように揺れる。

色白で小柄、整いすぎた小顔に、年齢不相応なほど完成されたバランスの身体。

そして――控えめに見えて、どう考えても“控えめではない”胸元。


その場にいたヒロイン全員が、ほぼ同時に思った。


(……負けた)


白石陽菜、十八歳。

神奈川県相模原市出身。

神奈川県内でも“お嬢様率が異様に高い”ことで知られる女子大学に通う現役女子大生だ。


実家は地元では知らぬ者のいない資産家。

門から玄関までがやたら長く、庭なのか森なのか分からない緑に囲まれた、いわゆる「リアルにあるんだ……」と言われるタイプの邸宅に住んでいる。

本人はその事実をまるで気にしていないが、聞かされた側はだいたい黙る。


しかし、そんな背景を知らなくても、陽菜は圧倒的だった。


元気よく、ハキハキと話す。

姿勢がいい。

人の目をまっすぐ見る。

笑顔に一点の曇りもない。


作られた“アイドル的完璧さ”ではない。

天然で、無自覚で、それでいて致命的に強い。


「先輩、これ重いですか? 持ちますよ!」


気づけば誰かの荷物を持ち、

「すごいですね! それどうやるんですか?」

と目を輝かせ、

「えへへ、楽しいです!」

と心底嬉しそうに笑う。


距離の詰め方が異常にうまい。

壁を作らない。

上下関係を感じさせない。

なのに礼儀は完璧。


先輩ヒロインたちは直感した。

――これはまずい。

人気が出る。いや、爆発する。


戦闘訓練の見学中も、陽菜は静かに見ているだけだったが、

その視線は驚くほど鋭く、

何かを必死に覚えようとする真剣さがあった。


「早く、皆さんのお役に立ちたいです」


その言葉は、社交辞令でも気負いでもなかった。

本心だと、誰もが分かってしまうほど、まっすぐだった。


だが――

その完璧すぎる笑顔の奥に、

ほんのわずかな“影”があることに気づいた者は、まだ少ない。


ふとした瞬間、胸元を押さえる仕草。

一瞬だけ遠くを見る目。

誰もいないはずの場所に向かって、無意識に微笑む癖。


陽菜自身は何も語らない。

語れないのか、知らないのか、それとも――。


白石陽菜は、

戦隊ヒロイン史上最高の美少女であり、

白いリボンの妖精と呼ばれる存在であり、

そして同時に、あまりにも多くの秘密を抱えた謎の少女だった。


彼女がなぜここにいるのか。

なぜ、守られるように育てられてきたのか。

なぜ、戦う力を秘めているのか。


その答えは、まだ誰も知らない。

――本人さえも。


白いリボンが揺れるたび、

運命もまた、静かに動き出していた。


次回、

白石陽菜・出生の秘密編へ続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ