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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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191/589

白いリボンが揺れた日――新橋ヒロ室に舞い降りた奇跡

新橋のヒロ室ミーティングスペースは、その日もいつも通り騒がしかった。

いや、正確に言えば騒がしい者と、騒がしさを眺めている者が混在していた。


江戸っ子ギャルの小春は椅子を斜めに使い、

「今日なんかあるっしょ?この人数集めるって珍しくね?」

と勘だけで核心を突く。


その横では、

「ひかり、ちょっと近いです」

「だって、みのり落ち着くんだもん」

と、完全に公的スペースを私物化しているグレースフォースが、もはや隠す気ゼロでいちゃついていた。


少し離れた位置で、

麗奈は腕を組み、

沙羅は脚を組み、

澪は椅子に深く沈み、

理世は資料を読みながら周囲を一切見ていない。


――東日本の主要メンバー、勢ぞろい。

誰もが「また何か始まるな」と察していた。


そこへ、遥室長が一歩前に出る。


「みんな、今日は新しい仲間を紹介するね~」


その声に、グレースフォースが一瞬だけ距離を取った。

**“一瞬だけ”**だが。


「今、北関東全都市巡業中の北関東スリーアローズの

唯奈ちゃんと結花ちゃんと同じ年の最年少18歳の・・・」


空気が変わった。


「最年少?」

「また若い子入れるの?」

「……戦力、大丈夫?」


沙羅と理世の視線が自然と厳しくなる。

麗奈は無言だが、目だけで値踏みしていた。


「じゃあ、どうぞ」


扉が開いた。


――その瞬間だった。


艶やかな黒髪のポニーテールが、ふわりと揺れた。

白いリボンが、その動きに合わせて光を受ける。


小顔で、小柄。

整いすぎていて、作り物のようで、

それなのにどこか温度のある――アイドルでもここまで完璧はいない、そんな容姿。


少女は一歩前に出て、屈託のない笑顔で、はっきりと言った。


「はじめまして!

白石陽菜です!よろしくお願いしますっ!」


その瞬間。


「……」


「……かわいい」


「……いや、かわいすぎない?」


誰かが言ったわけじゃない。

全員の口から、自然にため息が漏れた。


小春が思わず前のめりになる。

「ちょ、なにこれ。反則じゃん」


みのりは小さく微笑み、

「……本当に最年少ですか?」

ひかりが頷きながら、

「守りたい枠ですね……」


澪は腕を組んだまま、ぽつり。

「……マスコット完成」


理世は一瞬だけ資料から目を上げ、

ほんの一拍遅れて、静かに目を伏せた。


遥室長が、少し誇らしげに言う。


「陽菜ちゃんはね、可愛くて小柄だけど、

身体能力はかなり高いの。

トレーニング記録も優秀で、任務でもちゃんと戦力になるよ~」


「えっ、そうなの?」

麗奈が初めて声を出す。


陽菜は照れたように笑い、

「はい!走るのも跳ぶのも、結構好きです!」


その姿は、まるで小動物。

元気で、無邪気で、疑いを知らない光。


ヒロ室の空気は、明らかに明るくなった。

誰もが思った。


――戦隊ヒロインの未来は、まだ大丈夫だ。


だが。


理世だけは、気づいていた。

あの完璧な笑顔の奥に、

ほんの一瞬、影が揺れたことに。


陽菜自身もまた、

胸の奥で、誰にも聞こえない声を抱えていた。


(……大丈夫。まだ、言わなくていい)


その秘密は、

今は白いリボンの奥に、静かに隠されている。


だが、

この“戦隊ヒロイン史上最高の美少女”が抱えるものは、

いずれ――誰かの運命を揺らす。


新橋のヒロ室に舞い降りた光は、

同時に、“謎”を連れてきたのだった。

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