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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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鉄板の裏から現れた最終兵器――浪速のバランサー坂井まどか

坂井まどかは、本人いわく「ほんまに成り行き」だった。


世界を股にかけるイリュージョニスト高田美雪、

親友の赤嶺美月、

そしてお好み焼き屋「てっぱん坂井」の常連たち。


この三方向からの圧に耐えきれず、

「まあ……やってみよか……」

と軽く言ってしまったのが、すべての始まりである。


まどか本人は、至って穏やかで地味な性格だ。

前に出て目立つタイプでもなければ、

声が大きいわけでもない。


強いて言えば、

「空気を読むのが早すぎる」

それだけだった。


そんな彼女が送り込まれたのが、

静岡県富士市の

国家特務戦隊ヒロイン中央研修複合学習センター富士川分室。


名前だけで胃もたれしそうな施設である。


到着初日、

研修スタッフの第一印象は満場一致だった。


「……おとなしそう」

「一般人枠?」

「場違いでは?」


ところが。


基礎体力測定が始まった瞬間、

空気が変わった。


走る。

跳ぶ。

避ける。


無駄がない。

力みがない。

そして、やたらと安定している。


戦術理解テストでは、

説明を一度聞いただけで即座に全体像を把握。


「え、今の説明一回でしたよね?」

「はい。あとは流れです」


スタッフ一同、沈黙。


そして、決定的瞬間が訪れる。


——戦隊ヒロイン制服、着用。


「……え?」

「……脚、長くない?」

「ていうか、スタイル良っ……」


地味だと思っていた女性が、

制服を着た瞬間にステージ用の身体に変わった。


切れ長の目。

端正な顔立ち。

無駄のない姿勢。


研修センターのスタッフが、

全員同時にメモを取った。


「この子、映えるぞ」


トーク訓練では、

大阪人としての本領が発揮された。


前に出てボケない。

だが、必ず場をまとめる。


美月が突っ走る。

彩香が噛みつく。

綾乃が皮肉を挟む。


その全部を、

まどかは一言で整える。


「はいはい、そこまで」

「順番な」

「今の、子ども見てるからやめよ?」


不思議なことに、

誰も反発しない。


紀伊ハンターの三人――

あかり、麻衣、美咲にも、

自然に声をかける。


「今日暑かったな」

「緊張したやろ」

「大丈夫やで」


気づけば、

年少組の輪の中心にいる。


誰も命令されていないのに、

全体が落ち着く。


研修三日目。

ついに波田顧問が視察に現れた。


一通り眺めたあと、

顎に手を当てて、ひと言。


「……おい、これ」


隼人補佐官が身構える。


「はい?」


「とんでもねぇ掘り出し物だぞ」


波田顧問は笑った。


「派手じゃねぇ。

 でもな、こういうのが一番怖ぇ」


まどか本人は、

その言葉を聞いて首を傾げた。


「え、そうですか?」


研修センターの誰もが思った。


——本人だけが気づいていない。


坂井まどか。

浪速のバランサー。


鉄板の裏から、

とんでもない戦力が現れた瞬間だった。

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