表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/689

世界をだました女は鉄板の前にいた――西日本ヒロイン、静かすぎるサプライズ

泉佐野市・りんくうタウン。

この日開催されたイベントの正式名称は、

「祝・大躍進!西日本戦隊ヒロイン大集合まつり in りんくう」。

誰が名付けたのかは不明だが、昭和の匂いだけは全力だった。


ステージ上では案の定、美月と彩香がやり合っていた。

「551以外は豚まんちゃう!」

「アホ言いな!コンビニの進化なめとったら承知せえへんで!」


客席は大笑い。

横で綾乃がはんなりとマイクを握る。

「まあまあ、どちらも美味しおすえ。

 ほら、海風もえらい気持ちよろしおすし」


その頃、ステージ脇では寿葉が天秤を担ぎ、

ヒロイングッズと歯ブラシ、なぜか台所用たわしまで売っていた。

「戦隊も暮らしも足元が肝心どす」

なぜか説得力があった。


紀伊ハンターの三人も安定感抜群。

美咲の丁寧なMC、麻衣の舞、あかりの突貫トーク。

イベントは混沌としながらも、見事に成功した。


――そして夜。


打ち上げは、大阪市内。

美月の大学の友人、坂井まどかの実家、

お好み焼き屋「てっぱん坂井」。


ここは、西日本ヒロインにとって半ば“第二控室”だった。

暖簾をくぐると、

「おかえり〜」

「今日は多いなぁ」

と、まどかの両親と祖父母が自然に迎える。


だがその夜、店内の空気は一瞬で変わった。


カウンターの奥。

帽子を目深にかぶり、

コートを椅子に掛け、

静かに鉄板を眺めている女。


美月が止まる。

彩香が口を開ける。

綾乃が一拍遅れて息をのむ。


その女が顔を上げた。


「久しぶり。元気そうね」


――高田美雪。


世界公演を飛び回るイリュージョニスト。

今この瞬間も、海外にいるはずの先輩ヒロイン。


「なんでおるんですか!?」

「帰国したって聞いてません!」


美雪は肩をすくめた。

「世界公演の合間よ。三日だけ」

「後輩の顔、見に来ただけ」


“だけ”の規模が違いすぎる。


まどかが鉄板を返しながら、さらっと言う。

「遥室長から連絡来てん。

 “今日ここに行ったら、ええもん見られますよ〜”って」


全員が同時に理解した。


――黒幕はやっぱりあの人や。


美雪はヒロインたちを静かに見渡す。

喧嘩ばかりの美月と彩香。

宥め役の綾乃。

商魂たくましい寿葉。

真面目に奮闘する紀伊ハンター。


「いいチームになったわね」

その一言で、場がふっと和らぐ。


まどかは前に出ない。

でも、この店、この空気、

そしてこの再会を、当たり前のように受け止めている。


鉄板の上で、お好み焼きが焼ける音。

世界と現場が、ここで静かにつながった。


美月が笑って言う。

「……まどかの店、ほんま何でも起こるな」


美雪は小さく笑った。

「だから、帰ってきたくなるのよ」


鉄板の熱と、少しの涙と、

完璧すぎるサプライズを残して、

夜はゆっくり更けていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ