ヒロインは敵を倒せても、マリーンズの不振は救えんのや……
作者は40年以上のマリーンズファンです。
2025年のマリーンズを戦隊ヒロイン目線で語ってもらいました。
なぁ綾乃、ウチもうあかんわ……ほんま泣きそうやねん……」
梅田のカフェでアイスラテ片手に、戦隊ヒロイン・赤嶺美月は頭を抱えた。
敵との激戦のあとなのに、ため息の原因は――2025年の千葉ロッテマリーンズの成績だった。
「なんぼヒロインでもなぁ……5月から貯金ゼロて、どないなっとんねん……もう“ライトウィンドレンジャー”じゃなくて“泣いとんで戦隊”や……」
「……そんな戦隊、誰も加入しませんわよ」
横で優雅に紅茶をすする綾乃は、深藍色のワンピースを揺らしながらも冷静だ。
「いや、ウチな、戦う前に“推しの調子”も確認してんのよ。
藤原(恭大)くんがマルチ打った日は任務もキレッキレ。でも打てへん日は、もう……なんかビームもスカるねん……」
「……それ、完全に私情ですわね」
「しかも!藤原くんは最近ちょっと復調気味やのに、チームが追いついてこーへんのよ!先発炎上、リリーフ乱調、タイムリー欠乏症……おまけに守備も雑やし、もうウチ泣くでほんま……!」
美月は、泣きマネをしながら手のひらを広げて空を仰いだ。
そこにヒーローポーズを入れようとして机に肘をぶつけ、「いったぁ!」と悶絶。
「……敵の必殺技よりカフェのテーブルのが強敵ですわね」
「ほんまや。マリーンズもウチの肘も、もっとしっかりせぇ!」
ため息をついた美月は、ちらりと綾乃に視線を送った。
「なぁ……国家プロジェクトで、マリーンズの応援ヒロインとかに任命してくれへん?
『敵とマリーンズの勝率、どっちが低い!?』みたいなキャンペーン打ってさぁ……」
「……炎上しますわよ、SNSで」
「ええねん、それでもええ。ウチの“愛”は打率2割でも出塁率5割や!」
「そのうち“戦隊ヒロイン美月、推しに熱狂して職務放棄か”とか報道されそうですわ」
「ええよそれでも!ウチはな、勝てへんチームが好きやねん。
泥んこでズッコケて、それでも立ち上がって勝つ瞬間が見たいんよ……!」
「……ふふ、そういうところ、ホンマにヒロインですわね」
美月はふいに笑顔を見せた。
「せやろ?でもな綾乃、マリーンズ優勝したらウチ……戦隊引退してもええわ」
「絶対ダメです」
即答で制されて、美月はカフェラテを啜りながら――再びスポーツニュースの速報を開いた。
「おっ、今日の先発誰や……あっ、ノーコメントで……」




