表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/668

推し活か、任務か、それが問題や

場所は大阪・中之島のオシャレなカフェ。

窓際の席に、ミルクティーを挟んで座る二人の女子――見た目はただの大学生だが、その正体は誰もが知る戦隊ヒロイン。


「やぁ〜、ウチらの作戦、バッチリ成功やったなぁ!」


ふわっとカプチーノの泡に笑顔を浮かべながら、美月は上機嫌。周囲の視線がチラチラ集まるのも当然。何せ、前日のニュースで取り上げられたのだ。

“正義の戦隊ヒロイン、美月と綾乃が違法医療施設摘発に成功!”と。


「ウチのSNS、通知鳴り止まへんねん。“惚れました”とか“尊敬してます”とか、“付き合ってください”ってのも3件あったわ。全部女子やけど」


「それは美月さんの“あの口調”に惚れたんでしょうね」と綾乃が紅茶を口に運びながら涼しい笑顔。


「せやけどな、綾乃……」

美月はふいに真顔になって、小さく溜息をついた。


「なんでよりによって、作戦の日がマリーンズの神戸試合の日なんよ〜っ!」


「またそれですか……」


「年に1回あるかないかの!あの神戸の!ほっともっとフィールドやで!? 天然芝がキラッキラで、あの開放感! 5回終わったらドーンて花火上がるんよ!? あの演出、正義やで!? あれ観に行く予定やってんウチ……!」


綾乃は苦笑しつつ、メモ帳に小さく「正義:花火」と書き足した。


「しかもや、最近マリーンズ調子悪いのに、推しの藤原恭大くんが頑張っとるねん。1軍復帰してヒット打って、守備もバチバチ決めてて……もう“いま応援せんでいつ応援するねん”ってタイミングやってん!」


「それで任務放棄しようとしましたよね、一瞬」

「ちょっとグラっとしただけやん!」


「“任務、月曜にずらされへん?”って政府高官に直談判しようとしてましたよね?」

「だって、来年また神戸で試合あるかどうか分からへんやん!?」

「それ、ほぼ毎年言ってますよ」


美月はふてくされたようにスプーンでカプチーノの泡をぐるぐるかき混ぜる。

一方、綾乃は笑みを崩さず、しかしやや呆れたような目線で美月を見守る。


「でも、仕方ないです。正義の味方は、いつもスケジュールに自由がありませんから」


「それがツラいとこなんやぁ〜。チケットとって、ユニも洗ってたのにぃぃ!」


「……本当にヒーローなんですか? ただの熱狂的ファンにしか見えませんが……」


そう言いながらも、綾乃はそっとスマホを取り出し、美月のために当日の神戸の試合写真を表示する。


「これ、現地に行ってた人がSNSに上げてた写真です。天然芝、確かに綺麗ですね」


「……うわ、なにそれ、泣ける……」


「ほら、次は現地で観られるよう、次回任務を早めに片づけましょう」


「うぅ……綾乃、ホンマええやつやな……来世はマリーンズの応援団長になってや……」


「……それは遠慮します」


カフェの中で、小さく笑い声がこだまする。

戦うヒロインも、球場の歓声も、どちらも彼女にとって等しく“推し活”なのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ