駿河から来た奇跡の声 杉山ひかり、ここに降臨!
富士山の裾野に広がる工業都市・富士市。
かつて後楽園球場や東京ドームを沸かした
社会人野球の名門チームが存在した、静岡県内でも屈指の“スポーツの街”。
その一角にある――
**「国家特務戦隊ヒロイン中央研修複合学習センター富士川分室」**の会議室が今日もざわついていた。
小春、麗奈、みのり、美音、美月、綾乃、彩香。
主力戦隊ヒロインがずらりと揃い、
「なんか今日、来るらしいよ」
「新人かな?」
「すごい即戦力って聞いたで」
などと、社会科見学の中学生みたいな空気になっている。
そんなざわめきを断ち切るように、
遥広報官が静かに入室した。
その後ろには、すでに腕組みモードのすみれコーチ。
「みんな、今日は重大発表があるらぁ」
遥の駿河弁が柔らかく響く。
すみれコーチもニヤリと笑いながら一歩前へ。
「紹介しよう。**“10年に一人の逸材”**だ。
戦力、即戦力、超戦力……全部持ち合わせてる新人よ」
「そんな褒めんでもいいだら〜」
遥広報官が照れ笑いしつつ身を引く。
そして――
会議室のドアが、音もなく開いた。
透き通るような黒髪。
知的で上品な顔立ち。
テレビライトなしでも輝いて見える、静岡特有の“駿河の光”。
杉山ひかりは、そこに立っていた。
彼女は軽く一礼し、そして――
「杉山ひかりです。
静岡市から来ました。
みなさんと力を合わせて、
静岡から全国に元気を届けられたら、嬉しいです。
よろしくお願いします。」
……その声。
“澄み渡る”という日本語が実在したんだなと思わせる声。
会議室の空気が一瞬、清流みたいに変わる。
「……観たことある。知ってる。」
美音がぽつり。
「あ、あの静岡ローカルの?」
美月が目を丸くする。
「そう。静岡朝の情報番組でレポーターやってる人だよね?
すっごい落ち着いとるし、声めちゃ綺麗な……」
彩香も感心しきり。
「県内じゃ知らない人いないんじゃない。“駿河の朝の顔”でしょ?」
みのりは誇らしげ。千葉の人だけど、なぜか誇らしげ。
綾乃は目を細めて言う。
「ほぉ……これはまた、気品のあるヒロインやねぇ。
京都にも負けへんわ……悔しいけど」
麗奈は腕を組んだまま、
「ふーん、美人で声がいい……敵に回したくないタイプね」
と、なぜかライバル視していた。
小春だけはにこにこ。
「声がきれいな子はいい子、これ常識ね」
すみれコーチが皆を見渡し、ドンと胸を叩く。
「今日からひかりはチームの一員や。
即戦力? そんな言葉じゃ足りねぇ。
こいつは“ヒロインプロジェクトの中心人物”になる器だ。
お前ら、しっかり吸収しろよ」
遥広報官も微笑みながら続ける。
「私と同じ駿河の子だら〜。
優しさも、根性も、静岡のお茶みたいに深い味あるで。
期待してるら」
会議室は拍手に包まれる。
ひかりは少し頬を赤らめながら、
その拍手を静かに受け止めた。
その瞬間――
戦隊ヒロインプロジェクトに、新しい光が灯った。
駿河の良心・杉山ひかり。
ここに、戦隊世界の中心へ歩み始める――。
今後この光が、どんなドラマを照らすのか。
それはまだ誰も知らない。
…ただ一つだけ言える。
この初登場、伝説の始まりである。




