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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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104/481

南関東クラッシュ・ギャルズ  ——太田工場、破壊神たちの午後——

群馬県太田市。

北関東屈指の工業都市であり、世界的自動車メーカーの城下町。

その片隅に、戦隊ヒロインたちの“最後の砦”がある。

太田すみれコーチの実家の町工場──

通称「すみれファクトリー」。


夕暮れどき、小さな工場の前に

濃尾運輸の4トントラックがゆっくりと停まった。

降りてきたのは輸送担当ヒロイン・伊吹真白。

サステナブル梱包の達人で、丁寧な運搬は業界随一だ。


「……すみれコーチ……また“例の二人”の荷物です……」


すみれコーチは手を止め、ぎこちない笑みを浮かべた。


「来たか……南関東クラッシュ・ギャルズ……」


梱包を解くと、まず姿を見せたのは

意味不明な壊れ方をした通信機だった。


アンテナはねじれて分断、

レバーはなぜか“Z”の形に曲がり、

内部の基板は“まるで怒りの足踏みをされた跡”のよう。


「……麗奈……どう使ったらこうなる?」


真白が小さなメモを差し出した。


《押しても点かないから叩いた。

 叩いても点かないから振った。

 振っても点かないから足で踏んだ。

 そしたら壊れた。

 機械が悪いと思います。》


読むだけで心臓に悪い。


続いてもう一つの巨大梱包が登場。

中身は対ジェネラス・リンク戦用の高性能磁力盾……

の“破壊された残骸”。


本来しなるはずの盾が、完璧な直角に折れていた。


「…………みのりさん……?」


真白が申し訳なさそうに説明する。


「戦闘中に敵が“千葉って東京の下位互換ですよね”って言ってしまい……」


「……ああ、スイッチ入ったか。」


すみれコーチは無言で工具を握り、

分解し、研磨し、溶接し、調整し——


数分後には、まるで新品のような機材が並んでいた。


「……はい、直った。」


真白がたまらず驚く。


「す、すみれコーチ……プロすぎます……!」


「南関東クラッシュ・ギャルズの壊し方には“型”があるんだよ。

 麗奈は“物理破壊系”。

 みのりは“無自覚・天災系”。

 パターンを読めば修理も早い。」


後日、麗奈とみのりがすみれの前に元気よく現れた。


「すみれコーチ〜!見て見て、新しいクラッシュポーズ考えたの!」


「すみません……先日の戦闘でも……その……」


すみれコーチは額を押さえた。


「あんたら……壊す才能だけ世界トップクラスなんだよ……」


麗奈は胸を張る。


「でも“南関東クラッシュ・ギャルズ”って

 なんか強そうじゃない?」


「かっこいいと思ってんのアンタだけだ!!」


みのりは平謝りし、すみれコーチは深いため息をつく。

しかし、その口元はかすかに笑っていた。


「ま、いいさ。壊したら直す。それがウチの仕事だ。

 南関東クラッシュ・ギャルズの整備士はこの私しかいないんだからな!」


夕暮れの太田工場。

今日もまた“破壊”と“再生”の音が響いていく。


——壊して運ばれ、直して戻る——

この終わらないサイクルこそ、

戦隊ヒロインプロジェクトの“北関東の心臓部”なのである。


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