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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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103/472

北関東・太田の鉄拳整備女神  〜すみれコーチ、三刀流の“鬼ローンチ”〜

群馬県太田市。

北関東屈指の工業都市にして、

“世界に誇る自動車メーカー”の城下町。

市民の会話には自然とギア比が出てきて、

子どもがたちが「バビブベボ」よりも

水平対向すいへいたいこう」を先に

覚えるという噂まである土地。


そんな自動車の街に、

戦隊ヒロイン界最強の“鬼教官兼整備士”がいる。


太田すみれコーチ。

現役ヒロイン × コーチ × 機材補修担当の“三刀流”。


実家は自動車メーカーの下請け町工場。

ここが戦隊ヒロインプロジェクトの

“機材補修総合リカバリーセンター”(大げさに言うとこう)

としても稼働している。


戦闘やイベントでボロボロになった機材を、

輸送担当ヒロイン・伊吹真白が

戦隊ヒロインプロジェクトのサポート企業である

濃尾運輸の青い4トントラックで搬入する。


真白の梱包は芸術的。

サステナブルで環境配慮型包装、

梱包紐の結びは国家検定級。

父が濃尾運輸の役員だけあり、

安全運転とエコドライブが魂レベルで染み付いている。


すみれコーチはトラックの荷台を見るたびにうなる。


「相変わらず丁寧な梱包じゃねぇか。

 真白、あんたは物流界のホープだよ!」


真白は小声で「恐縮です……」と赤面する。


問題は……

運ばれてくる機材の“破壊具合”である。


犯人は、ほぼ2名。


● 大宮麗奈(24歳=埼玉県上尾市在住)


機材の扱いが雑すぎる。

説明書を読まない。

勘で押す。

だいたい間違える。


「すみれコーチ〜、これ壊れた〜」

「アンタが壊したんだろうがァァァ!」


しかも麗奈の反省ゼロ。


「壊れるような機械が悪いと思うんですけど〜?」


この一言ですみれの血圧は爆上がり。

二人の相性は最悪である。


● 館山みのり(20歳=千葉県千葉市花見川区在住)


真面目。だが……戦闘時に勢いが強すぎる。

敵を吹っ飛ばしたついでに機材も粉砕すること多数。


搬入された機材を見たすみれコーチ:


「……これは……

 どうやったら“こんな折れ方”すんだ……?」


みのり(ぺこり)

「すみません……すみません……すみません……」


すみれ

「……まぁ、アンタは真面目だから許す。

 けど機材は“殉職”レベルだぞ……?」


粉々の機材が泣いている。

だが、みのりの素直さで帳消し。


しかし、そんな破壊の宴を

たった一人で救ってきたのがすみれコーチ。


レンチを回す手つきは、

まるで白鳥が湖を優雅に泳ぐようにしなやか。

溶接の火花は芸術作品のように美しい。


「……よし。治った」


普通の整備士なら半日かかる修理を

ものの30分で完了させる。


すみれは自信満々に宣言した。


「麗奈、みのり。

 アンタら二人のことは今日から

 “南関東クラッシュ・ギャルズ” と呼ぶ!」


二人(同時)

「ちょ、ちょっと!?」


だが壊す頻度を見る限り、

名前の説得力は抜群である。


機材の修理が一段落した夕暮れ。

すみれはタバコを吸う代わりに缶コーヒーを開け、

トラックに寄りかかりながらつぶやいた。


「やれやれ……

 ウチはいつまで“クラッシュ・ギャルズ”の

 尻拭いすんだかねぇ……」


真白(控えめ)

「す、すみません……

 次の荷物……また来週あります……」


すみれ

「分かってるよ。

 アンタの運びは完璧だ。

 壊すのは南関東の連中だからな!」


麗奈(遠くから)

「聞こえてますぅ〜〜!」


みのり(ぺこぺこ)

「すみませんすみませんすみません……!」


北関東の鉄拳整備女神は

今日も“南関東クラッシュ・ギャルズ”の

後始末に追われているのであった——。**

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