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ヒロインズ・リンク 〜戦隊ヒロインプロジェクト〜  作者: スパイク
プロローグ

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修善寺温泉恋慕絵巻  〜広報官、涙の“八つ当たりクライシス”〜

修善寺温泉。

竹林はしっとり揺れ、川面には湯けむりがふわり漂い、

昼ドラのロケ地にしてくれと言わんばかりの舞台。


だが、この夜。

そんな風情をぶち壊す勢いで、

遥広報官の“不満タービン”がついに臨界を迎えた。


イベント終了後、宿舎の温泉旅館に戻るなり、

遥広報官は静岡特有の柔らかい駿河弁を爆ぜさせた。


「隼人さんさぁ……!

 なんで私、“最高戦略会議”に呼ばれんのらぁ!?

 徹マンらって知っとるけど、うちは麻雀分からんでよ!

 あれ、ずーっと仲間外れじゃん!」


隼人司令補佐官は、

湯上がりの浴衣姿で穏やかに立っていたが、

静かに胸に手を当て……心の中で呟く。


「遥さん、あの……

 会議と言っても実質、麻雀でして……」


「それがいかん言っとるの!

 なんで麻雀で会議やるの!?

 しかもあのすみれコーチ、

 なんであんな強いの!?

 リーチ?タンヤオ?イッツー?なんそれ!?

 上がった時の『ロンじゃい!』って何!?

 もう意味わからん!」


—完全に八つ当たりである。


隼人は苦笑しながら、

“包容力ある年上彼氏”の役回りを自然に発動した。


「遥さん、落ち着いてください。

 すみれコーチは……その……

 “雀鬼”なんですよ。

 点棒の流れを読む天才でして……説明しても、

 たぶん理解されないと思います」


「やっぱし分からん……!

 なんであの人、徹夜で麻雀して朝からピンピンしとるの!?

 うちは眠くて死にそうだったのに……!」


涙目の遥広報官。

その姿に隼人司令補佐官は、

大きく息を吸って、優しい声で包み込むように語った。


「遥さん。

 僕は……あなたを置いていくつもりなんてありません。

 ただ……すみれさんが強すぎるだけなんです」


「そういう話じゃなくてぇぇぇぇっ!」


半泣きで胸に飛び込んでくる遥。


隼人は、抱きとめた。

柔らかく、決して離さぬように。


控え室の外には、

修善寺の川のせせらぎが静かに響いている。


まるで、

“二人の未来がどちらへ流れていくのか”

優しく問いかけるかのように。


──しかし。


この夜も廊下から聞こえてくるのは、

すみれコーチの豪快な笑い声。


「ロンじゃい!倍満じゃい!

 葛城ィ、また振り込んだんかい!?

 こりゃ、徹夜確定じゃでぇ〜!」


遥広報官は涙を止め、

そっと隼人の胸から顔を上げてつぶやいた。


「……もう、どーでも良くなってきた……」


隼人は穏やかに笑い、遥の肩を抱く。


修善寺の夜は深く、

妙にロマンチックで妙にカオスな時間が流れていく。


そして若い二人のエリート官僚物語は、

まだまだ続く——。


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