表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スイートバカンス  作者: 遠藤 敦子
3/4

3

 お客さんとの会話で、山脇さんがこういった質問をお客さんから受けていた。

「なんでこの仕事を始めようと思ったんですか?」

それに対して山脇さんは

「私ワクドナルドで店長してて〜。成績良かったから戻ってきてほしいって今でも言われてるんですよ」

と答えている。私はいろいろな意味で違和感を抱いた。どうしていきなりワクドナルドの店長という話になったのか? それならなんでいまワクドナルドではない場所で働いているのか? そう言うならもう、ワクドナルドに戻ったら良いのでは? そういった感情が渦巻いていたのだ。


 内村さんと山脇さん以外は問題なかったけれど、彼女たちのどちらかとシフトが重なると精神的に憂鬱だった。系列店でヘルプに行った際、仕事ができる60代のベテラン女性スタッフの仁木(にき)さんと休憩が重なっていろいろな話をする。

「私、山脇さんと仕事したくないんだよね」

仁木さんが突如ぼやき、私は思わず

「わかります!」

と返してしまった。私はこれまで山脇さんにされた、お客さんの前での叱責やマイルールの押し付けの件をすべて仁木さんに話す。山脇さんがワクドナルドの元店長という経歴をお客さんに自慢げに話していた件について仁木さんは、

「いま違う仕事してるのに、そんな話するか! だいたい40代でつけまとか派手髪とかしてるけど、あの人年相応のキャリアあるの?」

と完全に呆れ返っていた。さらに内村さんはどうしてあんなに上から物を言うのかという話になり、仁木さんが

「何の店か知らないけど店長してたらしくて、そのプライドもあると思う。あと内村さんはコールセンターで働いてたらしいけど、どうせ高圧的な対応してお客さん怒らせてアウトになったんだろう。私も若い頃コールセンターで働いてたことあるけど、お客さん怒らせたら上司から事情聴取されて注意も受けるよ」

と昔話も交えて話す。その場で仁木さんとLINEを交換し、いつかご飯にでも行こうと話した。



 繁忙期は最大で1日に150人近くの来店があったけれど、それでも人手不足の中みんなで繁忙期を乗り切る。その頃仁木さんから、また山脇さんがまずい発言をしたとLINEが来た。大人っぽい感じのヘアスタイルを選んだお客さんに、山脇さんが「老けた感じになる」「おばさんっぽくなる」と何度も言ったそう。私はもう、山脇さんについて呆れ返っていた。そして私は仁木さんに、もうマネージャーに言った方がいいんじゃないですかと返す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ