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婚約者が好きなのです  作者: maruko


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番外編エミリー 出会い

お父さんの商会に、商品開発の打ち合わせに行った帰り、ちょっと小腹が空いたなぁとお土産ついでにパン屋に寄ろうとその角を曲がった。

少し先に行きがけに美味しそうと思ったパン屋が見える。

向かう途中の路地で赤い色が目の端に移った。

ん?なんだろう、少し過ぎたとこで立ち止り、戻って見る。

あれってひょっとして人?

だったらヤバイかも。

慌てて駆け寄る⋯⋯良かったただの汚れた服、でもかなりいい生地のボレロだ。

しかも赤い色ってあまり平民は合わせない。

よく見るとサイズが私と同じくらい、この服は何処から来たの?

周りをキョロキョロしてみると路地奥の方は野原っぽく見える。

空き地かな?

気になって行ってみると、思った通り店舗跡の空き地が手入れされてなくて草むらになってた。

広めの空き地に入り込もうとしたら、草が横倒しになってて、明らかに誰かが通った跡。

少し迷ったけど好奇心に勝てなくて倒れた草を頼りに進むと、丁度次の店舗の壁の一画が崩れて穴になってる所が見つかる。

よく見るとそこに私と同じ位の女の子が座り込んで寝てた。

顔とかも汚れてるけど、拭いたら絶対きれいな子だ。


「ねぇ⋯ねぇ⋯起きて、ねぇ⋯大丈夫?」


肩の辺りを軽く揺さぶりながら起こして見るけど起きそうにない。

困ったな、見つけちゃったから、ここにそのまま置いていけないし見なきゃよかったな。

置いていったら良心が疼くあとで後悔しそうだ。

それに着てる服がボレロを合わせた事がわかる、薄いピンクのワンピースで、どう見ても絹の靴下、だけど靴は履いてなかった。

この草むらの中では見てないから、ここに来る前に脱げたか、脱いだか、どっちかだな。

結構な訳ありさんだよね〜。

しまった私の好奇心、出来れば関わりたくないけど無理だね。

起きないのでおぶってみたら案外軽い、痩せてるのね。

羨ましいなぁって。

いやいや、この年くらいなら私みたいにすこ〜しプックリしてる方が可愛いのよ!

うんうんと一人で無理やり納得してたら、身動ぎしたので起きたかな?と思い声をかける。


「ねぇ起きた?あんなとこで寝てたらとんでもない事になるよ。虫さされは勿論、あんな草むらなら偶に蛇とかも出てくるかもしれないし、碌なことにならないよ。

そして多分碌でもない事から逃げてきた感じかな?」


様子から蛇どころじゃない様な碌でもない事がこの娘の身に起きて、やっとこ逃げてきたんだろうと予想して声掛けすると、体が震えてる、うん泣いてる模様。


「どこのどなたか解らないから一旦うちに連れてくね」


返事がないので了承したと判断してそのままおぶって家に向かったけど、自分の体力舐めてました。

そして歳も忘れておりました、10歳の子が同じ位の子をおぶって歩くなんて、時間かかるに決まってるよね。

やっとこ家に着いたときには私がダウン。

おまけに身元不明子ちゃんも安心しちゃったのか、気を失っててダウン。

うちのメイド達が様子も解らず右往左往してた事など、全く知らずに寝ておりました。


──────────────


起きたら夕暮れ時だった。

お腹空いたぁ、いやマジで。

グ〜グ〜グ〜の大合唱、でもなぜか私ソファで寝てたみたい。

起き上がったらベッドの脇の左右にうちの弟妹が、それぞれ椅子を持ち込み心配そうにベッドを覗いてる。


「姉さん置きたんだ。この人誰?」


2つ下の弟が聞く、あっ私は4人兄弟。

両親の家族計画は順調に進んだようで、きっちり2歳違いで女男女男と上手にお作りになられたみたい。

この弟が転生者か!って言うほど8歳の癖にしっかりしてて、お姉ちゃん立つ瀬がないよって感じ。


「知らない子、穴で寝てたからおぶって連れてきた」


「えー誘拐してきたとか⋯⋯まぁそんなわけないか。

結構汚れてたみたいだから湯に浸かってもらって、そしたらまた寝ちゃったから何も聞けなかった、っていうか喋らなかった」


「起きてたんだ、喋らなかったかぁ。喋りたくないのかな?起きたら私が聞いて見るよ。

あのさお腹空いちゃって何か持ってきてよ」


「自分で取りに行きなよ。それからお医者様手配して、僕じゃできないからさ。ついでにこいつも連れてって」


3番目のライラを掌で指す、えー邪魔にしちゃ駄目でしょう。

ライラだって心配してるんだよね〜って言うと、うんお腹空いた、って。

そっちの方だったのね。

食堂に行ったら料理長から声かけられて、リゾットあるって。ヤッタァ食べる〜。

準備してもらってライラと二人で食べてたら、ワゴンにクローシュを2つ乗せてメイドが運んできた。

えっ!もしかしてニード食べてないの?

聞いたら案の定食べてなかった。

なんてこった!メイドの話では昼食に私を待ってたけど帰ってこなくて心配してて、弟妹は一番下の子を除いて二人とも食べてなかったみたい。

姉ちゃん失格だ。自分の腹の事しか頭になかった。

メイドにお医者様の手配を頼んで、私はワゴンを自分の部屋に運んだ。


「ごめんよ〜ニード、あんたも食べてなかったのね。

これ持ってきたから食べて〜」


テーブルに準備してやると私にありがとうって言って食べ始める。出来た弟や。


ニードが食べ終わった頃にお医者様が到着して、彼女を診察。

なんと、腕が折れてたみたい。

よく我慢してたな〜、私の居心地の悪い背中で悪化してないよね、考えたら怖いから黙ってよう。

左腕を包帯で巻いてくれてから、熱が出ると思うからとお薬を置いてお医者様は帰った。

それから両親が帰ってきて夕食を食べながら、彼女を見つけた様子とか話してたら、ベルが鳴った。

彼女起きたみたい。

両親と私とニード、4人で私の部屋に行く。

彼女は起き上がりにくそうにしてたので、慌てて支えに行きクッションを背中に並べると、真っ直ぐ私達を見て頭を深々と下げる。

そして徐に話し始めた。


「私は命の危機でございました、助けてくださりありがとう存じます。

私タリスティア王国第二王女、ソフィーア・タリスティアです」


ここまでお読み頂きありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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