番外編アリー 求婚
「アリー、夕食後にするお話は長くなるかもしれないの。だから遅くなったら私の部屋で一緒に寝ましょう。一旦着替えていらっしゃい」
お母様が一緒に寝てくださる!
幼い子供ではないのにウキウキしてしまいました。
急いで湯浴みを済ませ夜着に着替えてガウンを羽織、お母様の部屋に再び訪れると眠気覚ましの珈琲の準備がしてありました。
そんなに長いお話なのかしら?
「アリー、早かったわね。少し待ってね」
お母様はまだ湯浴みから出たばかりの様子でした。
ソファで先に珈琲を飲んでいたらガウンを着たお母様が私の横に座りました。
またお隣に座ってくださった。
「アリー、これから話す事は貴方にも関係してくる話なの。とりあえず全て聞いてから貴方の答えを教えてね」
お母様が話したお話は私の今後にも影響する話でした。
ラシュトニアがお祖父様とお母様を探していた事。
冤罪は晴れている事。
公爵位は剥奪されていない事、そして今は王家預かりになってる事。
スルベージュにラシュトニア王家の使いが来ている事。
「ラシュトニアの外務大臣のソルト侯爵と騎士団長のタリス伯爵が陛下の命でこちらにいらしてるの。
事情が許せるならお父様の後を継いで公爵家を存続して欲しいと言われたわ。
ここからラシュトニアはとても遠いの。なのに何ヶ月もかけて私の意向を聞きに来てくださったのよ。
私ね、ラシュトニアに帰ろうと思うの。
帰るならエージェストとは離縁するつもりよ。
ねぇアリー、学園を卒業したら私と一緒にラシュトニアへ行かない?」
お母様が真っ直ぐに私の目を見てお話して下さいました
それから立ち上がりサイドテーブルの引き出しからお手紙を取り出しました。それを私へ渡して誰からだろうと思っていたら存じ上げない方からでした。
「実はね。ラシュトニアの第二王子のアシュトリアム様から貴方に渡して欲しいと頼まれたの。今回こちらにも来られる予定なのだけど、先にタリスティアにご挨拶に行ってるのよ。それを読んでから考えてみて」
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「読まないの?」
二人は裕に寝られる大きめのベットで微睡んでいるとお母様に声をかけられました。
うっすらと目を開けて横を見るとこちらを不安そうな顔でお母様が見ていたの。
「一人でゆっくり読みたいなと思いまして」
「あっ、ああそうね。私ったら⋯配慮がなかったわね」
「いえ。読んだあとに障りがなければご報告しますね」
「わかったわ⋯⋯ありがとう。ゆっくり休んで」
「はい。おやすみなさいお母様」
「おやすみなさい。アリー」
数年ぶりにお母様と語り合って幸福感の中眠りに落ちました。
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次の日お母様のベットで目が覚めた私に今日はお母様はラシュトニアの方々とお会いするので出かけると仰いました。
学園をどうするのか聞かれたのでお手紙をゆっくり読みたくてお休みしますと答えると「わかったわ、夕食は一緒に取れる?」と言われました。
嬉しい今日もご一緒してくださるんだ。
自室に戻り着替えてから食堂に行くとお母様はもうお出かけされていました。
ラシュトニアに帰る決心をされてるので諸々する事があるのでしょう。
きっと忙しいのに私と夕食を取る為に早目に出発されたのかと思うと、また嬉しさが込み上げてきました。
簡単に朝食を済ませてサロンに移動しお茶を飲みながらお手紙を拝読しました。
そのお手紙は見たことのない紋で封蝋が押されていて遠いラシュトニアという国の距離を感じました。
薄っすらと柑橘系の匂いのするお手紙は丁寧な文字で綴られてアシュトリアム様の人柄が反映されているかのようで読み進めていくうちに自分の顔が真っ赤になるのがわかりました。
なんとアシュトリアム様は私がもしお母様と一緒にラシュトニアに来るのであれば自分を婿入りさせて欲しいと書いてあります。
そして率直に王家の失態の責任も理由の中には含まれると、ただそれだけではなく見知らぬ国に来る私を支えて行きたいと、出来れば愛し愛される夫婦になりたいと書いてくださっていました。
私は、私は、ずっと皆から嫌われて過ごしてきています。
アシュトリアム様は私とお会いしてお手紙の様な気持ちでいてくれるのでしょうか?
そして、私はオーランへの恋心を忘れる事が出来るのでしょうか
私は自信がありません
ここまでお読み頂きありがとうございます
次回もよろしくお願いします




