⑯ 自己防衛 sideオーラン
最近俺は毎日のように悶々としていた。
タリスティア王国のソフィーア殿下がリリー達と交流するようになった。
俺は毎日リリーを送迎してるのだが、最近週に1回は邪魔される。
学園帰りに滞在されてる王城に連れて行ってしまうのだ。
メリーが心配ないと言うけど(あいつは一緒に行ってるし)安全面とかで言ってるんじゃない!
俺がリリーと一緒に居られないのが寂しいんだ!
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俺は今2度目の人生を歩んでる。
前回を踏まえてアリーがリリーに危害を加える事のないように日々リリーを護衛している。
はっきりいうと護衛と称して少しでも一緒に居たいというのが本音である。
前回は一緒に居れるのが短かったから⋯⋯。
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そんなある日学園内でリリーが、ある子爵家の次男に懸想され付きまとわれてた事が判明した。
なのにリリーにストーカーされてた自覚がまるっきりなかったんだ。
リリーの親友のマリーナ嬢によると、
そいつはマリーナ嬢がいない時に必ずリリーに声をかけたりしてたみたいだ。
リリーもお友達感覚で話してたのだけど、ある日告白されたらしい。でも俺がいるリリーは断ったという出来事が以前あったそう。
リリーの背後に隠密のように偶に居る婚約者でもない男にソフィーア殿下の護衛が気づいて、ソフィーア殿下と雑談中に殿下がマリーナ嬢とリリーに教えてくれた。
話を聞いたマリーナ嬢は憤慨して、どういうつもりかとそいつに詰め寄ったら、断られたけどその後も普通に接してくれてるし、嫌がってるようには見えなかった。なら婚約者が居てもまだ自分にも脈があるはず。
このまま仲を詰めていき、いつかは自分と付き合う事を決心してもらおうと少しでも隙が出来るのを狙って付き纏ってたとの事だった。
それを聞いたリリーが言った言葉が
「えっ!そんな⋯⋯付き纏われてたんですか私?
私にはオーラン様という婚約者がいるのは皆さんご存知の筈ですのに告白してこられて、彼は知らなかったのかなとお断りしたんです。その後も話しかけられたりしてちょっと嫌だなとは思ったんですけど、こんな普段ぼーっとした私に、一生懸命話しかけてくださるのに避けたり嫌がったりするのは駄目だと思って」
だった⋯⋯。
気になったのは、まず
《こんな普段ボッーとした私》
次が
《ちょっと嫌だなとは思ったんですけど》
《避けたりするのは駄目だと思った》
自己評価が低すぎる上に自分の思ったことを相手の事を考えたら言えなくなる。
リリーはとても優しい子だから子供の時から、鬱陶しく構うメリーを受け入れている。
そして同じく鬱陶しいほど構う婚約者である俺の事も。
常にリリーが考える前に先走った俺達が行動に移すので
リリーは自分で考えることをしなくなったんだ。
マリーナ嬢はリリーに対してそんな事はない。
他の友人達も。
自分で考える事をしないリリーは友人たちの中で戸惑っただろうな、だから意見を求められる時に相手の事を考える、要は空気を読む。
だから嫌だなとか違うなとか自我が芽生えた頃にも自分の意見が言えなくなった。
オマケに俺やメリーが牽制しまくって、令息達を近づけたりしないから、リリーは儚げな美少女でモテモテ令嬢だと言うことを自覚できてない。
この件があって俺は反省した。
守るという事を履き違えてた。
俺やメリーはリリーを絶対死なせたくないから過剰に守ってきた。
でもリリーだって一人になる時がある。
それなのに自己防衛ができないなら、100%で守るのは不可能だ。
少なくとも嫌だとか違うとか最低限の抵抗ができるように身につけさせないとならないし、自分の思いを伝える事ができるようにしないといけない。
これは俺の課題だ。
メリーには無理だろうから。
でもリリーを囲い込みデロッデロに甘やかしたいのが
ホントの俺だ。
まずは常にリリーの意見を聞くようにしよう。
相手の話を聞く事は、普通の事なのに俺はまた間違う所だった。
ソフィーア殿下が留学してこなければ気づけてなかったかもしれない。
今度関係者が集まって、
【リリーを守り隊】の話し合いをする事になってる。
このふざけた名称はエミリーが名付けたそうだ。
今回の人生でも戯けた快活な所は変わってないんだな。
懐かしい気持ちと苦い気持ちが入り混じり憮然としたが
早速明日のリリーとのデートで実践だ!
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