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⑩ 噂は噂でしかない

お姉様の婚約者のカイル様はとっても教えるのが上手だった。

将来はお義兄様になる方なのに、あまりお話させて頂く機会が今までなかったんだけど、試験勉強に付き合ってもらったら、今回の試験では3位になった。


私は優秀な家庭教師のおかげで学園ではSクラス。

クラスの人数は15名なんだけど、よっぽどのことがない限り1位〜15位まで確定してしまってる。

なかなかそれ以上の成績を取ることができないのが常で

私はいつも8位だったのに、グンと上がった。


張り出された試験結果を見てびっくり。

周りもびっくり!


試験勉強の秘策を聞こうとするみんなに囲まれちゃった。

でも教えるわけにはいかないわ。

教えたらみんながカイル様に教えてもらおうと押しかけそうだもん。

お姉様も怒りそうだし⋯⋯。

なんとか誤魔化そうと、知恵を絞り出してみたけど、元来ポヤーっとしてて、姉にお世話ばかりされてる私が思いつくことなんてたかがしれてる。


結局バレちゃって昼食の時間の食堂でカイル様の所にクラスメイトが3、4人で囲んでた。

(カイル様 ごめんなさい)

心の中で手を合わせたけどお姉様に見つかると厄介だなぁと思ってマリーナを誘って食堂を出た。


一緒に学園内にあるパン屋でサンドイッチと飲み物を購入して中庭を目指す。

もう少しで目的のベンチにたどり着く時に、アリー様に呼び止められた。


「リリーベル様、ごきげんよう」


お姉様に気をつけるように注意を受けてたけど、挨拶は返さないといけない。これは礼儀だ。

私とマリーナもご挨拶を返したけど、アリー様はなぜかマリーナの方には挨拶しなかった。

アリー様は侯爵令嬢。

私もマリーナも爵位は格下だからこちらから指摘することはできない。


しかも挨拶だけして、その後は話しかけるわけでもなく

ジッと私を見てるだけ。これはどうすればいいのかしら?

困ってしまった。

いつまでもここで立ってても、昼食の時間には限りがある。

マリーナにも迷惑かけちゃうし、ここは意を決して!

と、思ったら


「リリー、ここにいたのか!」


オーラン様が現れた。


「今からそこのベンチで食事をとろうと思ってました。オーラン様は昼食は召し上がりました?」


「まだだよ、リリーを探してたんだ。一緒に食べようと思って、ほら!3人で食べよう」


オーラン様は手に持ってる紙袋を見せながら、誘ってくれたのだけど、なぜかアリー様もついて来る。

オーラン様が言った3人は私とマリーナとオーラン様だと思ったのだけど違ったのかしら?


「私は遠慮しますね」


アリー様がついて来るので、私と同じことをマリーナも思ったみたい。


「なぜ?2人で食べるつもりだったのだろう?お邪魔は俺の方だから。でも折角買ってきたから仲間に入れてくれないか?」


「えっとーーーでも」


「あぁ。アリー嬢、なぜ一緒について来るんだ? それとも何かリリーに話でも?」


「オーラン!どうして急に呼び方を変えるの?それに3人でと言ったじゃない」


「急でもないんだけどね。学園に入ってからはこの呼び方だよ。だって婚約者でもないし、昔はあったけど今は家同士の付き合いもない。学園が一緒というだけでただの知り合いだから当たり前に呼んだだけだよ。それに3人とは俺とリリーとマリーナ嬢の事だ。

あぁそれから今後は俺の事も呼び捨てはやめてくれ。それが礼儀だ。それじゃあ、食べる時間がなくなるから」


オーラン様はアリー様に冷たく言い放つ。

アリー様の目からは涙が流れていたので、ハンカチを渡そうとしたのだけれどマリーナに止められた。


それから私達は3人で予定のベンチよりも少し奥に行った所に座った。

なんとも気まずい雰囲気で食べ始めたけど、オーラン様が積極的にマリーナに話しかけて、2人の話が盛り上がってきたので、私はホッと胸を撫で下ろす。

私に付き合ったせいでマリーナに気まずい思いをさせたくなかったから良かったわ。

それにしても何時にも増してオーラン様は冷たかった。

だけどお姉様の言ったとおりオーラン様とアリー様の噂は噂でしかなかったのね。


そのことに安堵して、私は美味しくサンドイッチを頬張った。


ここまでお読み頂きありがとうございます

次回もよろしくお願いします

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