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緋刃ノ吸血姫  作者: 飽き性・。・v
スクラ村編
7/17

5旅立ち


 イムギット王国で剣術大会が開かれることを知った私は、大会に参加することにした。


 私が参加を決めたのは、賞金が出るからである。


 優勝賞金は金貨五百枚。二位ならば二百枚、三位でも百枚である。私もそれなりに剣を振るっているので自信はある。


ぜひとも優勝して、働かなくてもいい暮らしがしたいと思った私は、直ぐに準備を済ませ村を発つことにした。


「リアナさん、今までお世話になりました!」


「私もお世話になりました! リアナさん!」


「寂しくなるけど、ルピナスさんが一緒なら安心ね。いつでも帰ってきなさい・・・・」


「ここはもうあなたの故郷みたいなものなんだから。」


「は、はい!」


 リアナさんには本当にお世話になったので、いつか恩返しがしたいものだ。


 宿を後にした私たちは、ギルドに向かった。


「おはようございます。テトラさん」


「おはようございます」


「いよいよ今日ですか、寂しくなりますね・・・・」


テトラさんがリアナさんと同じことを言った。


 私がこのギルドで活動していた期間は短いけれど、テトラさんには冒険者としてのあれこれを色々と教えて貰っていたので、この村ではリアナさんと同じくらいお世話になっている。


「テトラさんその、お世話になりました!」


「私も! お世話になりました!」


「ディオネさん、ルピナスさん。こちらこそ、お世話になりました」


 テトラさんが深くお辞儀した。


 テトラさんにお辞儀を返した私たちはギルドを出て、この世界で出来た故郷を後にするのであった。





 スクラ村からイムギット王国までは南西の方角に森を抜けて、徒歩で一週間の道のりである。


 私が魔法を使えばその日のうちに王国まで行けるだろうけど、急ぐ旅でもないので、のんびり行かせて貰う。


 辺境の地であるスクラ村周辺の地域は、街道の整備が進んでおらず、道のりが悪い。


 森を抜けるまでは魔物が出没することも少なくなく、私たちは常に周囲に目を光らせていた。

 

『天眼』は便利だが常に使おうとすると魔力の自然回復が追いつかなくなるので、一時間に一度使う程度にしている。


 陽が傾くころ。そろそろ森を抜けて街道に差し掛かろうかというところで、ルピナスが何か見つけたようだ。


「ディオネ様! あそこの草陰に何か潜んでいます!」


 と、ルピナスが指を指す。


 それを聞いた私は『天眼』でルピナスが指を指した方向を見る。


 すると、三匹の魔狼が潜んでいるのが見えた。魔狼というのはゴブリンと同ランクの下級の魔物だ。どうやら向こうは、こちらを襲うタイミングを伺っているらしい。


 私はそれを悠長に待つ必要もないので、草陰に向けて素早く風属性の初級魔法である"風弾(エアーショット)"を三発放った。


 風の弾丸が瞬く間に魔狼を穿つ──


『天眼』から魔狼の気配が消失しているのを確認した私は、馬車の荷台で横になった。


 暗くなる前に街道に入った所で、今日は休むことにした。


 私は"収納魔法(ストレージ)"から村で買い込んでいた野営用の装備と、食材を取り出すと、ルピナスに集めさせた薪に魔法で火をつけた。


 テントを張り、焚火の近くに腰かけた私は、チーズに木の枝を通すと、それを焚火の周りに並べて刺した。


 チーズの表面が焚火に煽られて溶けたら頃合いだろう。


 私はそれをパンに乗せて食べた。


「うん、美味しい! 素材がいいね」


「はい! ディオネ様と一緒に食べると何でも美味しいですが、これはほんとに美味しいです!」


・・・・素直な感情を言葉にして伝えられるのは少し恥ずかしいけど、ルピナスに言われると悪い気はしない。


 食事を終えると私はテントに入り、ルピナスと交代で見張りをしながら、旅に出て最初の夜は更けていった。








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