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緋刃ノ吸血姫  作者: 飽き性・。・v
スクラ村編
6/17

4襲来、ワイバーン


 突如、空から飛来してきたワイバーン。


 冒険者ギルドは、ワイバーン討伐依頼の受注条件をAランク以上に定めている。つまり、上位の魔物だ。


 全長は、八メートルはありそうだ。


 私はすかさず『天眼』でワイバーンを解析した。


 体表を覆う厚い赤鱗は高い物理耐性を持ち、生半可な武器では傷一つつかないだろう。


 それでも、私の持つ緋刃ならば切り裂けてしまえそうだが。


 人の頭など容易くかみ砕いてしまいそうな大顎からは、炎の吐息が漏れ出している。


 そんなワイバーンだが竜の一種である。竜はどの種類も共通して雷に弱いという弱点がある。


 ワイバーンが村に来たら大惨事になるし、ここで止めなくては・・・・。


 と、分析していると。ワイバーンが咆哮を上げながら口から灼熱の吐息を吹きかけてきた。


 私はそれを咄嗟に血で創った盾で防ぐ。


 避けると後ろにいるルピナスに直撃するし、そのまま受けるのもあまりいい気はしないからだ。


「ルピナス! あなた、あれと戦える?」


「はい! 私、地上に降りてきてからめちゃくちゃ弱くなってますので! ワイバーン如きが相手だと流石に食い殺されちゃいます!」


・・・・そういうのもっと早く教えて欲しかったな。


「ルピナスは下がってて。ここは私一人でやるから! 辺りに火が燃え移ったらそれの消化をお願い!」


「はい! ディオネ様、ご武運を!」


 戦闘を長引かせて周囲に被害が出ないように一撃で沈めることにする。


 そうときまれば、高い物理体制を持つワイバーン相手に、わざわざ接近戦を挑む必要はないだろう。ここは魔法の出番だ。


 私は『宙の智慧(ラジエル)』からとある魔法の智慧を引き出す。


 それは、神の力の具現。


 その一部を使ってみることにする。


 私は魔力を練り上げながら。迸る雷光をイメージすると、ただ一言呟いた。


「"雷神ノ啓示(ヴァジュラ)"!!」


 天より降り注ぎし大いなる光の奔流がワイバーンを飲み込む──後に残ったのは、全身が炭化した残骸のみであった・・・・。


 今、放ったのは超越魔法の一つ"雷神ノ啓示(ヴァジュラ)"その雷は神をも堕とすという。


 威力と範囲は出来る限り絞ったのだが、それでも私の全魔力の半分以上を消費していたのだ。


 私の魔力量は決して少なくないはずなのだが・・・・。


 このまま使うには燃費が悪すぎる。


「これじゃ、連発は無理ね・・・・」


 と、おもわず前に倒れこみそうになった私をルピナスが抱き留めた。


「お疲れ様ですディオネ様! お見事でしたね!」


「張り切り過ぎたわ・・・・」


 その後、ルピナスに薬草の採取を任せた私は、ワイバーンの残骸を"収納魔法(ストレージ)"に放り込んだ。


 テトラさんにどう言い訳しよう・・・・。


「そうですか、雷に打たれて死にかけていたワイバーンが森の中にいたとは・・・・」


 冒険者ギルドに戻った私たちはテトラさんに事情を説明していた。依頼中に起きた出来事は報告の義務があるからだ。


 この言い訳を使うのも二度目だがあっさり信じていた。


 どう考えても私のようなぱっと見幼女が、ワイバーンなんて倒せると思えないもんね・・・・。


 ルピナスは空気を読んで黙ってくれている。


「普段森の奥にいるゴブリンキングもそのワイバーンに住処を追われるような形でこの村の近くに現れたのかもしれません」


「しかし、ディオネさんも大変ですね。ゴブリンキングといいワイバーンといい」


「そうですね・・・・。運がいいのか悪いのか」


 こうして、私たちはワイバーンの乱入というイレギュラーに見舞われながらも依頼を達成することができた。


 初日からワイバーンに襲われるなんて、この世界の冒険者は命が幾つあっても足りないな・・・・。





 ディオネがワイバーンを討伐してから一週間が経過していた頃、村から南西に位置する。イムギット王国では、年に一度開かれる国主催の剣術大会の開催が予告されていた。










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