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Aerial Wing -ある暗殺者の物語-  作者: ちゃーりー
皇女の居る日常
29/119

―王に愛されし者達―

‐王に愛されし者達‐

 本日は晴天なり。

朝日が俺の部屋を明るく照らし、微睡みの中に居た俺を覚醒へと引きずり出してくる。


 ええい、忌々しい。時計を見ればまだ6時半。朝飯の時間を入れても1時間はまだ寝てて大丈夫だろう。二度寝だ二度寝!なーんて思っていたのだが……。


「……はは。寝坊したよ。シャワー浴びる時間しかないじゃないか」


 重ねて言うが、ウチのギルドに明確な出勤時間はない。ただ、クエストなどの集合時間は必ず守ることと、休むなら休むと、必ず連絡を入れる事が絶対条件だ。つまり、普通なら、今からシャワーを浴びて、朝食を食ってから出勤してもなんら問題はないのだが、エリシアがギルドに8時に来て欲しいと言っていたのだ。一日でなるべく多くクエストをこなしたいと言っていた。

 とりあえず、俺はシャワーだけ浴びて、新しい服に身を包み、髪も乾ききらぬまま、俺はギルドの扉をくぐるのだった。


「おはよーっす。おやっさーん、なんか軽く朝食食わせてー……って何やってんだ皆」


 いつもだったら騒がしいギルドが、なんか静まり返っていた。

そして、テレビがつきっぱなしになって、みんながエリシアのほうに注目し、エリシアはそのテレビに見入ってしまっていた。



『繰り返しお伝えしております。現在も混乱が続いているオーディア国内で、現政権代表のネブラ将軍が、何者かに暗殺されました。繰り返します、オーディア現政権代表、ネブラ将軍が何者かに暗殺されました。現政府軍は、これをラジール政権の残党の仕業として、捜査を進めている模様です』


 テレビに映るニュースキャスターが、同じような文言で、なんどもそのニュースだけを早口で伝え続ける。恐らくネブラ将軍はアルデバラン王に処刑されたのだろう。エリシアを明け渡せなかった為に。


『先日から行方が分からなくなっているラジール皇、そしてアリシア皇后、エリシア皇女の安否は、未だ確認されていません。国民の中には、エリシア皇女の国外逃亡を切に願うとコメントしている国民も、少なくなく、オーディア国民の心の支えであったエリシア皇女の安否が気遣われます。この件につきまして、ジャーナリストで……』



俺は黙って、リモコンを手に取り、テレビを消した。


「「「「「「「……………………」」」」」」」


 重い沈黙が、ギルドに流れる。

これで実質、オーディアはアルデバランの支配下に置かれることになるだろう。

 結果、オーディアの国民はラジール政権と同じような、いや、あるいはもっと劣悪なアルデバラン政権により支配され、奴隷のような扱いを受けることになる可能性が出てきた。

 オーディアを手に入れたアルデバランは、陸続きとなったここレオニードに攻めてくるのだろうか?

また、戦争が始まってしまうのだろうか。


「は、ははは。ざまぁないな、ネブラの野郎! なぁジーク?」

「え? あ、そーだよな! 結局、エリシアさんが大変な目に遭ったのって、全部とは言わないが、主犯はネブラだもんな! やっぱあのときもう一発くらい殴っとくべきだったかなぁ? なぁアーチャー?」

「僕に振るなよ。でも、これでアルデバランの今一番欲しかったであろう、オーディア領が手に入ったのか。……もしかしたら、もうエリシアさんを付けねらう必要はなくなったんじゃないか?」


 まるで意見のリレーでもしてるかのように、俺にまでアーチャーが話しのバトンを運んできた。

ここはなるべく希望的推測を口にしておくべきだろうな。



「……そうだな。エリシアが例えレオニードに亡命した事が分かっても、まさか、あのアルデバランが本気でエリシア一人のために、レオニードに対して戦争を起すなんてありえない。オーディアを取り込んだからって、それでも兵力はレオニードのほうが上回ってんだし、唯じゃすまないことくらい、あいつだってわかってる」

「………………」


 エリシアはただ黙って俯いただけだった。


「はぁ。ほれ、しゃきっとしろ! 仕事行くぞ仕事! お前は落ち込んでる暇なんて無いんだぜ?」

「きゃん!?」


 俺はじっと悪い方向にどんどんどんどん考えているであろうエリシアの背中を、軽くひっぱたく。


「レイ……。そうだよね! 今日はどれ? またペット探し?」


 エリシアが、いつもどおり、とは行かないが明るさを取り戻し、クエストを一緒に選び始める。

しかし、俺ももっと、何か気の利いた言葉を掛けてやれないのだろうか。俺がもう少し、ましなフォローができたなら、エリシアをもっと勇気付ける事も出来るだろう。自分の口下手度合いに、嫌気がさす。いや、今はいい。エリシアが少しでも元気になったんだ。俺にしちゃ上出来だと、今は思うしかない。


「そーだな。この間のトロールの件もあるし、そろそろモンスター退治も担当して良いかもな。現地には俺一人で行くから、エリシアは司令室でいいぞ。あそこの使い方を、まずは完璧にしよう。まだ若干拙さがあるからな」

「うん! わかった」


 クエストボードから依頼書を剥がし、マスターへ提出しようとした時だった。


「ごめんね、レイちゃん。ちょっと今日は一緒に来て欲しいところがあるの。 今回のエリシアちゃんのバディは、アーチャー君が担当してくれるわ」

「え?」

「まぁそういう事なんだ。すまない二人とも。狙撃手のサポートも重要な仕事だし、戦場指揮官としては大切な任務だよ。レイ、マスターを頼むよ?」


 マスターの浮かない顔と、アーチャーの真剣な眼差しが、事の重大さを物語っていた。


「……今から、元老院、ペテルギース様のお屋敷に参ります。至急相談したいことがあるとの事で、迎えの者がまもなく到着するそうです。レイちゃん、護衛をお願い」


 ペテルギース。元老院最高権力者であり、ハーフエルフであるマスターと、ロキウス王の仲を快く思わず、マスター暗殺を企て、俺がエアリアルウィングに所属している事をアヴェンジャー達に漏らした張本人だ。


「なるほど? 向こうから直々にお呼び出しとは、嫌な予感しかしませんね。了解です、フル装備で行きます」


 俺はすぐさま倉庫へと向かい、装備をフルで整える。エリシア救出時以上のフル装備だ。一応、精霊剣も持っていこう……。


「あの、レイ」


 不安そうに、エリシアが俺の倉庫の入り口で俺を見つめていた。


「心配するなよ、ちょっと糞爺の面拝んで来るだけだ。そんなことより、アーチャーのサポートしっかりがんばれよ、俺のときとはちょっと勝手が違うだろうけど、いい経験になるから、しっかり勉強してくるといい」


俺は笑いながら、エリシアの頭に手をぽんっとのせ、倉庫を出る。


「レイ、マスター。どうかお気をつけて」


 心配そうに見送るみんなに適当に挨拶し、糞爺が寄越した高級車へと乗る。

マスターのハーフエルフの証拠である横に長い耳が少し下がり、凛とした表情が作られてあるものが見て取れた。


「マスター、耳。下がってますよ」

「ぁぅ」


 いけない、もっと下がってしまった。マスターは不の感情に囚われた時、耳が少し下がり気味になる。逆に、喜んでたりノリノリだったりすると、耳がやや上に傾く。

ロキウス王は『小動物みたいで可愛い』とか言いながら、その耳を愛でると、酔っ払ったマスターがヘラヘラしながら惚気ていたっけ。なんともアイツらしい。……おっと、スイッチが思わず緩んでしまった。いかんいかん。集中だ集中!


 


 車で1時間も走っただろうか。

郊外の静かな田舎町に、大きく佇む豪邸が見えてきた。

あそこが、今から行く蛇の城。ペテルギース邸だ。


―ペテルギース邸―


「ようこそおいで下さいました。まずは、武器をそちらに置いて頂きますかな?」


 執事長のようなものが俺に指示を出した。俺は当然のごとく、即答する。


「断る」

「レイ」


 マスターが静かに俺のことを制するが、俺は一歩たりとも引かない。

見渡せば、執事に交じってペテルギース直属の暗部が構えている。

やつらは、全員、ゼクス隊長と対立するアルバトロス暗部隊長の部下だろう。

当然俺を快く思ってない連中だ。


「自分はロキウス王よりセイラ様の護衛を任されている。すなわち王命。命に代えても、彼女をお守りするのが我が使命であり、その自分から剣を奪うこと、それすなわち、王に対しての謀反と見なす。その覚悟が、貴殿らに御有か?」


俺の凄みに対し、執事長は、しぶしぶ道を通した。


「どうぞ、こちらへ」

『ヒソヒソ(チッ。亜人の分際で)』

『ヒソヒソ(いい気になりやがって、売女が)』


 聞こえる様に陰口を叩く連中に殺意が湧いた。ぎりっと奥歯が鳴る音がして、右手が剣の柄を握り、痛みを感じるほどだった。


「レイちゃん。大丈夫だから。ね? 私は何も聞こえないわ」

「くっ!」


 応接室に通され、長いテーブルの向こうに、そのしわくちゃの汚い顔があった。


「これはリーゼリット様、遠路遥々ようこそ我が館へいらっしゃいました」

「ペテルギース様、御久しゅうございます。素敵なお屋敷へのご招待、感謝いたしますわ」


 マスターは貴族のように一礼をする。


「これ、お前たち。お茶の用意をしなさい」

「お気遣い無く。主は多忙の為、長居は出来ないのです。そしてこの地の水は硬水。主の身体は繊細ゆえ、身体に障っては今後の執務に影響が出てしまうとかないません。用件だけ、お聞かせ願えますでしょうか」

「レイ。折角ですから頂いて行きましょう。ペテルギース様の折角のおもてなし、失礼ですよ?」


 失礼だって? 良く言うよ。毒を盛られるリスクを考えてるのか? いや、大丈夫。解毒薬なら全て揃えてきた。

すぐに解毒することができる。

あっちが妙な真似をしたら、即座に全員斬り殺して、脱出を考えないと……。


「イエス、マイ・ロード」


 メイドが紅茶を運び、マスターのカップに湯を注ぐ。

俺はそのカップ、ポット、全てに警戒し、誰にもばれないように、純金製のスプーンを銀製のスプーンに置き換える。もし何らかの毒薬が盛られているのなら、スプーンは変色し、すぐに分かるだろう。念には念を入れ、マスターがカップに口を付ける前に、俺が試飲する。

よし、問題は無い。ついでだ、この純金スプーンはくすねてしまえ。ざまーみろクソジジイ。


「おいしい。実に良い茶葉をお使いなのですね。これはダージリンかしら」

「さすが賢者様ですな。ダージリンの2番の高級品です。おっと、今は元賢者様でしたな」


 この糞爺。誰のせいでマスターが賢者の地位を降りたと!

思わず俺は、袖口の投げナイフに指が伸びてしまっていた。


『私は良い仲間を持ったわ。賢者という立場に居るより、私は今の私が誇らしい。あなた達のリーダー、このギルドのマスターであることが、とても嬉しいの』


 セイラさん。それでも俺は、目の前のこいつが許せないよ!

今すぐにでも殺したい!


「ところで、ご相談したいこととは?」

「エリシア皇女を、匿っていらっしゃいますな?」

「「!」」


ジジイの言葉に、俺とマスターは硬直した。


「隠さなくともよろしい。貴女が動かなくとも、依頼があったのなら、ロキウス王はアサシン部隊を派遣し、彼女を救出したでしょう。しかし、ロキウス王は判っていない。アルデバランは狂気の王。このままでは、巨大国家同士の戦争に発展するのではないか? 私はそれを懸念しているのですよ」


なるほど、アルデバランの禿親父なら確かにありえない話じゃない。俺でもそれは思う。


「お言葉ですが、先のクーデター鎮圧に当たって。我が国は難民の受け入れを連合諸国議会に申し出て、それを受諾されています。アルデバラン王もそれは承知のはず。ですから、エリシア皇女を難民として受け入れたとしても、何ら問題は無いはずです。それに、アルデバラン王も、我が国にはそうそう戦など起こせるとは思いませんわ」


マスターは凛と向き合い、堂々と言い張った。


「もちろん、私もそうは思います。しかし、アルデバランはエリシア皇女を渡せば、今後の平和条約は間違いなく保たれると、ロキウス王に進言している。アルデバランとの衝突は出来る限り避けるべきだと私は考えておるのです。貴方もそれはお分かりでしょう? エリシア皇女と、我が国の大勢の民。天秤には掛けられますまい? どうかエリシア皇女をアルデバラン王に明け渡してはくれませぬか」


 紅茶を一口飲んで、すこしだけため息をついたマスターは、一言、最高に歪にひきつった営業スマイルで告げた。


「お断りしますわ♪」


 まぁ、当然過ぎる答えだ。彼女は絶対に仲間を売ったりしない。勿論、この俺も同意見だ。


「さて、お話は済んだみたいだし、レイ、帰りましょう。ジークに連絡をお願いします。今頃飛竜とともに近くで待機しているはずですから」

 

 根回しのいいことで……。ま、マスターが、万が一の脱出の経路を考えないはずが無いか。

俺はジークに連絡をとった。本当にジークは近くの村で待機しているようだった。


「ま、待ちなされセイラ殿!」

「美味しい紅茶ご馳走様でした。またいずれ、お会いしましょう」


 軽やかに、これ以上話すことも無いという風に、マスターは退室する。俺はマスターの隣を並んで歩く。


「お待ち下さい、賢者様」


 俺たちの前に、マスターの陰口を言っていた男二人が、立ちはだかる。良い機会だ。……ぶちのめしてやる。


「神速」


 俺は一般人には到底目に映らないような速さで、こめかみと鳩尾に一発ずつかまし、首筋に神経毒の一種を打ち込む。


 これは即効性の麻痺毒なのだが、面白いことに、しばらくの間、体が石化したように動かなくなり、気絶しても倒れず、立ったまま気絶するという不思議な状況を作り上げるのだ。それを一瞬でやってのけると、普通の人間が見れば、ターゲットの時間が止まったかのように見えるのだ。


「クス。まぁ、悪い子ね」

「何の話ですか? っていうかいい加減子ども扱いは止めて下さいよ。前々から思ってましたけど」


 俺は呆れながら、マスターに異議を唱える。


「そういう下らない悪戯をやめて、自分の感情をしっかり制御できて、女性をしっかりエスコートできたら、考えてあげます♪」


 そういうマスターの顔は、実に晴れやかだった。


「なるほど。それなら、しばらく子ども扱いは直りそうにありませんね。だって、まだまだ嫌でも止められそうにありませんから」


 再度、俺達の前に立ちはだかり、時には攻撃しようとしてきた男たちを次々と、俺は同じような『オブジェ』へと変えていく。最後に硬直させた男を、俺は額を人差し指で押し倒し、玄関の扉を大きく開け放った。


「馬鹿な!? 暗部達がこうもあっさり」


 悪いなクソジジイ。隊長とマスターはスパルタだし、とんでもない輩に目を付けられてるんでね。嫌でも神速のスピードを上げる必要があったんだ。今の俺は、唯の暗部隊員ごときには止められない。


「ふふ……また、速くなったのね。この短期間で素晴らしい成長ね、レイ。お見事です」

「貴方様に加え、元皇女の護衛もロキウス王から仰せ付かっております故、おちおち寝ても居られないのでございます。ロキウス王にしても、ゼクス隊長にしても、自分の上司はどうしてこうも、要求ばかりキツイのでしょうか。過労死でもさせたいのでしょうか?」

「プッ。そうね、私も反省します。ですが、ギルドに帰るまでが任務です。しっかり頼みますよ?」

「イエス、マイ・ロード」


 俺達は軽やかな足取りで、障害を払いつつ、玄関を抜けた。


 それと同時に、屋敷の玄関前ロータリーに、ティアマトとジークがゆっくりと降り立った。


 すると背後から、ペテルギースは息を切らせながら、走って追いかけてきた。ご苦労なこった。


「待たれよ! はぁはぁ、アルデバラン王との婚姻は、エリシア皇女のためでもあるのですぞ!? 巨万の富、王妃という地位、全てが約束された未来! なぜそれを拒む!? 拒む理由は何処にある!!!」


 その言葉に、何故かマスターより先に、ブチギレ寸前になった俺がしゃべっていた。


「あんたは、エリシアを知らない。エリシアはそんな物、ひとつだって望んでない。エリシアにそんな鳥篭は似合わないさ。アイツをあのアルデバランのクソ野郎の慰み者なんかにさせない。わかったらさっさと隠居でもしてろよ、干し肉ジジイ」


 


「貴様ぁ! 無礼者め! なんと言う口の利き方だ!」


 その一言に、俺は思わず失笑してしまった。自分でも気がつかないうちに、スイッチがオフになってしまっていたらしい。まぁいい、こいつにスイッチを入れる必要なんて無いだろう。


「無礼? 上等だ。どうする? 王様にでも言いつけるか? きっとロキは鼻で笑うぜ?」

「な……な!? 『ロキ』!?」

「ちょっレイちゃんってばもぉー。知らないわよ? 私」

「え!? レイ何暴走してるの!? 今の物凄い爆弾発言だよね!?」


 ジークが驚きの声をあげ、マスターが呆れてしまう。俺は全く気にせず、堂々と続けてやる。


「じいさん。うちのマスターを従わせたかったら、まずロキから説得するんだな。でも俺がロキならこう言うぜ?『たった一人守れない国が、どうして大勢の民を守れるんだ!』ってな。それとも、もう相談して断られたんじゃないか? だからセイラさんを説得しようと呼びつけた。図星だろ。残念ながら、セイラさんは仲間を売ったりしない。それがエアリアルウィングマスター、セイラ=リーゼリットだからな。ついでに言っておいてやる。次、セイラさんやエリシアになんかしてみろ。てめぇを八つ裂きにして、野良犬の餌にしてやる。これは脅しじゃない、警告だ。忘れんなよ? アサシンの怖さなら、お前も十分理解してるだろ? 心優しいロキとセイラさんに感謝するんだな。二人が殺すなって言ってるから、殺さないだけであって、仕方なく我慢してやってんだ。だが、二度目は無いぞ? 次は……殺す」


「く、小僧。レイとか言ったな。その顔、その名前、しかと覚えたぞ!」


 俺はフンと鼻を鳴らし、ティアマトに乗った。ティアマトは、大きく翼を広げ、上空へと羽ばたく。


「申し訳ございませんペテルギース様。彼にはよーく言って聞かせますので。あ、それと一言。とても良い車をお持ちですが、田舎道はまだ舗装が進んで居ないご様子。乗り心地最悪でしたわ♪ 飛竜へのお乗換えをオススメしますわ♪ さ、行きましょうかジーク」

「い、イエス、マイ・ロード……」


 ジークは顔が引きつったまま、ティアマトに帰還を命じた。


 そして、屋敷が小さくなっていく中、マスターがポツリとつぶやいた。


「レイちゃん、罰としてトイレ掃除一週間ね」

「イエス、マイ・ロード。喜んで」

「それとね、ありがとう。すっきりしたわ」

「……どーいたしまして」


 お互い苦笑いしながら、俺達のギルドへと帰還するのだった。

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