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9.雑草も初見じゃ輝いて見える

さて、魔王ザザール・パインをあっさり仲間にした俺は一度貴族との交渉がどうなったかを確認する為城へ戻る。


もちろん魔王は一緒ではなく計画を実行に移す時にはこちらから連絡を入れる……筈だったのだが。


「おい見ろ、山崎。あんな所に獣耳の女がおるぞ!」


「そうだねー、凄いね。女は女でもおばさんだけどね。」


「おい見ろ、山崎。空にドラゴンが飛んでおるぞ!」


「そうだねー、凄いね。火を吹いてるね。」


「おい見ろ、山崎。スライムがおるぞ!話には聞いておったがこんなに愛くるしい姿とはな、生で初めて見たぞ!」


「そだねー。てか魔王がスライム初めてってどうなんだ?」


「何を言う、儂は幼少の頃から魔王軍幹部ぐらいとしかあったことがないのじゃ!しょうがなかろう。」


成る程な、確かに日本でも大企業の社長は平社員のことなんてわかんないもんな。


とかそんな事はどうでもいい。


このお子様魔王は親が過保護だったこともあって魔王城から一歩も出たことがないらしい。

それで俺が城に戻ると言ったところ


「儂もついていこうではないか! 魔王として人間の調査は欠かせないからな。」


とか言ってついてきたのだ。


そんな事は手下にやらせとけよって思ったが、まあそれを子供相手に言うのも野暮というものだろう。


そんなこんなで同じ馬車に乗り込みかれこれ五時間、ずっと魔王パインの話相手、相槌をうつだけだか、をしてるのだ。


しかしこれが相当キツイ。


パインにとっては目に入る全てのものが新鮮に見えるようなのだ。

なんにでも目を輝かせ、話を振ってくる。

面倒くさくなって相槌をうつのをやめたらちょっと寂しそうにするもんだから無視も出来ない。


でも流石に


「おい見ろ、山崎。道に雑草が生えておるぞ!」


と言われた時は一瞬本気で無視しようか悩んだ。


結局優しく返事したけどな。


こんな苦行をもう一時間程耐えたあと俺達はようやく城に帰還した。


一応パインには自分が魔王ってことはバラさないように言っておく。


俺達が帰る頃にはもう日もすっかりくれ、満月が輝いてる。


俺はパインを部屋に案内する。

するとすでに部屋には松田がいた。


「あ、先輩。おかえりなさい。」


「おう、ただいま。」


「先輩、横に連れている子供は誰なんです?」


松田の質問に得意そうにパインが答える。


「儂は魔王ザザール・パイン様だ! そこの庶民よ、本当ならお前達が一生会うことすら叶わぬ存在だ。讃えよ。」


パインは松田が驚くと予想していたようだか松田はまったく動じず


「君が魔王ザザール・パインか。僕は松田よろしく!」


と笑顔で返す。


パインは少し落ち込んだようで


「なんじゃ、なんじゃ。なぜ驚かぬ、山崎もじゃったがなぜなのだ。やはり儂に貫禄がたらんせいかのぅ……。」



何故かって?

そりゃ魔王が可愛いロリっ子なんて設定毎日一回は持ち込まれたからな。

俺にとっても松田にとってもなんら奇抜なことではないのだ。


松田は優しく声をかける。


「貫禄? 違うよ君があんまりにも可愛いもんだから驚く余裕も無かったんだよ。」


あれ? 松田?


「儂が可愛い?」


「そう、とっても」


なんかお前口説いてない?


「さ、こっちにおいで。」


松田がパインの手を取ろうとする。


こいつ絶対勘違いしてるな。

一応一言いっとくか。


「おい松田、そいつ13歳だからな。」


松田の手が止まる。


「え? 先輩この子ってお約束の合法ロリなんじゃ……。」


「違法だ。」


「チックショウゥゥゥヴ! 何でだよ! 合法ロリなんてやっぱりフィクションなのか⁈ 異世界でもアンダー18の壁は存在するのか⁈」


松田は叫ぶ、ちょっと前の俺のように。


人のふり見て我がふり直せとはよく言ったもんだ。俺はドン引きし、もう二度とこんな真似はしないと密かに誓った。


ちなみに少しロマンティックな気持ちになっていたパインは完全に呆れて……おらずむしろ目を輝かせて


「おい見ろ、山崎。松田が発狂しておるぞ!」


こんな時も好奇心は旺盛なようだ。


しばらくして落ち着いて松田に今度は俺が尋ねる。


「プリン・プルルン公爵との交渉はどうなった?」


「その事なんですが先輩に先に謝らないことがあって……。」


「まさか失敗したのか⁈」


「いえ、交渉自体はうまくいきました。」


「じゃあ何で謝るんだ?」


「それがですね、交渉をスムーズにする為に先輩の携帯手土産にあげちゃいました(笑)」


「はあぁぁぁぁぁ⁈はぁぁぁぁぁ⁈」


「いやー、交渉のためですからね。しょうがない犠牲でしたよ。」


「しょうがなくねーよ!あれには俺のディープな夢が詰まってたんだぞ! 返せ、俺の携帯とみんな(夢)を返せ!」


俺は松田に襲いかかる。

再びベットの上でケンカが始まる。


ここまでくればもうお約束だ。


ドアを叩く音がした。


コンコン、ガチャッ



「師匠、アニキ。夜分にすいません。ちょっと用がありま……ヒッ! 幼女まで」


ガチャッッ!


「「勘違いしてんじゃねえー」」



俺と松田は速攻でタケルを捕まえる。



「ほんっと、夜分にすいませんでした!もっと気を利かせるべきでした!どうか、どうかご慈悲を!」



「「いい加減にしろ‼︎」」



一応誤解だと言っておく。


「で?こんな時間に用事って?」


「ハイ! 実は今しがたやっと雑巾がけの意味が分かったのです。全員で訪れては迷惑かと思い代表で僕が来ました!」


そういえばそんな事は言ってたような……。


「この修行の目的は完璧なナポリポンを習得するためのものなんですよね! 途中から気付いたんです。雑巾がけで使うエクスプリンが……」


タケルは話続ける。


うーむ、なんかよくわからん単語がたくさん並んでいる。


これ説明求めたらまた知らない単語が出てきて迷宮入りするパターンだろ。


クソゲーとかにありがちなパターンだ。


本人はそれで納得してるようなので正解にしとくか。


「流石だな。この短期間で理解するとは。もう次のステップに進んでも良さそうだな。」


「ほんとですか師匠!」


「ああ、修行内容は明日伝える。朝に全員で中庭に集合しろ。」


「わかりました! みんなにも報告してきます! 失礼します!」


タケルは嬉しそうに去っていった。


「先輩、雑巾がけさせとかなくてよかったんですか?」


「ああ、次の修行は松田に協力してもらう。」


「どんなのですか?城中掃き掃除とかごめんですよ。」


「いや、そうじゃなくて、明日からタケル達と一対一で戦ってもらう。もちろんタケル達には能力の使用は禁止してな。それで松田には組手の相手としてあの四人の戦いの癖を探って欲しい。」


「能力なしで一対一ですか、それに癖……。わかりました。やります。これも少しでも勝率を上げるためですからね。」


俺の意図を理解した松田は首を縦に振った。


「それで先輩は明日何するんですか?」


「俺か? 俺は明日も強力な仲間候補に会いに行く。」


「いよいよですか。……死なないで下さいよ。」


「絶対とは言えないがそうならないように頑張るよ。」


さあ、明日が命日になるかどうかは俺次第だ。


待ってろ、竜王ドラグニール・ノヴァ‼︎

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