4.スラム街の将軍
「僕を弟子にして下さい!」
「はい?」
「僕はこの世界で初めて敗北しました。他の勇者との手合わせでも負けたことがありませんでした。あなたはこの世界で最強の存在です。是非弟子に‼︎」
「……わかったよ。君を弟子にしよう。俺はスパルタ式だかついてこれるか?」
「絶対についていきます!」
こうして俺はタケルを弟子にする。
(先輩、いいんですか弟子にして。さっきケンカした時女の子パンチしか出来なかった先輩に師匠なんて出来るんですか?)
(出来るわけないだろ、いいんだよ別にちゃんとした指導なんかしなくても。とりあえず師匠になっとけば情報とかも仕入れやすいだろ?)
(成る程そういうことですか!)
「それで師匠、僕は何をすれば強くなれますか?」
「ああ、そうだな……。よし、今日はこの城全てを雑巾がけしろ。モップは使うなよ。」
「雑巾がけ? それになんの意味が?」
「ばっかもん! なんでも教えてもらおうとするんじゃない!考えるのも修行だ。」
「成る程! すいません、僕が未熟でした! 雑巾がけ、頑張ります!」
そういってタケルは城内に走っていく。
「よし、面倒な奴は消えた。松田これから二人で色々情報を集めるぞ、俺は城の外を調べる。お前は城の内部を調べろ。」
「面倒な奴って……。先輩けっこう性根腐ってる時ありますよね……。それで、手分けするのはいいんですけど僕は城内で何を調べればいいんです?」
「お前……。仮にも先輩に向かってよくそんなことを言えたな。お前は本当に恐れを知らない奴だよ。まあいいや、お前に調べて欲しい情報は、他の勇者の能力、勇者の仕事、城内での勇者の印象の三つだ。」
「わかりました。ところで先輩は何を調べるんですか?」
「街での勇者の印象だな。多分これが勇者を追い出す鍵になる。」
「へぇ、よく分からないけど了解です。ではまた後で。」
「ああ、またな。報連相を忘れるなよ!」
そう言って二人は別れる。
その日の夜……
ガチャッ、バタン。
「あっ先輩、おかえりなさい。お疲れ様です。どうです?街で収穫はありましたか?」
「ただいま、けっこう収穫ありだ。でもその前に、松田お前が調べたことを教えてくれ。」
「わかりました。まずこの世界にいる異世界人は四人、一人は先輩も知っているタケル・サトウさん、能力はドラゴン化と完全防御。本人が言うには多分核兵器でも無傷だそうです。はい、他の三人のも資料にしときました。資料には勇者の四人の仲間の情報もまとめてます。」
「ありがとう。成る程……。他の奴らもかなりチートだな。空間転移に超速再生、ゴム人間に空想現実化。とんでもないな。」
「はい、正面からやりあったら確実に負けます。次に勇者の仕事です。彼らは普段からこの城に滞在したった四人で城の警備をしてるようです。この仕事に就いたのは魔王を倒した後、つまり三年前です。」
「よく調べたな、その情報はかなり大事だ。次を頼む。」
「勇者の印象ですね。基本的に悪くありません。しかし勇者の仲間は別です。勇者の仲間にはかなりの美女が沢山います。しかし出身が農民や奴隷のものも居れば、お姫様や貴族の娘もいます。勇者たちはみんなを平等に扱うため一部の貴族や王族は苦々しく思ってるようです。」
「……松田。お前よくコネもないのに一日でそんなに調べられたな。そんなドロドロしたところ普通昨日今日現れた奴に話さないだろ。」
「僕は先輩の一番弟子だって言ったらタケルさんが全部教えてくれました。」
「成る程……、その手があったか。やっぱり師匠になったのは正解だったな。」
「僕の調べたことはこれで全部です。今度は先輩の調べたことを教えて下さいよ。」
「ああ、街での勇者の評判はかなりいい、でもやっぱり一部気に入らない奴はいるようだ。主に勇者に幼馴染とか行きつけの店の看板娘を寝取られてしまった奴ら。あと勇者の出現で仕事を失った奴らだ。その中には元城の警備兵もいたぞ。」
「それだけですか?先輩街での勇者の印象は勇者を追い出す鍵になるって言ってましたよね?」
「ああ、それは本当だ。これは切り札になりうる情報だ。松田、明日は二人で街に行くぞ!」
「二人でですか?どこに行くんですか。」
「スラム街だ。スラム街の将軍に会いに行くぞ。」
「スラム街?しかも将軍ってどういうことですか?」
「行けば分かる。明日はかなりハードな一日になる可能性もある。もう寝るぞ。」
「よく分からないけど先輩に従いますよ。じゃあお休みなさい。」
「お休み。」
こうして俺は松田の部屋から出て行く。
「明日で全てが決まるな……」
そう呟くと、俺は明日備え眠りにつく。
こうして異世界初日が過ぎていった。
ふざけて書いた短編にレビューがついてて沢山p vが増えててびっくりしました。
めっちゃ嬉しいです。