第37話 決着
短くて申し訳ありません。
続きは今週の水曜日までに投稿します。
「痛っっ!」
戦闘が終了し、自分の周囲が安全になったことを確認してから、破れた布を右腕の切断口にあてがいきつく縛り上げる。簡単な止血処理だが、血が止まったことで何とか動くことできそうだ。
ふらふらと体を動かし、上層へと続く階段を目指して歩く。痛みと失血により、一歩歩くのも辛い。死んでしまえば、失った腕や血液は回復して楽になるだろうと思うが、上層に行けばミストに魔法で回復してもらうことが出来る。復活回数を節約するためにも今は我慢しようと自分に言い聞かせる。
階段を上る前に戦闘が行われていた会議室をちらりと見る。戦闘が始まる前までは整然としていた部屋だったのに、自分の血や肉片が散乱した不気味な部屋になったなと思う。そしてその中心には鎧がぽつんと置かれている。
「大丈夫かな……」
自分の作戦は上手くいったが、鎧の中身は無事なのだろうかと一瞬だけ心配する。関節部は固定し動かないようにしたが、大き目に創ったため苦しくはないはずだ。
俺の心配に答えるようにして、ガタガタと鎧が振動する。その動きを見て安堵の息を吐く。どうやら中身は無事らしい。
武器創造の魔法は自分の周囲であれば、頭・胴体・腕・足等の何処にでも展開することが出来る。距離については武器によって差異があり、竹槍なら自分から数m程度離れた位置に、鎧であれば十数cm程度の近距離に展開できる。消費する魔力量や創造する物体の質量によって変わる。
その特性を利用して、俺は鎧を自分の身を守るために自分の周囲に展開するのではなく、ロミストフを鎧の中に閉じ込めるべく、ロミストフの周囲に展開したのだ。
どんなに達人であったとしても、動くことが出来なければどうしようもないのだ。動きさえ止めてしまえば、放置して上層を目指すということが出来る。上層に到着し、ミストを解放すれば、あとはアイツの魔法でどうとでもなるのだ。そうすれば戦略的にはこちらの勝利だ。
もちろん不安はあった。自分の情けない魔力で創った鎧の強度は金属製であってもかなり低く、ロミストフの腕力ならば内部から破壊することは容易ではないのか。
一応、手足が着けないように関節は固定したが、装甲を捻じ曲げたり、内部で筋肉を膨らませて、膨張した筋肉の勢いで装甲を吹き飛ばしたりするのではないか。
念のためにしばらく観察する。しかし。鎧は変化することなく振動するだけであった。
「まぁ、上手くいったのかな」
拙い戦法で情けない戦い方だったが、ともかく成功したのだ。
こんな方法で勝利してしまったことに対して、真面目に戦っていたロミストフへの負い目はあるものの、自分の目的を達成するには仕方のないことだったと自分を納得させ、階段を上った。




