プロローグ
初投稿です。
不慣れなので不定期更新になると思いますが、よろしくお願いします。
気が付けば違う世界にいた。
そんな経験のある方はいらっしゃいますか?
……いる訳ないですよね。
いったい何を言ってるんだこいつはと思われた方もいるでしょう。
ええ、分かっております。
自分でも何を言ってるんだと思いますから。
昨今は異世界トリップなるものが流行っておりますが、それはサブカルチャー内でのお話。
あくまでも空想。決して現実ではない。
そんなことを真面目に考えるだけ時間の無駄だと仰る方もいるでしょう。
ええ、ええ、分かっております。
では何故に態々そんなことを訊ねるのか。
まあ、今の自分が置かれた状況を分析した結果というか、ついに俺も時代に追い付いたというべきか。
……などと、益体もないことを考えながら俺こと深見真澄は、お空に向けていた視線を正面に戻し、直視したくなかった光景をもう一度視界に収めた。
目の前に広がるのは鬱蒼と茂る森と複数の何か。
その何かは人型だった。
子供のような小さく細っこい体躯で、身に付けているのはボロ切れのような布のみ。
醜く歪んだ顔と汚れた緑色の肌。
―――ゴブリン。
俺が有する知識の中で、それ以外に該当する言葉はなかった。
「マジか……」
絶対に認めたくはないのだが、残念なことに認めざるを得ない決定的な証拠が目と鼻の先にある。
当然、地球上にこんな謎生物は生息していない。
それでも俺の目の前に、こうして確かに存在している。
それはつまり、まあ、なんというか……そういうことなのだろう。
改めて皆さんにお訊ねします。
気が付けば違う世界にいた。
そんな経験のある方はいらっしゃいますか?
―――俺、ありますよ。
お読みいただきありがとうございます。