第三話 〜強き戦士との出会い、悪夢到来〜後編
「トライト......!」
「トライトォ?それがあの強そうなスケルトンの名前か?」
「ああ.......リリィ、ドヴァーズ、下がっていてくれ......」
「えっ...」
「嬢ちゃん、こりゃオレでもキツイ相手だ、下がるしかねえぜ」
「は、はい.....」
トライトと対峙するのは2度目だ
魔物の幻惑魔法に操られた時......
あの時だって仲間が居たからどうにかなった
だが.......
『我が魔剣、敵を斬り捨てるその時まで.......』
来る.....!
『止まらぬ!』【身体上昇】
「ッ!?」
あいつは魔法は使えても回復魔法だけじゃなかったか?!
くっ!避ける暇はない!
「うおおおお!!!」
『ハァッ!」
鈍い音と共に剣を握る右手に衝撃が伝わる
この斬り方......間違いない......!
「何故.......そんな姿に!」
『......弱いッ!』
!
剣が
弾かれ
「なっ!」
トライトの
足が身体に
ドッゴォォォォン.......
「んな.....なんだよありゃ.........」
ユウトが蹴りだけで吹き飛ばされやがった.....
あんな骨だけだってのに大剣を担いで......あれじゃ.......ユウトは......
オレは......オレは........誇り高き.......龍の戦士だってのに..........!
何もせずに.......!
「見殺しにィィィ!」
「あっ!ドヴァーズさん!」
「ぐっ........カハッ......」
腹が 熱い 目が霞 む 口 か ら血が 流れ
アイツが......迫って.........
ここで死.................ぬ...........
『弱き者に立ち向かう資格なし、ここで死ね』
『我ら1つの剣に印刻んだ仲間を裏切った者よ......!!!』
オレが......裏切った..........?
クソ..........最期の最期まで.........謎が............
「出来るかァァァァァァ!」
ヒュッ
ギギィィン!
生きて......る?
「......?」
「早く剣を取って逃げろユウト!」
「ド......ドヴァーズ!」
「抑えるだけなら......!」
『貴様も我が敵か......!』
「ああ.....そうだよォ!」
チィ!身体が勝手に動いちまった....!
逃げろなんて言える状況じゃねーのによ....!
嬢ちゃんは.....良し、逃げ切ったみてえだ!
あとはユウトが逃げるまで持ちこたえるだけ.....!
クソッ!
このままじゃまた失うだけだ!
そんな事.....!
右手に爆裂魔法!
左手に風刃魔法!
.......?
「な.....!」
魔法力が....足りない?
嘘だろ?そんなにも弱ったのか?
クソクソクソクソクソ!
やっぱオレは......逃げるしか......
「大丈夫ですっ!」
「リリィ!?」
「私だってぇ!やる時はやるんです!」【魔法強化】
魔法力の強化!
これなら!
「あぁぁぁぁたれぇぇぇぇぇええ!!!」
『弱い!その弱さで何故我に立ち向かう!』
「うる.......せェ......!」
ダメだ......レベルが違いすぎる......
くそったれ......!
『弱いながらも立ち向かうならば!死ぬ覚悟も出来ているだろう!』
くっ.......!
「剣を地面に刺せぇ!」
ユウト!?
「あ、ああ!!」
『何!』
奴を吹き飛ばし爆発のタネを奴の身体に付ける!
ドヴァーズから離れた所で起爆!ついでに崩れた岩でだめ押し!
オレ達にも被害がある可能性はあるが躊躇っちゃいられねえ!
「ふっとべーっ!」
ダンジョンに爆発音が響き、岩の崩れる音が耳に刺さる
「ハァッ.......ハァ.......」
「どうだ.......薄気味悪い.....骨め......」
「やりましたね......ユウトさん......」
くそ......もうダメだ......疲れが溜まってる.......しばらく休むしか.......
じゃり.....
「な......!」
「お......おい......マジか......」
「ウソ.......!」
『貴様等...........その.......勇気.....』
『その勇気......見せてもらった.......』
「なに......?」
『覚えておくがいい........トライトの名を、そして我が強さを』
『次に会った時、それが貴様等の死だ』
【移転呪文】
「.......は.......はぁ.....」
膝から崩れ落ちる
「ラ....ラッキーだぜ.....」
「よ.......よかっ......た」
2人が倒れた
「...........クソ........もう....身体が.......」
目の前が暗く.............
「........ハッ!」
ここ.....は?
「よぉ、ユウト」
「ドヴァーズ...?」
「ああ、あれから3日も寝てたんだぜ」
3日もか.....
「......!クエストは!」
「それなら大丈夫だ、報酬金も、あの骸骨も報告してある」
「そうか.....リリィは?」
「買い出しに行ってるよ.....なぁ」
「うん?」
「嬢ちゃんと仲間なんだよな?」
「ああ......もしかして仲間になりたいのか?」
「おう!で、してくれるか?」
「ああ!お前なら大丈夫だ!」
「よッッッっしゃァァァァ!!」
「うるっさいわぁぁぁ!!」
初のクエスト.....成功かねえ.......
「ふぅん.......逃げ帰ってきたんだ」
『言い訳はせん......』
「まぁ良いや、はい、キミのお仲間だよ〜」
「牢獄に繋がれた満身創痍の戦士」
「そして魔法力を吸い取られている魔法使い」
「いやぁ......こんなになった仲間を見捨てるなんて....勇者様もひどいもんだ....ハハッ」
『.......ふん、オレは寝る.......』
「あ、そ、じゃあね〜」
「さてと......勇者君....キミはやっぱり強いね.....あの騎士の身体を削るなんて......」
「あーぁ、楽しいなぁ........」