第八話 〜希望と絶望、後編〜
「あ、ああ、う、そ、ウソ.....だろ?」
ゆっくりと斧から落ちて行くリリィ
「は、はは、じょ......冗談が......上手いじゃないか......なぁ.......」
オレは、その冷たい亡骸を支えるしか無かった
また喪ったと、後悔に押し潰されながら
「...........城門を閉めるぜ」
《ああ.....奴から逃げる時間は稼げるじゃろう......》
『だが.......城下町の様子が.......』
邪神が降らせた隕石により崩れた家々や城
そして燃え行く町
逃げ行く人や魔物も、すぐに瓦礫か隕石に潰されて行く
魔物達が作り上げた町が作る瓦礫の山は、悪夢という言葉がぴったりだった
「ちィ!まだ隕石が降って来るぞ!」
『ならば!日輪の輝きよ!奴等を破壊せい!』
空から破壊音が響き、
「おお!すげえじゃねえか太陽神様!」
《おい!勇者よ!早う逃げるぞ!》
「あ、ああ......ほら....リリィも行こう」
虚ろな目をしてリリィを背負う
『グゴァァァァァァァァァァァァッッッッ!!!!』
大きな爆裂音と共に、南城門が吹き飛ばされ、絶望が現れ、此方に走り寄る
《ちぃ!早いぞ!》
『くぅ.....!』
オレ達は走り抜け、北城門へと辿り着いたがーーー
「な.......何だよこれ!」
『城門が閉まっておる.....!』
ーーー脱出路だった筈の北城門は固く、重く、絶望として立ちはだかった
『ガァァァ.......!』
「く.......!開けろよ!早く開けてくれ!」
城門の向こうからくぐもった声が響く
「城門を開けて危険を他国に持ち込まれる訳にはいかないんだ!分かってくれ!」
「く....そ.....!」
「う、ああ........うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
涙が流れ落ち
《!勇者よ!止めるんだ!》
バケモノは咆哮上げ
『ウガァァァァァアアアアアアア!!!!』
疾走する我が身
「死ね!死ね!死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇぇっぇぇぇ!!!!」
瓦礫から引き抜いた木を振りかぶり、バケモノへと狙いをつける
「クソォォォ!チクショォォォォォォ!」
その木もすぐに折れて、オレの拳の痛みも忘れる程に、バケモノへ叩き込む
「うぅ............死ね.......死ねよ.......」
『ガァァァ!!!』
それでも、バケモノは死なず
バケモノはその両手をオレに振りかぶり、オレはーーー
「ご......!っはぁ!」
ーーー吹き飛ばされた
城壁にめり込むほどの衝撃
血を吐き、城壁に血が滲む
嗚呼、嗚呼、もう悲鳴も、仲間の叫びも聞こえなくて
嗚呼、嗚呼、奴を、エガンを、あのバケモノを
殺したいーーーーーー
【その殺意】
「........」
【我は認識した、我の依り代として最適だ、貴様は】
【貴様が良ければ......奴を殺すチカラをやろう】
「ユウトォォォッ!」
《ダメじゃドヴァーズ!助けに行けばお主も!》
「止めるんじゃねえジジィ!助けに行かなきゃならねえんだよ!」
「!......なんだ......?」
バーサーカーの動きが止まった......?
《.....!?》
「お、おい!どうした爺さん!」
《なんじゃ.......コレは......!》
その瞬間、悪寒がした
重く、息が詰まる様な悪寒
あのバーサーカーからでも、ましてや空から来る絶望による悪寒でもない
その悪寒の主は.......
ーーーーーーー殺ーーーーーーーー
「!?」
ユウトが張り付いていた城壁が爆発する
《アレは.......!?》
ーーーーーーー死ーーーーーーーーー
『ウゥ......!』
バーサーカーが、一歩ずつ後ろへと下がって行く
『あのバーサーカーが下がった.....?』
【殺す】
その声が聞こえた瞬間、目の前に居たバーサーカーの首が飛んだ
血を撒きながら、胴体はその事実を認めないかの様によろよろと動き、少し待つと倒れた
そして、その向こうには
「なんだよ......あれ」
【我ハ死、我ガ断ツハ命】
《バカな.......神が人間と融合した......?》
【我ノ名、人ハコウ呼ブ】
『あの神はなんじゃ.......何なのじゃ!』
ーーー神は、人々の想いにより、具現化し、神化し、人へ介入する
人や魔物の死、巨大な絶望、余りにも非常識なソレに、ソレを見た者は神の災いと勘違いを起こす
そしてその勘違いが人々へと拡大しーーー
【死ノ神ト】
ーーー想像は神と成る
「..............」
【コレが、君を殺した者への復讐を誓った者の姿だ】
【アレを止められるのはあの場に居ないだろう.....】
【新たに現れた神だ、弱点もくそもわかりゃしない】
【でも、僕と君が融合すれば、アレを止められる】
「............」
【......どうしたい?】
「................止めたいです」
【誰を?】
「ユウトさんを!」
死は神にもっとも近づく方法であり、神との融合のキッカケは、死を体験した瞬間しか来ない
そして、深く苦しい絶望を体験し産まれる神はーーーーーーー
【ああ、じゃあ行こう、死を越えるのは】
ーーーーーー1柱だけではない
「生だけ、です!」
生への執着、それが神への祈りへと変わり、それが大きく大きくなればーーーー
「クソ.......あんなのどうしろってんだ...?」
《敵意はない.....ならばどうとでも......》
【ナルトデモ思ウカ?】
『なっ!?』
日輪の盾が吹き飛ばされる
「太陽神さん?!」
それと同時に龍神の剣も、同じ様に吹き飛ばされる
「な.....なんで俺達まで.....?」
くそったれ、足が動かねえ.....
恐怖が脚に絡みついて行くかの様に、脚が重くなる
【コノ身体ノ持チ主ハ.....モウ誰デモ良イラシイ.......復讐心トハ恐ロシイ物ヨ.......!】
死神がニィと笑い、鎌を何処からか取り出す
【サラバダ......!】
死を予感したその瞬間
目の前で死神の鎌が止まる
「.......?」
【よぉ、死神】
【......!】
【ああそうだ......お前の天敵だよ......】
《ま......また新しい神.....?》
【我が名は生神、生を司る神だ】
『あの融合元は......小娘か....』
「リリィ.....!」
【さぁ行こう、太陽神に龍神、そして龍戦士よ】
【死神退治だ......!】




