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セカンドライフ 〜勇者の物語のその後〜  作者: 丸目まる
プロローグ
1/30

〜勇者の物語の終わり〜

これが初投稿になります

自分の好きな要素を好きな様に書いた作品ですので、お楽しみいただけたら幸いです


それは、オレが勇者として戦った最後の時


「くぅ.....らぇぇぇ!!」

剣を振り下ろし、目の前の敵を斬る

「っし!ココはもう大丈夫だ!行ってこい!レン!トライト!アラン!」

「ああ!無事でいてくれよ!エガン!」

そう仲間の1人、戦士エガンに告げ、上階へと走る

「っち!また敵の包囲か!」

「ココは僕に任せてくれ!」

「お、お前1人じゃ!」

「大丈夫ですよ!行ってください!レン!アラン!」

「トライト.....わかった!」

上階へと走り、ついに魔王の部屋へと辿り着く

「......来たか.....勇者よ」

「魔王.....!」

「先手必勝!【爆裂魔法!】」

「邪魔だ!【魔法反射】」

「なにぃ!」

爆発音とともに、アランが吹き飛ばされる

「く.....!」

「さぁ.....一対一だ.....こい!」

「っ!お望み通り!食らいやがれェェェェェェ!」

魔法を剣に込め、魔王を斬る

「グッ....!」

魔王を名乗る龍が声を上げる瞬間を見逃さず、盾で顔を殴る

「ゴァァァッ!!」

目を赤黒く染められた魔王だが、それでもオレを殺そうとする

「うぁぁぁぁぁ!!!」

剣でその頭を斬ろうとした瞬間ーーー


「!........はぁ......」

「また夢か.......」

汗まみれになった身体を洗う為、近場の水場によろよろと歩き出す

もうこれで何度目だろうか

オレがまだ、勇者ともてはやされた頃

オレがまだ、魔物を悪と信じていた頃

オレがまだ、狂気とも思える執念で魔物を殺していた頃ーーー


あの時、オレは魔王と対峙していた

仲間を見捨て、守るべき人々が裏切ろうとしている、そんな状況で何の為に殺し合うのかすら分からなくなったオレは、その感情を魔王と名付けられた龍にぶつけるしかなかった

魔王もまた、自分の仲間を奴隷として人間に奪われ、後が無くなり、只々こちらを殺そうとする事しか出来なかった

今思い出しても、滑稽だったとしか言い様が無い

2人が殺しあって喜ぶのは、戦争が終わり恐怖を減らせる人間と、魔王と言う和平への最大の障害を消して和平へと進められる魔物達だけだった

あの時もしも、オレが、魔王が、この殺し合いの虚しさに気づかなければ、ただどちらかが死んでいただろう


「........なぜ.......殺さない」

「くっ.........くそッ.......」

カランと音が鳴る

剣を落とし、盾を落とし

オレは膝から崩れた

「こんな.........こんな事して...........何になるってんだ.........」

「仲間は死んじまう!あの敵の量じゃもうダメだ!」

「オレが守るべき人々も!国も!みんなオレを見捨てた!」

「魔王城の魔物はもうお前だけだ!それなのに救援にさえ来ないのがその証拠だ!」

ただ胸に沸くその感情を、ただ吐き捨てる様に叫んだ

「........ふん......ココまでやっておいてそれは無かろうに......」

「.......我も、もう殺しあう必要はない」

「配下は裏切ったか皆お前達によって死んだ......もう、守るべき同族はおらん......」

「だが......この殺し合いを止めることは出来んぞ.........コレは我の復讐だ.......例え何と言われようとも、お前達に一矢報いるが我の最期の役目よ......」

「そして、ソレを止め、我を殺すのがお前の役目だろう」

オレはうな垂れたまま、何も言わず聞いていた

「........フン、ならばそこをどけ、我はお前達の国を燃やし、死ぬだけよ」

バサッ、バサッ、バサッ

血の跡を残しながら、魔王は人間の国へと飛び、国を燃やしながら、矢に撃たれ魔法に身体を砕かれ、落ちていった

オレは、何もせずにそれを見続け、そのまま逃げ出した


その後、森の奥に家を建て、ひっそりと暮らして居る

「はぁ.......今日も日が眩しいな......」

時々国の料理や人の活気を思い出す事はあるが、戻ろうとは思えなかった

「.....久々に森の外でも行ってみるか、獣の肉が食べたいしな」

森の目印を頼りに抜けていくとそこにはーーー

「なっ...........」


龍が飛び

魔物達が獣を狩り

人々がその光景に不思議さも覚えずに歩く

そんな光景があった

それは、幻の様な、平和な光景だった

そして、それからオレのセカンドライフは始まった

勇者としての自分を捨て、別の自分としての

2回目の冒険

それが今、始まろうとしていた

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