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2i.エーイーリ

第二のクリフォト 愚鈍 悪魔はベエルゼブル

最近のラブコメにありがちな鈍感主人公ですね、分かります(自虐込み)

ただ、出雲君はさほど愚鈍とは言い難いとは思いますけど……(迷推理)

「出雲君、君をこの放課後という時間に呼び出さざるを得なかったことを謝ろう。すまないね……」

「いえ、別に良いですよ。この時間に呼ばざるを得なかった理由はなんとなく分かっていますし……」

 転校生としてルシフェルさん達5人が来た日の放課後、みんなに先に帰ってもらい、ボクは部室棟にある手芸部の元部室……部員数の低下に伴って同好会に格下げになったらしい……であった文芸部部室に立ち寄っていた。

 撫子さんに手紙でおおまかな案件は教えられていたが、それがどういうことを意味するのかはまだイマイチ把握しきれていなかった。

「……まず、出雲君……彼女達、今日来た5人の転校生は以前より君の知り合いだったということは把握しているよ。ただ、それに関する事で2つ3つ確認するのだけれど……まず、君は彼女達の正体を知っているのかい? いや、君にはこう聞くべきかな? 彼女達5人が七罪の象徴として数えられる悪魔だということを知っていながら、それでも未だに良き隣人として付き合っているのかな?」

 いきなり核心を突いてきた撫子さんのその言葉に対して、ボクは何も考えずにありのままでこたえた。

「そうですね……あ、隣人というよりは同居人ですね。ちょっとどころかだいぶ騒がしいですけど」

「……余計に聞きたいことが増えたけど今はまだいいか……2つ目として、君は七罪の全員と、彼女ら5人に加えてベルフェゴール、ベエルゼブルとも同居しているのかな?」

「まあ……そうですね」

「…………ねえ出雲君、本題からは逸れるのだが、七罪の内の5人を除いた2人は……どうして転校して来なかったんだい? まさか……高校生と言うには余りにも大人びた、だらしない女性だからというりゆ」

「むしろ逆ですよ、逆。ボクよりも(少し)背が低くて、小学生にしか見えない子達だから」

「…………フッ、なるほどね……女の子とはいえ君以上に背の低い子が七罪の悪魔に2人も居たとは……流石の私も驚いたよ……」

 「ただね出雲君、君も中学一年生が精々の見た目と身長だよ」と、余計な一言を呟き、ボクに更なる質問をした。

「さて出雲君、君はさっき七罪の悪魔達と同居していると言ったね? まさか君……彼女達と同衾、もしくはベッドインした事は無いよね? ましてや……悪魔をはらませたりなんかしてはいないよね? どこぞのクリーニング店のあんちゃんみたいに! もしくはもしくはついこの前君に借りた本のヤンデレ魔王に拉致された勇者みたいに!」

 鼻息を荒くして迫ってきた撫子さんの肩を掴み引き剥がしながら、全力で叫ぶようにツッコんだ。

「ちかいちかいちかいちかい! 近付きすぎですよ撫子さん! それに、寝ている最中に言質を取られて寝ている時に写真をとられた以外には何もされてませんってば!」

 鍵をかけているはずの部屋に侵入され、更には言質を取られ写真も取られた時点で既に9回裏99点差2ストライク2アウトランナー無しかつ他のチームメイト全員負傷という状況並みに詰みかけているのだが。

「……まあ、とにかく、君が無事なようで良かったよ。私の色仕掛けでもそう簡単に落ちないような君が、いくら美少女悪魔に囲まれてラッキーヘンタイとかそんなハプニング大佐が連発しても、まさか悪魔ちゃんとの禁断のエロエロなんかを、やっちゃうはずがないか……まあ、そういう妄想イメージぐらいはしているんじゃないかなぁ? ッフフフ、イメージ、イメージ……! イメェェェェェジッ! ……「そのまま呑み込んで……ボクのブレイラウザー」……っククク、腐腐腐腐腐! 是非も無し!」

「…………あのですね撫子さん? 色々ツッコみを入れたいんですけど……? ……あの」

「あぁ……どうして私は女として生まれてきてしまったのだろう……私が男なら今よりも容易く出雲君を受け入れられたであろうに……嗚呼、どうしてマンモンはボーイッシュ系少女なのだろうか……あの格好良さと可愛さが同居した美しさの為にヒトは苦しまなければならぬ。それなら、愛なんて要ら」

ガッ

「ぬふぅ……」

「すみません撫子さん……約束通り暴走したと判断して一発だけ殴らせてもらいました……」

 少し心が痛むのだが、このまま彼女の暴走を放置して、暴走した彼女が都合の良い人達によって都合良く神格化されない為に必要な措置なのだ。

 一度その手の婦女子にボク諸共神格化されかかってからは、どのような手段を使ってでも早急に止めなければならないと、強く思うようになったのだ。

 ちなみに撫子さんを殴った本は今日撫子さんに渡す予定だった『ディスクの空、ネクロの夏』というハードカバーの小説……ちなみにとあるカードゲーマーの戦いを描いた作品らしい……だった。

 …………1回の決闘描写に300ページも割いた、500ページにもなろうかという辞書サイズのハードカバーの小説だった。

「……あ……どうしよ……」

 しでかしてしまった事の大きさに、思わず呆然と立ち尽くしてしまった……



「……ねえ出雲君……勝手に1人で妄想して暴走して暴走して暴発した私の責任だったのは分かるのだけど……流石にやりすぎだったのではないかな? かなり痛かったのだけどね」

「……ちょっと強く殴りすぎたような気がしたんですけど、なんでこんなにすぐ復活できるんですか?」

 どれだけの生命力があれば、いくら易しめだったとはいえハードカバーの本で殴られたのに10分で完全復活できるのだろうか。

「……ちなみに殴られた直後の君の「あ……どうしよう……」っていう言葉を聞いて意識は覚醒したのだが、体がついて来なかったのでたった今復活したのだよ。いわゆる金縛りに似たような状態かな」

「あのですね……あなた本当に人間ですか?」

「生きとし生けるものの中で最も欲望に忠実な生き物こそが人間ならば、私以上に人間らしい人間は居ないだろうね」

「……あの、強くたたきすぎましたか?」

 突然の哲学的な言葉に、ついついツッコミの言葉が漏洩してしまった。

「……そして一番人間らしくないのは出雲君、君だろうね」

「……うわぁ」

 正直なところ、この撫子さんにはだいぶ引いてしまった。出会った頃のようなクールな撫子さんより、ちょっと暴走気味なパッション撫子さんの方がどちらかといえば好きだから尚更だった。

「…………ふぅ、無理して取り繕ってはみたけど、出雲君的には」

「マイナス563点でした」




「……まあとにかく話題を変えるとして、そういえば君も何か私に聞きたいことがあったんじゃなかったかな?」

「……ああ、そういえば……どうして撫子さん、悪魔の事を知ってたんですか?」

「フッ……いずれわか」

「あ、そういうのはいいです」

 ついついボクがバッサリと切り捨ててしまった瞬間、撫子さんの何とも言えない瞳は当分の間忘れられないだろう……

「…………あれは今から36万……いや、14000年……じゃなくて5年前の」

「……長いですか?」

「……長い、かな」

「じゃあ3分以内にまとめてくれませんか」

「分かった……5年前私は一族のしきたりに従って天使と契約したんだ。その時に契約した天使と親に天使と悪魔に関して1から10ぐらいまで根掘り葉掘り聞けることを聞けるだけ聞いて、名前と能力だけはだいたい覚えたんだよ。姿形は伝承や気紛れによって色々変わるから頼りにならないとエルノク(仮)に聞いたから質問していなかったんだけど、ああちなみにエルノクという天使が私の契約した天使でエルノク以外にも71の名前があるけどそれは割愛して、その日から私は和的キリシタンの末裔たる天草家の血を引く……とは言っても天草四郎との血縁関係は直系じゃないんだけどそれは割愛するとして、先祖代々キリシタンだった私の一族にとっては悪魔は退散させなければならない存在だったから契約した後にエルノクに頼み込んで人間に擬態した悪魔を嗅ぎ付けられる能力を」

「ちょ、ストップストップ、ストーップ! 長いですよ撫子さん」

「え、まだまだ半分ぐらいだったのだけどね……」

「……詳しい所は当分後にして、残りの要点だけを教えてもらってもいいですか?」

「……ショボーン」

 ついついボクがバッサリと言ってしまった瞬間の(略)

「……とにかく、七罪の悪魔達が悪事を働く前に私とエルノクが滅ぼし……もとい、とっちめてやろうとしているんだよ」

「…………まあ、万が一にもボクがあの人達に籠絡されかけたとしたらその時は……お願いします」

「ふ〜ん、つまり……それは暗に私の出番はないってことかな? ……今日1日君たちの様子を見て……いや、君と出会ってから2年弱の間、君を見てきた私が思うに、君が堕絡することはおそらくない。天地がひっくり返らない限り、君が七罪に屈するようなことは起こり得ないだろうし」

 そうだよね、と言わんばかりにボクを見た撫子さんに対して、参ったというジェスチャーをして続けた。

「裏の裏まで読みとられちゃいましたか……まあ、とりあえずそういう事でお願いします」

「……フフッ、君は本当に優しいね。悪魔に対しても情をかけるとは……」

 フッと微笑み、撫子さんが言った。

いくら美少女悪魔に囲まれてラッキーヘンタイとかそんなハプニング大佐が連発しても、まさか悪魔ちゃんとの禁断のエロエロなんか……やっちゃうはずがないか……まあ、そういう妄想イメージぐらいは(略)

(カードゲーム系パロ四連打を)や っ た ぜ

遊戯王デュエマウィクロス!ヴァンガの四連打とかただのバカです本当に……ありがとうございました


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