表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

夏生詩集2

キリギリス

作者: 夏生

雪によって閉ざされた道

止まない吹雪


私の街も重たくなって

動きが鈍くなった


腹が減ってはいくさはできぬ

食糧備蓄怠ったキリギリス

吹雪にまみれてやっと着いた

ファストフードの店


店員さんがメニューを持って

並んでいるお客さんに声をかけていた

笑顔だから読めない

笑顔だから嫌な予感がする


私の番

「今、お出しできる商品はこちらのみなのですが」

笑顔の声は商品より先に困惑をこちらに運んできた


パンが届いていない

物流が止まっている

コンビニもすっからかん


たかが雪と侮った罰か

されど雪と思い知った瞬間


流れが止まる

止まれば滞る

滞れば孤立する


雪国となった集落を

思い出した

どれほど心細いか

雪かきでおいつく規模じゃない


シャベルひとつ持たない私が

何をいうか

どなたかが懸命に作ってくれた

細い道を歩く

黒く濡れた地面がありがたい


ちいさなカマクラ、ゆきだるま

こどもらの笑顔はわるくない


チェーンを履いた車が

こわごわ通りすぎてゆく


雪のかきの音が四方から

聞こえてくる


ばつの悪さに歩みが

早くなる

ゆきまみれのキリギリス

そそくさと家路についた











評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ