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紫苑  作者: 武田章利
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優しい天使――静かに降り立つ、そしていつの間にか、側にいる

 それは静かに響いていた。いつでも、そう、僕の部屋に置いていたのだ。本棚の一角にあって、僕はいつもそれを聴いていた。嬉しいことがあった時も、辛いことがあった時も、その音色と旋律に、僕はいつも安心したのだ。少しばかりネジを巻けば、それは静かに流れ始める。オルゴール、中学生の時に紫苑がくれた、ただひとつのプレゼント――僕は今も、どうしようもなく、これを聴いている。曲名は分からない。紫苑に訊けば分かるかもしれないが、きっと僕はこの先も聴いたりしないだろう。静かな陽だまりが、優しく音を出しているような、そんな曲――僕はどうしようもなく、本当にどうしようもなく、ただこれを聴いている。さあでも、もうすぐネジが回転を止めて、曲も終わる。そうすれば僕は動かなければならない。行かなければならない。紫苑のところへ――

 どうして終わりがあるのだろうか。ああ、紫苑がくれたものは、ひとつの残酷だった。いいやそれは、何だってそうだ。人に死がある限り、人と人に別れがある限り、彼等を繋ぐものは全てある時、残酷なほど鋭くなって突き刺さる。それでも時には、突き刺さったままの繋がりを持って、人は生きていかなければならない。きっと僕も、紫苑とどんな形で別れたとしても、オルゴールは手放さないだろう。この優しい音がいつか、槍のように僕の頭上に降り注ぐことになったとしても。

 オルゴールの旋律が遅くなってきた。音と音の切れ目が長くなり、そしてとうとう、音が止む。僕はもう一度オルゴールのネジを巻いても良い。一度ではなく、何度も、何度も、この部屋から出ることを拒んでオルゴールを回し続けることだってできるのだ。だけどそれはしないだろう。僕は部屋を出ていく。紫苑のもとへ向かう。

 オルゴールに背を向ける。あと一音くらい、長い沈黙の後に鳴るかもしれない――いいや、鳴らなかった。僕の手は部屋のドアノブにかけられた。背中には、音など何もやってこない。ただ光が、白い部屋中で反射した朝の光が、力なく撫でてくれる。この部屋に何もないように、ドアを開けた先にも、僕が心配するようなことは何もない――そんな世界が広がっていれば良い。無音、この部屋の無音、オルゴールが止まると、僕には何も残らない。このドアノブを回す気力すらも。

 すると不思議に、光が動きだす。きっと光は、音に邪魔をされるのだ。だからオルゴールが止まると、次には光が声を発する。僕の背中を撫でるだけだった光は、少しずつ意志的な動きを始めて、くすくすと囁きだす。何を言っているのだろうか。目を閉じて集中する。それでも僕には、光の言葉など分からない。だけどそれは勇気だ。希望だ――僕はドアノブを回す。

 ドアが開くと、僕よりも先に光が廊下へ躍りでた。そして四散し、すぐに見えなくなる。僕は光を追いかけても良い。そして紫苑の部屋に背中を向けて、町へ繰りだしても良いのだ。だがそれはしない。僕にはできない。なぜなら、光は見えなくなっても、そんな導きは僕にはありえないからだ。光は優しい。光は穏やかだ。そんな彼らの横顔は、いつも僕に良心を芽生えさせる。僕は自分から逃げられない。同じように、世界から目を背けられない――そうして僕は足を踏みだす。廊下へ、廊下へ、紫苑の部屋へ。

 廊下の右手側は窓だから、ここにも光が差し込んでくる。だがこの場所の光は、僕の部屋の光とは何か違う。あまり、優しくない。だが力強い。そして僕を大胆にする。僕は大股で廊下をすすむ。この廊下、僕の部屋と紫苑の部屋とを繋ぐ、赤い絨毯の引かれた数十メートルの廊下。

 光が翳る場所で、僕は足を止める。廊下に杭が落ちているからだ。それも何本も。ああ、これは、キリストの磔刑に使われたような、そんな杭。赤い絨毯に無造作にばらまかれているのは、それでも意図的なのだ。これは紫苑、紫苑の仕業だ。そして窓の切れ間、窓と窓の間の壁、ちょうど影になっているその位置に、棗が立っている。壁に左肩でもたれかけ、スティックキャンディーを口に入れたまま、彼女はじっと僕を見ていた。この目、僕が苦手な目だ。彼女には僕に言いたいことがある。だけれど彼女はそれを言わないだろう。すぐには言わないだろう。そうして僕を追い詰めていくのだ。

「薬、置いておいたから。前と変わりなし。紫苑さんの体調は?」

「本人に聞けばいいだろう」

「会話にならないの、あなたも知ってるでしょ」

「いいや、僕にならできるよ」

 棗の表情が一瞬、硬くなる。そうだ、そうやって分からせないといけない。僕もまた、彼女を追い詰めないといけないのだ。棗の執拗な絡みつきから逃れ、僕はこの先に行かなければならない。

「で、紫苑さんの体調は?」

「変わりないよ」

「そうは思えないけどね。部屋の前に変なものが落ちてたわ。ほら、ここにも杭が落ちてる。だんだん悪くなってるんじゃない。早く病院に入れてあげたら。いいところ紹介するけど」

「いいや、それは違う。ここの杭も、部屋の前の十字架も、彼女がむしろ良くなっている証拠だ」

 また、棗の表情が動いた。おそらくそれは怒りだ。紫苑への、そして僕への。僕は屈んで、床の杭を一本、右手に取る。見た目よりも重たくて、手にずっしりと馴染む。すると棗が動いて床がみしっと音を立てた。僕はすぐさま立ち上がり、左手で彼女を制した。

「そうだ、君に来てもらうのも今日で最後だ。もう彼女の薬を持って来なくてもいい。だから、君に来てもらうことも、もうない」

 彼女は止まり、黙り込む。特に表情が動くこともなかった。ただずっと、口に入れたスティックキャンディーを舐めている。時々、ぺろりと音を立てながら。彼女はしばらく舐め続けた。窓からの光が届くか届かないかの、微妙な位置に立って――すっと、彼女は壁に沿って左手を伸ばす。服の裾から腕が現れ、白い彼女の手が、影となっている暗い壁を、音もなく這う。その動きに見とれていると、棗の声がした。

「ねえ、これを舐めて」

 振り向くと、彼女は今まで自分が舐めていたスティックキャンディーを右手に持ち、僕のほうに差しだしている。アメの表面はとろっと濡れていて、それはまるで、彼女のしっとりとした赤い唇のようだ。

「いいか、棗――僕は紫苑といることを選んだ。だからこのキャンディーは、言わば手切れ金だ。僕はこれを舐める。棗の唾液まで舐め尽す。そしてこのアメみたいに、君はいなくなるんだ」

「いいから早く舐めて」

 僕は一歩だけ棗のほうに踏みだして、差しだされたスティックキャンディーを左手で引っ手繰った。そしてそっと――口に入れる。アメの甘さに、棗の体温、そして彼女のとろけるような唾液が、僕のなかで広がる。それら全てを絡め取るように、僕は舌を動かす。そうだ、僕は全てを舐め尽さなければならない。ああ、光は恍惚だ。僕の全ての毛穴から差し込み、串刺しにする。その快感の液体で、僕はキャンディーを舐め続ける。棗はずっと僕を見ている。半分口を開けて、目はうつろとなり、呼吸が速い。動悸まで聞こえてきそうだ。僕は舐める。舐め続ける。

 棗の、荒い呼吸が聞こえてきた。壁に伸ばしたままの左手には力が入っている。下半身がゆっくり揺れるように動き、右手がみぞおちの辺りを押さえた。キャンディーは、まだ溶け切らない。もうかなり小さくなっているが、あと少し、あと少しが残っている。

 もう少しだと思うと、キャンディーを舐める舌の動きが速くなってしまう。焦っているのか、だがそんなことで、キャンディーの溶ける時間など変わらないのに。思わず、キャンディーを舐める口が音を出してしまった。それに反応をして、棗の口から気だるい快感に浸ったような声が漏れた。僕はじっと見つめる。棗の半開きの口を。息が、漏れている。分かる、じっと見ていると、その息に色が付いてくる。どんよりとした赤い色、少し茶色がかっていて、それは、棗が棗を生きているという証拠、だが同時に、純粋さを欠如してしまった情念の色――それは、僕を苛立たせる。

 キャンディーがなくなった。最後のひと欠片は奥歯で噛み砕き、粉々にして飲み込んだ。ただのスティックを口から出すと、棗に向かって投げつける。体に当たって、棗はもう一度声を出した。そして焦点を合わせて、僕を見つめる。僕も見つめる、ぐっと力強く、棗の双眸を。そこには欲情した女がいる。かつて棗は、少女だった。細い手が綺麗な、少女だったのに――そうだ、彼女は恋する時、翼を得た天使のように飛び立ち、自由であった。だが今僕の目の前にある瞳は、不気味に青く光を反射し、強引に奪い去ろうとする。そうだ、僕の心を、僕の体を、そしていつか、僕の自由も。

 いいや、させるものか。決して、棗を自由になどしない。棗がいかなる翼を持とうとも、僕はこいつに打ち付ける。そうだ勢いよく! この杭でお前の手を打ち抜いてやる!

「いやああああああああああああああああああ」

 棗の悲鳴――気付いた時、僕は右手に握りしめた杭を、壁に沿わしていた棗の左手の甲に打ち付けていた。杭は見事に手を貫通していて、壁に突き刺さっている。

 ああ、何という光景だろうか! 磔刑だ。これは磔刑だ。棗の艶めかしく厭らしい眼つきが、今では見開かれて涙でぐしゃぐしゃになっている。黒いマスカラが滲んで目の周りが真黒だ。

 僕は右手を握りしめる。そして杭を叩く。叩く! その度、棗が叫び声を上げる。あまりにも大口を開けて叫ぶので、その長い舌に噛みついて、僕の口内にまとわりつくキャンディーの甘さを垂れ流した。うるさい。棗の甲高い声がうるさい。もう一度、杭を――叩く! 叩く! 叩く!

「あああぁあっぁぁぁぁぁぁあああ、やめてええ、もうやめ、やめ、やめてええぇぇぇぇえぇええぇぇ」

「欲しいものがあるなら言ってみろ。持って来てやる。思いつかないなら、僕が紫苑の部屋から戻ってくるまでに考えておけ。だが言っておく。お前の血を受け取る聖杯など、どこにもないんだ」

「あああ……あぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁ」

 どうも棗は今、まともに喋られそうにはない。もう一度だけ杭を叩こうかと思ったが、やはりやめた。少しだけ罪悪感のようなものが心の裡に生まれ、地面に引きずり降ろされるような、そんな感覚がさっと広がって消えたのだ。僕は棗を通り過ぎる。彼女の声を聞かないようにしながら、足を速める。紫苑に会いたい。部屋を出るまではとても億劫だったのに――憂鬱ですらあったのに、今はなぜだろか、僕はこれ以上なく、紫苑に会いたいのだ。

 赤い絨毯の廊下を進む。進む――床にいくつもの釘が落ちているのがはっきりと見えてきた。釘は全てふたつでひとつ、十字架の形となって床に散らばっている。珍しい釘、それは真っ白な釘で、おそらく表面に何かを塗っている。これら釘の十字架によって守られているかのようなドア、この先に紫苑がいる。今は何をしているだろうか。物音が聞こえないから、おそらくベッドにいるだろう。そこで窓の外の光を見ているか、絵を描いているか、それとも――

 私はドアノブに手をかける。戸惑いなどはない。躊躇することなくノブを回し、ドアを開ける。部屋の窓から差し込む光が溢れるように広がり、僕の体を呑みこもうとする。大丈夫、大丈夫だ。僕は何にも呑まれない。光にも、闇にも、そして紫苑にも。

「ちょうどいいところに来たんだね。見て、窓の外、あの木を」

 紫苑の声がした。釘の十字架を避けながら部屋に入る。ベッドで上半身を起こしている紫苑は、布団も服も真っ白だ。そこに黒くて長い髪がさらさらと流れ、表情に光が反射する。眩しくて一瞬だけ目を背け、もう一度見た時、紫苑は既に窓の外に顔を向けていた。

「木、あの枯れ木のことか。風に揺れているよ」

 紫苑から返事はない。沈黙が続く。光が沈黙に溶けていくのか、沈黙が光に溶けていくのか――僕には止めることなどできない。ただそれら混ざりゆくものの中心に、紫苑がいる。彼女はあらゆるものを掻き混ぜ、混乱させ、破壊する。木、そうだ、きっと、数年前にはしっかりと葉が付いていたあの常緑樹が枯れてきているのは、紫苑の力によるのだ。

「いなく……なっちゃった」

「天使か。残念だけど、僕には見えなかった」

「ううん、振り向いた時にはもういなかったの」

「どんな天使だった?」

 紫苑の手がゆっくりと動き、布団と擦れて小さな音がする。白い肌だ。その細く骨ばった指が部屋の隅のテーブルを指す。そこにはスケッチブックと色鉛筆がある。移動してそのふたつを取ろうとすると、紫苑が小さな声で「鉛筆はいい」と言った。本当に小さくて、紫苑が喋ったのか、それとも僕の空耳なのか判断できないくらいだった。

 僕はスケッチブックだけを取る。そしてベッドの紫苑に渡すと、また小さな声で「ありがとう」と言った。今度ははっきりと聞こえた。

「最近来る天使はね、優しいの。この白い部屋や白い十字架みたいに――まるで結婚式みたい」

 紫苑がスケッチブックをめくる。いくつかめくり、「ほら」と言って見せてくれた。光が反射して――いいや、そんなわけがない、紫苑の影になって、スケッチブックは少しだけ暗い。だが彼女が差しだしたページには何も描かれていない。紫苑は目尻に微笑を浮かべて、僕を見つめている。それは慈悲のようにも見えるが、無邪気な少女のようにも、邪悪な女のようにも見える。もう一度スケッチブックを見る。やはりそこには何も――いや、違う。そうだ、彼女は言った。「白い部屋や十字架のように優しい」と。そうだ、「白い」と言ったのだ。近付いてよく見ると、スケッチブックには白い色鉛筆で何かが描かれている。判別はできない。できないが、そこには大きな翼があるように見える。紫苑が結婚式のようだと言ったことを思い出す。これは、愛の天使かもしれない。

「近くまで来たのか」

「すぐここ、部屋に入ってきて、ベッドの側まで」

「こんなに白いのに、紫苑にはよく見えたな」

「あれは直感。きっと天使が喋ったことも、直感――」

 紫苑はさらに何かを言おうとするが、口が微かに動くだけで、声は出なかった。目は、どこか遠くを見ている。

「ありが……とう」

 紫苑が呟く。目はまだ、僕を向いてくれない。彼女の手から、スケッチブックが滑り落ちた。ばさばさと音を立ててページがめくれ、床に転がる。拾おうとしてかがむと、頭上から彼女の声がした。

「きっとお礼。ほら、白い十字架をたくさん置いていたでしょう。あれの、ね。でもそれを頼んできたのは、この天使じゃなかったのに」

 紫苑は僕に話しかけている。だが何を言っているのかよく分からない。もしかすると独り言なのだろうかと思って彼女の目を覗きこむと、視線をしっかりと返してくる。一瞬、射抜かれるような思いがして体を引いた。彼女に心の内まで覗かれたような気がする。しかし、もしそうだとして、彼女は僕の何かを理解してくれるだろうか。そうだ、彼女にとって僕は、取るに足らない存在なのだ。理解してくれたとして、それで彼女は一体何をしてくれるというのか。そんなものはない。目の前の紫苑は、実のところ、僕の遥か先で天使達と戯れているのだから。

 僕は拾ったスケッチブックを紫苑に差しだす。本当は、今すぐこの一枚一枚のページをばりばりに破り捨てても良い。そして「天使は死んだ」と大声で叫んで、彼女の髪を掴み、乳房を揉み倒しても良いのだ。だがそれはできない。僕の意志の問題ではない。彼女がそうさせないのだ。そのためにこの部屋はある。この部屋には紫苑が蔓延している。紫苑が充満し、空気の流れのひとつひとつが僕の腕を掴んで離さない。光は足を掴み、何よりも彼女の声が、僕には意味をなさない彼女のひとつひとつの言葉が、僕の心を痛めつける。どんな具合に、だろう。そうだ、僕等の過去を打ち壊していくように。

 棗に言ったこと――自分なら紫苑と会話ができる、というのは、半分嘘で、半分意地だ。今の紫苑と、一体どうやって今日の夕食の献立を話せばよいというのか。いいや、だが、ひとつだけ彼女と話せることがある。天使のこと――最近になって彼女の周りに現れるようになったもの、彼女の興味、棗は病気だと言うもの、それでも僕にだって分かるのだ、天使はいる、紫苑が見ているものが本当に天使なのかどうかは分からないが、少なくとも、彼女は病的な何かを妄想しているわけではない。

 ただ、彼女の話はよく矛盾する。いいや、繋がりが分からないと言ったほうがよいだろう。実際のところ、話が本当に矛盾しているかどうかなんて、僕には判断できないのだから。

「そう言えば、さっき棗さんが来た。たくさん薬を置いていったけど、ごめん、あれ、こっそり捨てておいて。天使達が嫌がるの」

「さっき廊下で会ったよ。紫苑のことを心配していた」

「私は大丈夫だって伝えといて」

「ああ、そうだな……」

 僕はどこかで、判断を間違ってしまったのだろうか――時々、そう思うことがある。一瞬だが、そう感じる時がある。でもそれは本当に、一瞬だ。スケッチブックが置いてあったのとは違う、もうひとつの小さなテーブルの上に、膨れた紙袋がある。紫苑への薬だ。棗がひとつひとつを取って、丁寧に袋へ詰めたのだろうか。丁寧に、一回飲む分量ごとにパックされている。いつ、どれを飲んだら良いかも分かるように、パックに「朝食後」とか「夕食後」と書かれている。

 僕は袋を取る。掴むと紙の音がして、指先に中身の錠剤の硬さが触れた。ああ、これは、今の紫苑とは対極にあるものなのだ。この硬さとは全く異質のものに、紫苑は変わった。いつかそのうち、彼女自身が天使となるのかもしれない。そうなると僕は一体、どうなるのだろうか。

 自分の足音がやたらと耳の奥に響く。小さなゴミ箱の前まで来て、袋を掴んでいる手を離す。ごとん、と音がして、薬は地の底へと落ちていった。


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