話し合い後滞在決定。
曰く、魔王とは呼ばれているが魔族とかの類ではないらしい。
曰く、魔獣が人を殺しまわっているのは主に知能の低いのであって魔王の命令とかじゃないらしい。
曰く、この国には人外が他より多く集まるだけであってそういった類の国ではないらしい。
曰く、もとの世界には帰せないらしい。
そう、帰せないんだ。色々とはしょったがここ肝心だ。
か え せ な い んだってさ!
「帰せないだけであって帰れないわけじゃないから・・・多分。」
くそう、白髪蒼目の儚げ美人め!その美貌は女であるわたしに喧嘩を売っているとしか思えない。
というわけで弟を殴った。
「ひでぇ!」
「どこが?」
冷め切ったふうに言えば涙目で見つめてくる弟。
くそう遺伝子の神秘め。そのイケメン顔の遺伝子なぜわたしの方に来なかった。
まぁ八つ当たりをしても仕方がないわけだが、せずにはいられないだろう。
なんということだ、わたしはまだ今月のお給料を貰っていない。
働き損。どうしてくれるんじゃい。
「その方法が見つかっていないというだけで、帰れないと決まったわけじゃないと。」
「そうなるね。」
ほぼ絶望的じゃねーかコンチクショー。
自暴自棄になるな自分。オトナの余裕を持とうぜ。
「呼び出しちゃったのは僕だから、責任は持とうと思ってるよ。だからその方法が見つかるまで、観光気分でここに滞在するといい。」
「魔獣とやらが出るこの国で?」
「なにも人を襲う輩が右往左往しているわけじゃないから安心していいよ。」
こっちで死ぬことになったら枕元にでたあげく祟り殺してやろうと思った。