右向け右でハロウィーン。
「よーぅ弟よー、何してんのかなー?」
魔王と雑談しているっぽい綾斗に声をかけた。
ぎょっとした様子で振り返る弟になんだなんだと不満そうな表情を作った。
「げっ・・・姉貴。」
「『げっ』とはなんだよ、酷いな。まぁいいや、何話してたの?」
「いいいいいい今忙しいからっ、あっち行っててよ!」
どもりすぎていて怪しすぎる。
というか魔王静か過ぎないか? と思い綾斗の向こうにいる魔王を見ると・・・なんか熱い目で見返された。
・・・・・・・・・・・えっ、何どういうこと!?
「・・・・あ、や、と?」
「いやいやいやオレのせいじゃないねぇよ!?」
ないという意味の日本語二回も言って色々おかしいぞ。
「アヤカ。」
ピシャッとどこかで雷が落ちた気がする。
ちょ、えちょ・・・ちくしょー何故ケータイ持ってきてないんだ!わたしの馬鹿!!録音できないじゃん!!
「・・・・姉貴、某キャラに名前呼ばれたみたいーとか思ってるだろ。」
ちがうぞ綾斗。わたしはあのキャラではなく声優さんを愛しているんだ。
まぁキャラのほうも好きだけどね!
なんて言い合っていたら、いつの間にか目の前にきていた魔王に手をとられて手の甲にキスを落とされた。
おいおい本格的にどうした魔王。ここでときめいちゃうような展開にはならないけども。
・・・・・これ年食ったってことか? と本気で考え込んでしまった。
「というワケで綾斗、説明。」
「えー・・・なんか今日ハロウィンかなんかで、お菓子持ってなかった魔王にイタズラしちゃいましたっていうオチなんだけど。」
不満たらたらですーみたいな感じで答えてくれた。
なにが『しちゃいましたっていうオチなんだけど』だよ。なんだよソレちっとも面白くねーぞ。
「そのイタズラってなによ。」
「惚れ薬(異性限定)盛らされた。」
なるほど。今何故魔王に抱きしめられているかという疑問は解決した。
というワケで離してくれませんかね魔王さん。
甘さもへったくれもありません。
薬の効果は二時間後に切れました。
そして主人公はそう簡単にキスされたり抱きしめられたりするんじゃないよとされた本人に怒られるというオチ。
あとさりげなく初・主人公の名前呼び。