第94話 物語を本にする決意
夕方 祢古町を見下ろす丘
美久、ユイ、ルナ、翔太の4人は、町を見下ろす丘に集まっていた。
夕陽が、町を金色に染めている。
3年前、ここで誓いを立てた場所。
「あの時から、もう3年か」
翔太が感慨深げに言う。
「早いような、長いような」
ルナが髪を風になびかせながら答える。
「でも、充実した3年でした」
ユイが美久の膝の上で言う。
「127の町を変えて」
「たくさんの人と出会って」
「たくさんの笑顔を見て」
美久が、ずっと考えていたことを口にする。
「この物語を、本にしたいの」
三人が美久を見る。
「本に?」
「そう。私たちの3年間を」
「いや、ユイちゃんと出会ってからの全てを」
美久が立ち上がる。
「タイトルは考えてあるの」
「『この町のネコ、やっぱりおかしい ~猫に転生したら町の半分が猫人間で、しかも地下に魂を食べる化物がいました~』」
翔太が首を傾げる。
「それ、軽すぎませんか?」
「だって、重い話だもの」
美久が微笑む。
「『127の偽りの平和を真の共生に変えた物語』なんてタイトルじゃ、誰も読まないでしょ?」
ルナが別案を出す。
「『四人で紡ぐ奇跡の物語』とか?」
「それも素敵だけど、インパクトがない」
ユイが笑う。
「美久さんの案が、一番キャッチーです」
「軽いタイトルで手に取ってもらって」
「読んだら、深い内容だった」
「それがいいんじゃないですか?」
翔太も納得する。
「確かに」
「ライトノベル風のタイトルだけど、中身は社会派」
「そのギャップがいいかも」
美久が続ける。
「大切なのは、この物語が誰かの心に届くこと」
「孤独な人に『一人じゃないよ』って伝えること」
「諦めかけた人に『奇跡は起きるよ』って教えること」
「偽りの平和に苦しむ人に『変えられるよ』って示すこと」




