第18話 時空を超えた再会と世界の繋がり
転生から1週間後 猫カフェ「ねこまち」 午後3時
時空の扉から飛び出したユイは、見慣れた景色に安堵の息をついた。
猫カフェ「ねこまち」の裏庭。ゴミ箱の匂い、換気扇から漏れる珈琲の香り、そして聞き覚えのある声。
「あら、クロちゃん、どこから入ってきたの?」
美久の声だった。
ユイは慌てて店の正面に回り込んだ。ガラス越しに見える美久の姿。一週間前と変わらない優しい笑顔。でも、ユイにとっては永遠とも思える時間が経過していた。
ドアの前で深呼吸をする。小さな肉球で、どうやってドアを開けようか悩んでいると、ちょうど客が出てきた。その隙に滑り込む。
店内の温かい空気と、猫たちの鳴き声がユイを包み込んだ。
「あら?」
美久がユイに気づいた。その瞬間、美久の手首のアミュレットが強く光った。今度は隠すことなく、明確に反応している。
「この子...なんだか特別な感じが...」
美久が近づいてきて、ユイを抱き上げた。温かい手のひら、石鹸の香り、優しい体温。ユイの目に涙が浮かんだ。
「美久さん!」
ユイが思わず声を出すと、美久は息を呑んだ。
「今...喋った?」
店内の他の猫たちも驚いている。でも、美久の表情は驚きだけではなかった。アミュレットが激しく脈動し、何かを訴えかけているようだった。
「まさか...ユイちゃん?」
美久が震える声で尋ねた。
「はい!私です!美久さんに会いたくて...」
次の瞬間、美久はユイを強く抱きしめた。
「ユイちゃん...本当にあなたなの?一週間前に会った、あの子なの?」
「はい!でも私にとっては、もっと長い時間でした」
美久は驚きながらも、ユイを膝の上に乗せて、じっと見つめた。
「何があったの?どうして猫に...」
「長い話です。でも、まず美久さんに伝えたいことがあります」
ユイは懐に入れていた(といっても猫の体のどこに入れていたのか自分でも不思議だったが)『三界概論』を取り出した。小さな前足で器用にページをめくる。
「世界の真実について、知ってますか?」