第11話 ニャンコタウンへの道のり
転生3日目 森の出口
「そろそろ、町に連れて行ってあげる」
トラが提案した。
「このまま森にいても、君は生きていけない。ニャンコタウンなら、きっと助けてくれる猫がいるはずだ」
二日間、トラと過ごして、ユイは少しずつ猫の体に慣れてきた。歩き方もぎこちないながら、転ばずに歩けるようになった。ただし、狩りは相変わらずできない。トラが捕まえてくれた獲物を分けてもらって、なんとか生きている状態だった。
「ニャンコタウンって、どんな場所?」
「猫たちが集まって暮らしている町だよ。人間の町みたいに、店や家がある。でも、全部猫サイズだけどね」
森を抜けると、視界が開けた。
眼下に広がるのは、小さな町。建物は人間の町の1/3ほどの大きさで、猫が暮らしやすいように設計されている。煙突からは煙が上がり、道を猫たちが行き交っている。
「あれが、ニャンコタウンだよ」
トラが誇らしげに言った。
町の入り口には門があり、猫文字で書かれた看板があった。
『ようこそ ニャンコタウンへ すべての猫に平和と魚を』
「あの文字...読める?」
トラが尋ねると、ユイは驚いた。確かに、見たことのない文字のはずなのに、なぜか意味が理解できる。
「読めます!『ようこそニャンコタウンへ』って書いてありますよね」
「すごい!転生者でも、古代猫文字が読めるなんて珍しいよ」
古代猫文字?ユイには普通の日本語に見えるのだが...。これも、翻訳能力の一部なのだろうか。