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星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
星の代理戦争 後編

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五十五話 漢の約束

 その頃、光葵は志之崎と一進一退の戦いを続けていた。

「前より、かなり魔法の威力が出てるな……」光葵は魔法を放ちつつ言葉に出す。


「お前達に報復するために魔法を奪ってきたからな……」志之崎は静かに殺意を滲ませる。


「そうか……。でも俺も負けられない……! 《合成魔法》《火炎魔法×闇魔法×風魔法――灰燼砲かいじんほう》……!」灰燼の浸食を纏う風の大砲を放つ。


「《風魔刀――駆天乱斬くてんらんざん》!」志之崎は迎え撃つために、空中で乱反射する暴風の刃の塊を放つ。


 魔法同士が衝突した瞬間とてつもない風切り音がする。そして威力、キレが上だった駆天乱斬が灰燼砲を打ち破る。

 駆天乱斬に追従する形で、志之崎が目の前まで迫る……。

 猛烈な風切り音、風魔刀の斬撃音が聞こえる。


「《合成魔法》《生成魔法×氷魔法――想像的生成、擬似聖盾ぎじせいたてアイギス》……!」左手を前に出し、その一メートル程先に浮遊する形で聖盾が生成される。中央にメデゥーサの首が模されている光り輝く盾だ。

 凄まじい音を響かせながらも志之崎の攻撃を防ぐ。


「こんな魔法まで使うのか……。底が知れん男だな。だが、近距離では俺に分がある」志之崎は突っ込んでくる。


「分かってる。お前と近接戦でまともに戦う気はない……!」

 アイギス越しに志之崎に向かい《合成魔法》《風炎砲》を放つ。志之崎はアイギスに押し出される形で十メートル奥にある店に突っ込む。そこに間髪入れず、《想像的生成、擬似神槍グングニル》を生成し投擲する。神々しく光る槍が神速の勢いで轟音と共に店ごと破壊する――。


 ◇◇◇


 近くでも轟音が何度も響いていた。頂川とインビジブゴーレムの戦う音だ……。


「ゼェゼェ……。頑丈な上に速い。しかも修復もされるとなるとキツイな……」頂川は息を切らす。全身血まみれで額からはドクドクと血液が絶え間なく流れ落ちる……。


「もう、そろそろだね。次は天パのお兄ちゃん、次は赤髪のお姉ちゃん…………」美鈴は殺していく人を頭に浮かべ、順番に並べていっているようだ。


「ハハ、俺もなめられたもんだな……。これでも番長張ってたんだぜ……! 仲間守れず、こんなとこで終われるかよ!」


 頂川は叫びと共に《覚醒の霆》を極限まで高める。自分の雷で身体が悲鳴を上げているのが分かる――唐突に意識が飛ぶ感覚がある……。どういうことだ? 限界超えちまったのか……? でも、自分の身体の輪郭がはっきりと分かる。なんだ、コレ。自分の身体を廻るマナが把握できる……。損傷している箇所、逆に健康な箇所……。今なら超高精度のマナ操作ができる……。瞬間、頂川は意識が覚醒する。


「あぁ……コレが綾島さんと目指してた『極み』か……。知覚力が……感覚が別物だ」頂川はよだれを垂らしながら、放心状態で呟く。


「あれ? 金髪のお兄ちゃん壊れちゃった……? まあ、殺すけど」美鈴は淡々と話す。


 直後、ゴーレムの六本の腕による連撃が頂川を襲う……。しかし、そこに頂川はいなかった。

「全部がスローモーションに見えるぜ……」頂川はそう言い、ゴーレムの両足に《雷神鎚》を打ち込む。両足が崩壊し、ゴーレムは地に伏す……。


「ええっ……。何が起こったの?」美鈴は素直に驚いた顔をする。


「悪ぃな。多分あんまり『この状態』維持できそうにねぇ。一気に決めるぜ」次の瞬間、ゴーレムは身体中が雷神鎚による攻撃で崩壊していく。


「インビジさん!」美鈴が叫ぶと同時に、頂川は美鈴の後ろに回り首に手を添えている。


「嬢ちゃん……。終わりだ。降伏しろ」静かに、ただ一切の油断無く頂川は告げる。


「ふざけないで! コウさん殺しておいて! 殺してやる!」美鈴はゴーレムの破片を一気に自分を巻き込む形で頂川目掛けて大量に放つ。


「命は大事にしろ……」《雷盾》で美鈴も含め、防御する。


「インビジさん! 起きて!」美鈴が更にマナをゴーレムに送ろうとする。


「これ以上アイツに無理させんな」美鈴に電撃を与える。倒れる美鈴を支え地面に寝かせる。


「殺せ……ないなら……自分……で」美鈴はゴーレムの破片を自分の頭に撃ち込もうとする。


「馬鹿野郎が……!」頂川が大声を上げる。「あんたには大事に思ってくれる人がいる……。たしかに、俺の仲間が殺しちまったのは事実だ。それでも、優しいマジシャンとあんたを思いやる侍がいるのを俺は見てた。あいつらと過ごした時間で少しでも生きたいと思ったなら生きろ! あの侍は俺が殺させない。約束だ!」頂川は噓偽りない言葉をそのまま届ける。


「そんな……こと……信じれない」美鈴は痺れながらも目を合わせる。


「コレは漢の約束だ。絶対破らない。あんま時間もない。あいつらと過ごした時間、あんたのことを大切にしてくれてる人のことを思い出せ。その上で生きたいと少しでも思えればそれで十分だ……」頂川はそう言い、十秒程無言で待ち続ける。


「……シノさんのこと……死なせない……?」美鈴がゆっくりと涙を流しながら尋ねる。


「ああ。絶対だ!」短く、そして明瞭に返答する。


「……分かった。美鈴……あなたに……降伏する」美鈴は静かに目を閉じる。


「そうだ……。それでいいんだ。生きなきゃ、折角生まれた意味がそこで終わっちまう……」


 この瞬間、頂川は《使役魔法――インビジブルゴーレム》が使えるようになる――。


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