五十二話 想像的生成
その頃、影慈は主人格を交代して、アジトから少し離れた山で生成魔法の修行を続けていた。
「もう少しで掴めそうなんだけど、何かが足りない。安定感を出すにはどうすれば……」
(影慈のイメージは合ってると思うんだよな。あとは何か、〝核〟になるもので補強できれば形にできそうな気がする……)光葵が感じたことを口に出す。
「核か……。あっ……補強できるようにすればいいなら『氷魔法』と組み合わせれば……」
影慈は静かに集中する。「《合成魔法》《生成魔法×氷魔法――想像的生成、擬似神槍グングニル》……」
氷魔法で槍の形を模し、そこに想像するグングニルの特性を具現化させていく……。
五分程時間をかけ両手の上には影慈のイメージするグングニルが生成されていた。
「やった……! できた! できたよ、みっちゃん!」つい大きな声を出してしまう。
(おお! すごいぞ影慈! ついにだな!)光葵も興奮して声を大きくする。
「あとは威力だね。近くで金髪君と綾島さんが修行してるんだったよね。音大丈夫かな?」
(う~ん。まあ、山奥の方だし、あの二人なら音がしても大丈夫じゃないかな)
「そうだね。そもそも威力が出るかも分からないし……」
影慈はそう言い、グングニルを構えて少し離れた岩に向けて投擲する。投擲動作に入った瞬間に知覚する。この槍は影慈が生成して作ったものだが、イメージの先をいく潜在能力を持っているということを……。
投擲後、一瞬にして岩が砕け散り、奥にあった大木をも貫いていた。そして、一度の投擲でグングニルはマナレベルで分解され消失していった……。
「コレって……」思わずぽかんとする。
(大成功だろ、影慈!)光葵の声が聞こえる。
「でも、一回の投擲で消えちゃった。生成魔法なら残り続けるはずだけど……」
(う~ん。流石にグングニルの構造まで理解して作ってる訳じゃないからな。想像的生成を維持できるのは短時間なのかもしれないな……)光葵が予測を話す。
「それもそっか……。生成まで時間がかかるのも何とかしないとだね。あと、もう一つイメージできてる防具もあるんだよね。そっちも練習しよう!」影慈は気合を入れる。
そこへ、頂川と綾島がやってくる。
「何かすげぇ音したけど、大丈夫か?」頂川が尋ねる。
「うん、大丈夫だよ! 新技ができそうなんだ!」影慈は思わず顔が明るくなる。
「すごいね! ずっと練習してたもんね!」綾島が嬉しそうに声を上げる。
「ありがとう! 綾島さんと金髪君も新技の練習してたんだよね。どんな感じ?」
「ばっちりだぜ! 少し前に完成したとこだけどな。綾島さんと修行できたおかげだぜ!」
「ううん、私も頂川君と修行したから習得できたし……。お互い様だよ」綾島は微笑む。
そんな話をしていると、不意にメフィから話しかけられる。頂川、綾島も同時に守護天使から話しかけられているようだ。その場でそれぞれの守護天使と話をする――。




