四十七話 罪悪感と復讐心
六日目。傷が全員回復したため、今後の行動を相談していた。
「すまねぇ。腕の完全回復までに時間かかっちまった。比賀さんも回復したみたいだし、今後の動き決めないとだよな」
頂川が両腕を上げて動けることをみんなに見せる。
「治ってよかったよ! 比賀さんも回復してよかった」朱音が明るい声を出す。
「そうだな。仲間探しと索敵をしないとだな……」光葵は少し声色が暗くなってしまう。
「日下部……。ルナ姉と話しただろう。決断は汝だけの責任にはさせない。みんなで相談して決めることなんだ。汝だけで責任を感じるな」
カイザーが光葵の目を見て言葉にする。
「……悪い。カイザー。みんなはどうすればいいと思う?」全員の方に目を向ける。
光葵の意見に賛成だとの声が返ってくる。
――二人を除いて……。
「日下部……綾島さんはルナ姉の件でかなりショックを受けてる。俺から話し出しておいてすまないが、俺と綾島さんはアジトで待機でもいいか?」頂川の声には優しさを感じる。
「大丈夫だ。むしろ、綾島さんの心まで考えれてなくてごめん。四人で動こう」光葵は頂川の提案を素直に受け入れる。
「……ごめんね。みんな……。私……」綾島はそれ以上声を出せない様子だ……。
「……綾島さんの気持ちは分かる。今は休んで……」朱音がそっと声を掛ける。
その後、光葵達四人は外出して行動することになった。
◇◇◇
アジトにて、頂川と綾島の二人は話していた。
「綾島さん。朱音ちゃんの言う通りだと思うぜ。今は休もう。何か飲むか?」頂川が立ち上がる。
「……私、ルナ姉が必死に戦ってる時に恋愛の話なんかしてて……。ルナ姉には色んなことしてもらったし、助けてもらったのに……自分のこと許せない」綾島は俯き、肩を震わせる。
「……綾島さん。自分を責める必要はないぞ……。ルナ姉はそんなことは望まない……」頂川は悲しげに呟く。
「…………じゃあ、私のこの気持ちはどうすればいいの⁉ 何も感じるなってこと⁉」綾島が珍しく大きな声を出す。
「綾島さん。あんたの気持ちも少しは分かるつもりだ。俺もルナ姉が好きだった……。何も感じないなんてこと俺だってできねぇよ! でも、ルナ姉が死んでしまったことの中に、自分を責める理由を見つけて自分を傷つけるのは違う。それだけは間違いないぜ!」頂川はできる限り自分の想いが届くように伝える。
「……そうだけど。そうなんだけど。それでも……」綾島は涙が止まらなくなる。
「……」頂川は黙って椅子に腰かける。
「……頂川君。私、ルナ姉の仇を取りたい。この『復讐心』をもう抑えられないよ……」綾島は頂川に願うように言葉を紡ぐ。
「……すげぇ月並みな言葉だけど、ルナ姉の言葉なら分かると思う。『ルナ姉は復讐なんて望んでない』。でも、負けることも望んでないはずだ。体調を整えて、勝てる状態にしてから戦おう。俺もルナ姉の仇は取りたい……」頂川は覚悟をそのまま言葉にする。
「……そうだね。ありがと……」
頂川は綾島の瞳に宿る色が変わったように感じる。強くなりルナ姉の仇を取る、揺るぎない感情を感じさせる瞳の色だ――。




