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星の代理戦争~Twin Survive~  作者: 一 弓爾
星の代理戦争 後編

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四十六話 リーダー

 翌日。比賀は目を覚ました。

「回復してくれてありがとう。それと……私を助けるために仲間が犠牲になってしまい本当に申し訳ない……」比賀は全員に向かい深々と頭を下げる。


「頭を上げてください。昨日の俺達とルナ姉のやり取りを見てもらってると分かると思う。ルナ姉はそんな風に申し訳なさを感じてほしくないはずです」光葵は真っ直ぐに言葉を届ける。


「日下部の言う通りだ。ルナ姉は自らやるべきだと思ったことをした。そういう人なんだ」カイザーは目を潤ませながら呟く。


「そうか……。とても素敵な人だったんだな……。私などのために……いや、すまない。ルナさんが助けてくれた命だ、大切にする。そして、あんた達の力になるよ」比賀は力強く話す。


「ありがとうございます……。そう言ってくださると、天国のルナ姉も喜んでくれると思います……。そうだ、ちなみに、比賀さんの魔法はどんなものですか?」光葵は今後のために尋ねる。


「私の固有魔法は《乱生らんしょう魔法》だ。基礎魔法は《土、回復、身体強化》が使える」


「乱生魔法? たしか助けに行った時、敵の攻撃を『逸らしてた』ような……。何か『乱れ』を作り出すような魔法ですか?」光葵は予測も含めて質問する。


「ああ。本質は『乱す』魔法なんだ。具体的な使い方だと、乱すことで空気の流れを変えたり、敵に直接触れて肉体や心、魂に『乱れのダメージ』を入れられる。あとは、空間を歪めて高速移動なんかもできる」比賀は身振り手振りも入れつつ説明する。


「色んな用途で使える魔法だな……。連携を取る練習も必要そうですね」光葵は考えつつ、返答する。


「私としても、連携の練習ができれば助かる。私も仲間とタッグを組んでいた時もあったんだけど、昨日いた至王とかいう男に殺されてしまってね……。奴は強い」比賀は過去を思い、宙を見上げる。


「至王と過去に戦ったことがあるのか?」カイザーが口を開く。


「そうだ……。至王の《結界魔法》は私と組んでいた『律守りつもり』という女性から奪ったものだ。私と律守は至王と遭遇し戦いになった。数的有利もあったが、至王の《刻印魔法》に苦戦した。決め手になったのは、結界魔法を刻印魔法で上書きし、無効化されたことだった……。至王の結界への干渉が私達の勝機を奪った……」比賀は悔しさを思い出したのか、歯を食いしばる。


「すまない、あまり考えずに質問してしまった」カイザーが申し訳なさそうに話す。


「いや、いいんだ。お互いの情報共有は大切だしな。ちょうどよいから共有したい。結界魔法は結界内で仲間の能力を上げたり、逆に敵の能力を下げることができる魔法なんだ。使い勝手がよいから、敵に回るとかなり厄介だ」比賀は真面目な口調で話す。


「俺達も至王と戦ったから、嫌という程知ってる……。戦う時は注意が必要ですね」光葵はルナ姉のことを思い出し、拳に力を入れる。



 その後、お互いの知っている情報や、各々の魔法について共有した。

 それから五日間は回復や連携の練習に時間を使った――。


 ◇◇◇


 比賀は他の仲間より比較的話しやすかったのか、光葵と話をすることが多かった。


「修行時の動きを見ていて思ったんだけど、日下部は空手か何かしているのか?」比賀が光葵の目を見て尋ねる。


「よく分かりましたね。空手の黒帯持ってます。多分、比賀さんも武術経験者ですよね?」光葵からも問いを投げる。


「柔道黒帯を持っている。私は元刑事なんだ。今はプラプラ仕事してるけどね」比賀は少し明るく笑う。


「そうなんですね。聞いていいことか分からないけど、なんで刑事辞めちゃったんですか?」


「ああ~まあ、上層部と揉めてね……。犯人を追い詰めるために命令違反とか、行き過ぎたことしてしまってな……。結局刑事続けれずに辞めた」どこかさっぱりとした言い方をする。


「……そうですか。比賀さん元刑事だったら、銃使えますよね?」そう言い《生成魔法》でサプレッサー付きの自動拳銃と、弾倉マガジンを生成して手渡す。


「あんた、こんなこともできるんだな……。正直驚いたよ」比賀はそう言い、一式を受け取る。


「この戦いは『戦争』です。使えるものは使って生き抜く。仲間は何がなんでも守る。そう決めたので……」光葵は語気を強める。


「フッ。相当覚悟決めてるね。あんたみたいな頼りになるリーダーがいるのは、私にとっても、他のみんなにとっても頼もしいよ」


「え? リーダー……?」光葵は思わず言葉を返す。


「逆に、日下部がリーダーじゃないのか? みんなの話を聞いていても、中心になって行動を起こしているのは日下部だという印象だったぞ」比賀は真っ直ぐ光葵を見る。


「う~ん。俺がリーダーか……。あまり意識したこともなかったな。一応全員で物事は決めるようにしてますけどね」


「それでも、あんたが全員の支柱になってるのはたしかだと思うぞ。あ……これは責任を感じてほしいという意味じゃないからな。私がこの中で最年長だ。私にも頼ってほしい。それが伝えたかったんだ」比賀は一瞬焦りながら話す。


「全員の支柱……。なれてるといいな……。あと、比賀さん、気遣ってくださってありがとうございます。俺もみんなを頼りにしてるので、比賀さんがそこに加わってくれれば、すごく頼もしいです!」


「日下部……。あんたは良いリーダーになれると思うよ。私も役に立てるように頑張る。これからよろしくな」比賀が拳を光葵の方に向ける。

 拳に応えるように、光葵は比賀と拳を合わせる――。


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