二十九話 影慈がいること
ここ三日間はビジネスホテルに泊まって気持ちの整理をつけていた。
(影慈、あの時、俺と同じ〝感情、心〟になってくれてありがとな)光葵は影慈に話しかける。
(……みっちゃん、僕は君と同じくらい若菜ちゃんを愛せてはいないと思う。それでも、一緒にいる間に若菜ちゃんのことがどんどん好きになっていた。君の気持ちが分かるとは軽々しくは言えない。それでも、同じ〝感情、心〟になるくらいには僕も好きだった……)
(影慈……。ありがとう。お前がそう言ってくれるだけでも、救われるよ……。影慈がいなかったら、きっと俺は耐えられなかった……)
(……元はといえば僕に巻き込まれて代理戦争に参加したんだ……。むしろ謝らないと……)
光葵は影慈の言葉を遮るように言葉を出す。
(影慈、それは絶対に違う。あの時の決断は俺の気持ちだ! 〝心、魂のシンクロ率〟が高い今なら言葉なんて無くても分かるだろ?)
(分かるよ……それでも僕は……。いや、ごめん。みっちゃんの気持ちが分かってるのにこんなことを言うのは違うね……。これから、〝僕達〟はみんなを守って必ず生き抜こう!)
(おう! これからもよろしく頼む影慈)




