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ネクスト・ステージ~チートなニートが迷宮探索。スキル【ドロップ★5】は、武器防具が装備不可!?  作者: 武蔵野純平@9/18マンガ蛮族転生3巻発
第二章 冒険は楽しいぞ!

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第25話 ニュートンの罠

 俺は鑑定結果を見て困惑した。


『特殊効果:天井や壁を走れる』


 これはどういうことなのだろうか?


 沢本さん、御手洗さん、片山さんが、俺のスマートフォンをのぞき込んでくる。


「天地さん……。この特殊効果は、どういう意味でしょう?」


「いや、俺も理解不能ですよ」


 俺と御手洗さんは、特殊効果に困惑した。

 だが、経験者の沢本さんとダンジョン省の片山さんは平然としている。


「へえ! 天井や壁を走れるんだ!」


「映画でありましたね! なかなかレアな特殊効果ですね!」


 二人は、この特殊効果の記載を受け入れられるのか!?

 俺と御手洗さんは、口をOの字にして固まってしまった。


「二人とも何だよ? カケルは良かったじゃん! これで武器を装備出来るから、まともに戦えるぜ!」


 沢本さんの言う通りなのだが、俺はどうも納得がいかない。


「沢本さんと片山さんは、この特殊効果が変だと思わないんだ!?」


 沢本さんと片山さんは平然としている。


「えっ? いや、だって、天井と壁を走れるって書いてあるだろ? 走れるんだよ!」


「そうですよ! カッコイイじゃないですか!」


 沢本さん! 『走れるんだよ!』じゃないだろう!

 物理的におかしいだろう!


「いやいやいや! 物理法則は? 常識は?」


「常識なんて、捨てちまえよ!」


「物理法則を言い出したらキリがないですよ。ダンジョンの存在自体がおかしいのですから、受け入れるしかありません」


 沢本さんと片山さんは動じない。

 俺は改めて、ダンジョンが不思議な存在なのだと認識した。


 御手洗さんが、頭に手を置いて嘆いた。


「ニュートンが、リンゴを全力で投げつけるレベルの話ですよね」



 *



 まだ、夕方五時前で時間がある。

 俺たちは、ナイフ★4『縦横無尽』の特殊効果を確認することにした。


 ダンジョンの一階層に戻り、俺はナイフ★4『縦横無尽』の鞘にベルトを通し身につけた。


「じゃあ、試してみます!」


 沢本さん、御手洗さん、片山さんが、俺を見守っている。

 俺は鉱山ダンジョン一階層の坑道をゆっくり歩き始めた。


 坑道の壁に右足をかけて、壁を歩いてみようとした。

 だが、右足は滑ってしまい壁を歩くことは出来ない。


「ダメみたいですね……」


 俺が首をひねっていると、ダンジョン省の片山さんがスマートフォンで撮影をしながら近づいてきた。


「駆さん。特殊効果は、天井や壁を『走る』ことが出来る、です。走ってみたらいかがですか?」


「あっ! なるほど!」


 俺は片山さんの勧め通り走ってみることにした。

 鉱山ダンジョンの坑道を、思い切り走る。

 そのままのスピードで、右の壁に足をかけた。


 走れる!

 壁を走れる!

 俺は壁を走っている!


(あっ! 上下の感覚が変わってる!)


 とても不思議なのだが、右の壁を走り出したら、上下の感覚が変わったのだ。

 右の壁が下方向で、左の壁が上方向だ。


 壁を走っているのに、地面を走っているのと同じ。

 なのに視界は、九十度回転している。


(この不思議な感覚は、言葉で説明してもわからないのだろうな! 後でみんなにも体験してもらおう)


 俺は天井を走り、左の壁を走り、地面、壁、天井、壁ときりもみするように走ってみた。

 ありがたいことに、酔うことはなく、鉱山ダンジョンの坑道内を自在に走ることが可能だ!


(そろそろ戻ろう)


 俺は坑道の天井を走り、沢本さんたちが待つ場所へ戻った。

 三人とも、俺が天井を走っている姿を見て、興奮している。


「おお! スゲエ! カケルが、天井を走ってるよ!」


「重力とは何なんですかね……。リンゴの意味は……」


「いやあ、今日は良い絵が撮れてますよ!」


 俺から見ると、三人は上下逆さまだ。

 立ち止まり、三人に話しかけようとした。


「あっ!」


「うぉっ!」


「キャッ!」


「キャア!」


 俺は失敗した。

 天井や壁では、走らないとダメなのだ。


 立ち止まったことで、ナイフ★4『縦横無尽』の特効が効かなくなった。


 俺は逆さまの状態で、落下してしまった。

 それも、三人を巻き込んで……。


 気が付くと俺は三人の上に乗っていた。


 まず、俺の腰から下は、御手洗さんの顔面に。

 俺の顔は御手洗さんの腰というか、お腹の辺りに。

 俺の右手は、沢本さんの胸に。

 俺の左手は、片山さんの胸に。


 とにかく天国なのか、地獄なのか、よく分からない状況になっていた。


 顔面に色々押しつけられている御手洗さんが、激しく顔を動かす。


「ちょっと! 天地さん!」


「ごめん! 今、離れるから!」


 俺は何とかしようともがく。

 だが、両手が不安定な柔らかく大きな物体の上にあるので、腕に力が入らない。

 ビーチボールの上で、腕立てをしているようなものだ。


 結果として、御手洗さんの顔面に俺の体をかえって押しつけることになった。


「カケルゥ! そんなに強くもむなよ!」


 沢本さんが、笑い交じりにからかってくる。

 いや、俺は必死なんだって!


「あの……駆さん……。ダンジョン内でこういうことは困りますよ……」


 片山さん、色っぽい声を出さないで下さい!


 しばらくもみ合いが続いたが、俺はやっと脱出することが出来た。


「天地さん! そこに座って下さい!」


「はい」


 俺は、またも御手洗さんに説教をされてしまった。

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